昭和43年度
第2章 国の会計
第5節 各所管別の事項
第2 文部省
(一般会計)
昭和43年度歳入歳出決算額は、収納済歳入額2億3383万余円、支出済歳出額6755億9754万余円である。しかして、支出済歳出額のうちおもなものは、地方公共団体等が施行する事業に対する国庫補助金、国庫負担金等4278億7610万余円、国立学校特別会計へ繰り入れた国立学校運営費および国立学校施設費2092億9379万余円である。
検査の結果、別項記載のとおり、国庫補助金の経理が不当と認められるものがある。
(国立学校特別会計)
昭和43年度歳入歳出決算額は、収納済歳入額2612億1787万余円、支出済歳出額2539億2680万余円である。しかして、収納済歳入額のうちおもなものは、一般会計より受入2092億9379万余円、附属病院収入314億9846万余円、授業料及入学検定料56億3646万余円、支出済歳出額のうちおもなものは、国立学校1426億2186万余円、施設整備費517億5502万余円、大学附属病院408億3341万余円である。
検査の結果、別項記載のとおり、国立学校における受託研究等および奨学寄付金の取扱いについて、44年11月、文部大臣あて是正改善の処置を要求し、また、国立大学における国有財産および物品の管理について、同月、文部大臣あて改善の意見を表示した。
不当事項
補助金
(47)−(50) 国庫補助金の経理が不当と認められるもの
| 会計名および科目 | 一般会計 (組織)文部本省 | (項)体育施設整備費 (項)私立学校助成費 (項)公立文教施設整備費 (項)公立文教施設災害復旧費 |
| 部局等の名称 | 文部省、青森県ほか4府県(注) | |
| 補助の根拠 | スポーツ振興法(昭和36年法律第141号)、義務教育諸学校施設費国庫負担法(昭和33年法律第81号)、公立学校施設災害復旧費国庫負担法(昭和28年法律第247号)等 | |
| 事業主体 | 勝田市ほか6市町村、学校法人1 計8事業主体 | |
| 補助事業 | 水泳プール建設事業等8事業 | |
| 上記に対する国庫補助金交付額 | 32,821,000円 | |
上記の8補助事業において、補助の対象とならない経費を含めたなどのため、事業費を過大に精算したり、工事の監督および検査が適切でなかったため、施工が設計と相違したりしていて、国庫補助金2,570,800円の経理が不当と認められる。
これは、青森県ほか16都府県管内の1,802事業のうち22.4%に当たる405事業について検査した結果である。
不当と認めた補助金額が1事業当り20万円以上のものを掲げると、次表のとおり4件1,926,800円である。
(注) 青森、宮城、茨城各県、大阪府、愛媛県
(1) 体育施設整備費
| 県名 | |||||||
| 事業名 | 事業主体 | 年度 | 補助対象事業費 | 左に対する国庫補助金 | 不当と認めた事業費 | 不当と認めた国庫補助金 | 摘要 |
| 千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||
| (47)宮城県 | |||||||
| 水泳プール建設事業 | 亘理郡亘理町 | 43 | 2,250 | 750 | 2,227 | 742 | 水泳プール建設工事の施工不良 |
(2) 私立学校助成費
| 県名 | |||||||
| 事業名 | 事業主体 | 年度 | 補助対象事業費 | 左に対する国庫補助金 | 不当と認めた事業費 | 不当と認めた国庫補助金 | 摘要 |
| 千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||
| (48)大阪府 | |||||||
| 私立大学理科等教育設備整備費補助事業 | 学校法人帝塚山学院 | 43 | 2,055 | 957 | 1,454 | 656 | 設備購入費の過大精算 |
(3) 公立文教施設整備費
| 県名 | |||||||
| 事業名 | 事業主体 | 年度 | 補助対象事業費 | 左に対する国庫補助金 | 不当と認めた事業費 | 不当と認めた国庫補助金 | 摘要 |
| 千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||
| (49)茨城県 | |||||||
| 公立小学校校舎の新増築事業 | 勝田市 | 43 |
3,110
|
1,036 | 792 | 264 | 施設建築費の過大精算 |
(4) 公立文教施設災害復旧費
| 県名 | |||||||
| 事業名 | 事業主体 | 年度 | 補助対象事業費 | 左に対する国庫補助金 | 不当と認めた事業費 | 不当と認めた国庫補助金 | 摘要 |
| 千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||
| (50)青森県 | |||||||
| 公立文教施設災害復旧事業 | 八戸市 | 43 | 5,445 | 3,630 | 397 | 264 | 土留め練積みブロック擁壁工事の出来高不足 |
意見を表示しまたは処置を要求した事項
(1) 国立学校における受託研究等および奨学寄付金の取扱いについて是正改善の処置を要求したもの
(昭和44年11月18日付け44検第262号 文部大臣あて)
1 受託研究等の取扱いについて
国立学校において民間会社等から研究等を受託する場合には、当該研究等に要する費用として受け入れる収入は、受託調査試験等収入として歳入に納付させ、所要経費については、歳出予算から受託研究費等として支出して経理することになっている。
しかして、本院において、岩手ほか25大学における受託研究等の取扱状況について検査したところ、東北ほか16大学(注1)で、昭和43年度中、教官が民間会社等から大学で受託すべきものと認められる研究等を直接受託するなどして、ほとんど大学の施設、設備等を使用して研究等を行ないながら、教官等において、当該研究等に要する費用の全部または一部の金額を受け入れ、これを歳入に納付しないで保有し予算外に経理しているものが338件1億6669万余円(既往年度からの継続分を含む。)ある。さらに、その経理をみると、整理が十分に行なわれていないものが見受けられる状況である。
このような事態を生じているのは、受託研究等に関する明確な取扱規則等が整備されていないこともあって、教官がその取扱方法を十分認識していないこと等によるものと認められる。
ついては、今後、受託研究等の取扱方法について十分検討のうえ明確な取扱規則等を整備するとともに、教官に対してその取扱方法を周知徹底させるなど適切な処置を講じ、受託研究等の取扱いの適正を期する要があると認められる。
2 奨学寄付金の取扱いについて
国立学校において奨学寄付金を受ける場合には、奨学寄付金委任経理事務取扱規則(昭和39年文部省令第14号)等の定めるところにより、用途指定寄附金として歳入に納付し、所要経費については、歳出予算から奨学交付金として支出したうえ、委任経理金として経理することになっている。
しかして、本院において、岩手ほか25大学における奨学寄付金の取扱状況について検査したところ、東北ほか12大学(注2)で、昭和43年度中、教官が民間会社等から大学における研究助成等のための奨学寄付金を受け入れ、これを歳入に納付しないて保有し予算外に経理しているものが352件4700万余円(前年度繰越金等を含む。)ある。さらに、その経理をみると、整理が十分に行なわれていないものが見受けられる状況である。
このような事態を生じているのは、教官が奨学寄付金の取扱方法を十分認識していないこと等によるものと認められるので、今後、教官に対してその取扱方法を周知徹底させるなど適切な処置を講ずる要があると認められる。
(注1) 東北、山形、茨城、東京、東京農工,東京教育、富山、金沢、福井、信州、名古屋、京都、大阪、徳島、高知、九州、長崎各大学
(注2) 東北、茨城、東京、東京教育、新潟、金沢、名古屋、京都、大阪、徳島、高知、九州、長崎各大学
(2) 国立大学における国有財産および物品の管理について改善の意見を表示したもの
(昭和44年11月25日付け44検第268号 文部大臣あて)
文部省所轄の国立大学のうち、いわゆる大学紛争に伴い、国有財産および物品の亡失または損傷の事態を生じ多額の損害が発生しているものが少なくない。しかして、昭和44年3月末現在の損害額は、学生等により占拠または封鎖されているため損害の確認ができないものを除き、東京ほか17大学で国有財産8144万余円、物品7912万
余円計1億6056万余円に上っている状況である。
このような事態を生じているのは、おもに一部の学生等の不法行為によるものではあるが、他方、上記の施設の封鎖、占拠等の事態に対し、国有財産事務分掌者、物品管理職員等がその職責を遂行するため適時適切な処置を講ずることが困難であったこと等がその一因になっていると認められる。
ついては、今後、国有財産および物品の管理の万全を期するため適切な指導監督をするなどして、国有財産事務分掌者、物品管理職員等が事態に対応して適時適切な処置を講ずることができるようにし、この種事態の発生を防止する要があると認められる。
また、損害についての加害者に対する求償に関する事務処理についても、その促進について適切な処置を講ずる要があると認められる。