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  • 昭和42年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項

畜産振興事業団


第24 畜産振興事業団

 畜産振興事業団の昭和42事業年度末の資本金は30億7390万円(うち政府出資27億円)である。

(事業概要について)

(1) 畜産物の価格安定に関する業務

 42事業年度における指定食肉(豚枝肉)の買入れおよび売渡しの業務においては、前事業年度に引き続き42年7月までに18,549トンを56億7711万余円で買い入れたところ、中央卸売市場における売買相場が農林大臣の定めた安定基準価格を上回ってきたので同月をもって買入れを停止した。

 しかして、42年7月下旬から43年1月までの間、中央卸売市場における売買相場が農林大臣の定めた安定上位価格を上回る状況であったので、東京ほか7中央卸売市場等において部分肉等21,021トンを売り渡し、また、42年5月から43年1月までの間、全国食肉事業協同組合連合会等に対し随意契約により6,849トンを売り渡した結果、42事業年度中の売渡総量は27,870トン売渡金額は119億9006万余円となっており、同事業年度末における保管量は部分肉6,785トン、枝肉2,196トン等たな卸資産価額は50億3691万余円となっている。

 指定乳製品等の輸入および売渡しの業務においては、42事業年度中、指定乳製品の価格が農林大臣の定めた安定指標価格をこえて騰貴する状況であったので、脱脂粉乳23,028トン、バター14,096トン等を132億1512万余円で輸入し、前事業年度からの繰越し分を含め脱脂粉乳17,080トン、バター8,347トン等を140億9647万余円で売り渡しており、42事業年度末における保管量は脱脂粉乳6,564トン、バター5,869トン、その他4,159トン、たな卸資産価額は50億9058万余円となっている。
 輸入牛肉の買入れおよび売渡しの業務においては、42年10月から43年3月までの間に、オーストラリア産、ニュージーランド産の牛肉5,749トンを26億3245万余円で買い入れ、前事業年度からの繰越し分を含め年度中に5,632トンを27億5359万余円で売り渡しており、42事業年度末における保管量は3,117トン、たな卸資産価額は14億3384万余円となっている。

(2) その他の業務

 債務保証業務においては、同事業団に出資している乳業者の債務を保証した額は45億6375万円、償還等により減少した保証額は46億1010万余円で、42事業年度末の保証残高は15億6110万円となっている。

 助成業務においては、学校給食用牛乳供給事業に対し64億5214万余円、生乳生産の振興を図るため都道府県指定生乳生産者団体が行なう酪農振興特別事業に対し32億4767万余円、豚肉価格緊急対策事業等に対し6154万余円を補助したほか、四国乳業株式会社等に3億0750万円を出資した。42事業年度末の出資先は27法人で、出資総額は14億8409万円となっている。

 加工原料乳生産者補給交付金の交付業務においては、指定生乳生産者団体に対し加工原料乳879,717トンについての生産者補給金に充てるため49億2628万余円を交付した。

(資金について)

 42事業年度の所要資金610億7184万円については、前事業年度からの繰越金101億4404万余円、学校給食用牛乳供給事業補助の財源に充てるための政府交付金65億円、加工原料乳生産者補給交付金の交付業務の財源に充てるための政府交付金20億2571万余円、農林中央金庫からの借入金84億6000万円、輸入乳製品等の売渡収入279億1871万余円等を充当している。

(損益について)

 42事業年度の損益は、利益529億0558万余円、損失531億4290万余円で、差引き2億3732万余円の当期損失金を生じており、これを勘定別にみると、一般勘定では、27億6846万余円、債務保証勘定では579万余円の損失金を生じ、輸入牛肉勘定では1億5094万余円、補給金等勘定では23億8598万余円の純益金を生じ、助成勘定では利益損失同額となっている。なお、一般勘定の損失金については同勘定の前年度からの積立金6億7933万余円を減額し、なお不足する20億8912万余円を同勘定の繰越欠損金とし、債務保証勘定の損失金については同勘定の積立金を減額整理した。輸入牛肉勘定の純益金については1億2075万余円を助成勘定に繰り入れ、3018万余円を積立金として積み立てた。

 検査の結果、次のとおり留意を要すると認められるものがある。

 (酪農振興特別事業に対する補助について)

 畜産振興事業団においては、生乳の生産の振興を図るため、昭和42事業年度から、指定生乳生産者団体が実施する利子補給事業(農業協同組合等の融資機関が農業者等に対して貸し付ける乳牛購入資金、乳牛育成資金等酪農関係中長期資金につき、指定生乳生産者団体が利子補給して借入者の金利を貸付け後3年間を限り3分5厘とする事業)に対し補助しており、同事業年度中、各都道府県指定生乳生産者団体に対し29億2115万余円を交付している。しかして、本件補助に基づき18指定生乳生産者団体が1,060融資機関に対して交付した利子補給金15億2959万余円および利子補給の対象とした貸付けの当否について調査したところ、乳牛購入の事実がないなど貸付対象事業を実施していないものに対して貸し付けたり、本制度開始前の事業に対して貸し付けたりしているなど利子補給の対象として適当と認められなものに利子補給金を交付しているものが北海道ほか12県の73融資機関の貸付け分において565件1494万余円ある。

 ついては、本制度の趣旨および事業内容に即して実施要領を整備するなどし、指定生乳生産者団体を十分指導監督するとともにこれを融資機関に周知徹底させ、補助目的の達成を図るよう配慮の要があると認められる。

 また、検査の結果、本院の注意により、同事業団において処置を講じたものが次のとおりある。

 (指定生乳生産者団体が融資機関に対し交付する利子補給金およびこれに対する補助金の算定について)

 畜産振興事業団の補助を受けて指定生乳生産者団体が行なう乳牛購入等資金の貸付けに対する利子補給は、融資機関が行なう貸付けとほぼ同時期に3年分の利子を対象として一括交付することとなっている。しかしながら、本件利子補給額の算定にあたっては、融資機関における運用期間に対応する運用益を控除する要があると認められるのに、控除計算が運用期間に対応していなかったので、同事業団に対し見解をただしたところ、同事業団では、43事業年度実施分から計算方法を改め、関係機関に対して指示するなど所要の処置を講じた。