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  • 昭和41年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項

日本国有鉄道


(335) コンクリート打設用さん橋の仮設工事費等を過大に積算したため工事費が高価と認められるもの

 (工事勘定) (項)諸設備費

 日本国有鉄道東京第二工事局で、昭和41年11月、随意契約により勝村建設株式会社に中央本線大月、初狩間91K640M付近災害復旧工事を33,900,000円(最終契約額26,894,661円)で請け負わせ施行しているが、コンクリート打設用さん橋の仮設工事費等を過大に積算したため工事費が約300万円高価となっていると認められ、このうち約130万円については42年4月設計変更のうえ減額しているが、なお最終契約額において約170万円高価となっていると認められる。
 本件工事は、41年9月台風26号による水害によって盛土が流失した大月、初狩間第1笹子川橋りょう付近の復旧を行なうため、応急復旧工事施行後の本線路盤を保護する鉄筋コンクリート擁壁の新設および路盤盛土等の工事を施行するものであるが、その予定価格についてみると、

(1) 鉄筋コンクリート擁壁のコンクリートを打設するための木製さん橋は、コンクリート取卸し箇所から擁壁末端までの間に幅3メートル、高さ7メートルで延長75メートルにわたって仮設し、擁壁の下部コンクリートを打設した後、いったんこれを撤去して擁壁基礎の補強工事を施行したうえ、再度上部コンクリート打設のため組み上げるものとし、材料費の損料率を全損としてさん橋の仮設工事費を3,225,672円と積算している。
 しかしながら、さん橋の延長は現地の状況からみて65メートルで足りたものであり、また、下部コンクリート打設の際は高さ4メートルで設置し、これをいったん撤去する場合にはコンクリート取卸し箇所から擁壁までの区間はそのままとして擁壁の区間だけを撤去すれば足り、上部コンクリート打設の際擁壁までの区間を高さ7メートルまで継ぎ足し、擁壁の部分だけを新たに高さ7メートルで設置すれば足りたものと認められ、さらに足場材料の損料率は日本国有鉄道の積算要領によると45%とすべきものを誤って全損としたものである。
 いま、仮に上記により適正と認められる額を計算すると1,966,555円となり、当局の積算額はこれに比べて1,259,117円過大となっている。

(2) 流失路盤復旧のため笹子川の流心を切り替える必要上延長100メートル、堤体積1,000立方メートルの制水堤を築造しているが、築堤にあたっては付近の高水敷等から1,000立方メートルの土砂をブルドーザにより掘さく採土し、平均50メートル運搬集積することとして、その作業係数(作業の難易を表わす係数で、困難なほど値が小さい。)を0.4として時間当り作業量を23.6立方メートルとしており、また、集積箇所から築堤箇所までの運搬はトラクタショベルを使用することとしてその大部分は運搬のつど締固めを行ないながら平均80メートル運搬することとして時間当り作業量を4.1立方メートルと算定し、さらに、上記作業に使用した建設機械は築造完了後も本件工事施行中制水堤の維持補修に使用できるよう制水堤撤去にいたるまですべて現場に存置することとして搬入から搬出までの期間を4箇月とするなどし、制水堤築造工事費を4,111,092円と積算している。
 しかしながら、採土箇所の土質は大部分が固結した砂利であって日本国有鉄道の積算要領によっても、これを掘さくして締め固めたものの容積比は地山1に対し1.1の割合となっているから、掘さく量は約910立方メートルで足り、また、ブルドーザによる掘さく運搬は、採土箇所に玉石が混在していることを考慮しても作業係数は0.55程度とすれば十分であり、運搬集積距離は現地の状況からみて40メートル程度を見込めば足り、これによると時間当り作業量は39.0立方メートルとなるものと認められる。さらに、トラクタショベルによる運搬は築堤盛土上を反覆して走行するものであるからこの間に盛土が締め固められるので格別に締固めを行なう要はなく、これによると時間当り作業量は6.9立方メートルとなり、また、建設機械の存置期間は本件工事の工程および工期が渇水期にかかることからみて2箇月間を見込めば足りたものと認められる。
 いま、仮に上記により適正と認められる額を計算すると2,866,097円となり、当局の積算額はこれに比べて1,244,995円過大となっている。

(3) 復旧盛土1,151立方メートルのうち863立方メートルは付近砕石場から砕石くずをトラックで運搬して盛土することとしてその積込みにはベルトコンベヤを使用することとし、288立方メートルは付近で採土して採土跡の斜面には張り芝を施行するものとし、計2,866,907円と積算している。
 しかしながら、本件工事のように多量の砕石くずをトラックに積み込む場合にはトラクタショベルを使用するのが通例であるから本件工事費積算にあたってもこれによることとすべきであったと認められ、また、本件土取場跡は平たんになるので張り芝の費用を見込む要はなく、実際にも施行されていない状況である。さらに採土場切りくずし費の計算にあたり、立方メートル当り切りくずし単価を288立方メートルに乗ずべきところ、誤って盛土全量の1,151立方メートルに乗じている。
 いま、仮に上記により適正と認められる額を計算すると2,309,043円となり、当局の積算額はこれに比べて557,864円過大となっている。
 以上各項により工事費を修正計算すると30,870,124円となり、当初契約額はこれに比べて3,029,876円過大となるが、前記のとおり1,320,200円を設計変更のうえ減額したことなどにより最終契約額は26,894,661円となっているので、これを考慮しても、修正積算額は25,184,985円となりなお約170万円が高価となっていると認められる。

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