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  • 昭和43年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の事項

文部省


意見を表示しまたは処置を要求した事項

(1) 国立学校における受託研究等および奨学寄付金の取扱いについて是正改善の処置を要求したもの

(昭和44年11月18日付け44検第262号 文部大臣あて)

1 受託研究等の取扱いについて

 国立学校において民間会社等から研究等を受託する場合には、当該研究等に要する費用として受け入れる収入は、受託調査試験等収入として歳入に納付させ、所要経費については、歳出予算から受託研究費等として支出して経理することになっている。
 しかして、本院において、岩手ほか25大学における受託研究等の取扱状況について検査したところ、東北ほか16大学(注1) で、昭和43年度中、教官が民間会社等から大学で受託すべきものと認められる研究等を直接受託するなどして、ほとんど大学の施設、設備等を使用して研究等を行ないながら、教官等において、当該研究等に要する費用の全部または一部の金額を受け入れ、これを歳入に納付しないで保有し予算外に経理しているものが338件1億6669万余円(既往年度からの継続分を含む。)ある。さらに、その経理をみると、整理が十分に行なわれていないものが見受けられる状況である。
 このような事態を生じているのは、受託研究等に関する明確な取扱規則等が整備されていないこともあって、教官がその取扱方法を十分認識していないこと等によるものと認められる。
 ついては、今後、受託研究等の取扱方法について十分検討のうえ明確な取扱規則等を整備するとともに、教官に対してその取扱方法を周知徹底させるなど適切な処置を講じ、受託研究等の取扱いの適正を期する要があると認められる。

2 奨学寄付金の取扱いについて

 国立学校において奨学寄付金を受ける場合には、奨学寄付金委任経理事務取扱規則(昭和39年文部省令第14号)等の定めるところにより、用途指定寄附金として歳入に納付し、所要経費については、歳出予算から奨学交付金として支出したうえ、委任経理金として経理することになっている。
 しかして、本院において、岩手ほか25大学における奨学寄付金の取扱状況について検査したところ、東北ほか12大学(注2) で、昭和43年度中、教官が民間会社等から大学における研究助成等のための奨学寄付金を受け入れ、これを歳入に納付しないて保有し予算外に経理しているものが352件4700万余円(前年度繰越金等を含む。)ある。さらに、その経理をみると、整理が十分に行なわれていないものが見受けられる状況である。
 このような事態を生じているのは、教官が奨学寄付金の取扱方法を十分認識していないこと等によるものと認められるので、今後、教官に対してその取扱方法を周知徹底させるなど適切な処置を講ずる要があると認められる。

(注1)  東北、山形、茨城、東京、東京農工,東京教育、富山、金沢、福井、信州、名古屋、京都、大阪、徳島、高知、九州、長崎各大学

(注2)  東北、茨城、東京、東京教育、新潟、金沢、名古屋、京都、大阪、徳島、高知、九州、長崎各大学

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