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  • 昭和43年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の事項

労働省


第8 労働省

(労働者災害補償保険特別会計)

 昭和43年度歳入歳出決算額は、保険料収入1060億4561万余円等の収納済歳入額1590億0169万余円、保険金860億2562万余円等の支出済歳出額1003億9179万余円で、差引き586億0990万余円の剰余を生じた。しかし、翌年度に繰り越すべき未経過保険料相当額35億3566万円、支払備金相当額1027億8251万余円等計1066億2501万余円を控除すると、480億1511万余円の不足になっている。この不足金は、積立金がないので補足していない。
 また、損益は、保険料1065億0608万余円等の利益2040億3010万余円、保険金860億2117万余円等の損失2038億4597万余円で、差引き1億8413万余円の利益を生じている。しかし、前年度からの繰越損失102億0470万余円があるので、43年度末における累積損失は100億2057万余円になっている。
 検査の結果、別項記載のとおり、労働者災害補償保険保険料の徴収にあたり徴収額が不足していたもの がある。

(失業保険特別会計)

 昭和43年度歳入歳出決算額は、保険料収入1716億7148万余円、一般会計より受入353億4755万余円、運用収入120億6722万余円等の収納済歳入額2255億7850万余円、保険給付費1401億5315万余円、雇用促進事業団出資160億7628万余円等の支出済歳出額1722億6014万余円で、差引き533億1836万余円の剰余を生じた。そこで、一般会計から受け入れた国庫負担金の受入超過額等29億3186万余円を控除した503億8649万余円を翌年度において積立金として積み立てることにした。なお、43年度末における積立金は1930億3972万余円になっている。
 また、損益は、保険料1739億4971万余円等の利益2520億8494万余円、保険給付費1401億4508万余円等の損失1859億4240万余円で、差引き661億4253万余円の利益を生じている。これは、主として、保険料算定の基礎になった賃金の上昇による保険料の増加に比べ、受給者の減少により保険給付費の増加が少なかったためである。
 検査の結果、別項記載のとおり、失業保険保険料の徴収にあたり徴収額が不足していたもの および失業保険給付金の支給にあたり給付が適正でなかったもの がある。

不当事項

保険(135)−(137)

(135) 労働者災害補償保険保険料の徴収にあたり徴収額が不足していたもの

会計名および科目 労働者災害補償保険特別会計 (款)保険収入 (項)保険料収入
(款)雑収入 (項)雑収入
部局等の名称 北海道ほか28労働基準局
保険料納付義務者 488事業場
徴収決定済額 243,304,642円

 上記の488事業場から保険料243,304,642円を徴収するにあたって、調査が十分でなかったため、22,406,247円が徴収不足になっていた。これらは、本院の注意により、追徴金2,060,932円とともにすべて徴収決定された。
 これは、北海道ほか29労働基準局管内の831,864事業場のうち1.7%に当たる14,459事業場の保険料6,992,357,797円について検査した結果である。
 いま、これを労働基準局ごとに集計して掲げると、別表のとおりである。

(説明)
 この保険料は、労働者災害補償保険が適用される事業場から確定保険料報告書を添えて納付されることになっている。また、その報告書の内容が誤っている場合には、国が調査して保険料の額を算定し事業場に通知することになっている。
 しかして、本院において保険料徴収の適否について検査したところ、488事業場からの報告書の記載が誤っていたものに対し、前記の29労働基準局における調査が十分でなかったため、22,406,247円が徴収不足になっていた。

労働基準局 本院が調査した事業場数 徴収不足があった事業場数 左の事業場から当局が徴収した保険料額 左について適正と認められる保険料額 差引き徴収不足額 左に対する追徴金の額

北海道

1,378

70
千円
16,041
千円
18,201
千円
2,160
千円
215
宮城 240 5 1,470 1,789 318 31
秋田 90 2 382 405 23 2
山形 162 5 562 705 142 14
福島 275 20 3,808 4,411 602 28
茨城 363 6 1,479 1,828 349 34
栃木 224 10 2,255 2,527 271 27
埼玉 581 25 10,630 11,435 804 58
東京 1,298 44 28,965 30,811 1,846 184
神奈川 488 30 58,032 63,351 5,318 531
新潟 411 18 5,656 6,158 502 50
石川 348 11 26,638 27,259 620 62
福井 238 6 799 908 108 10
山梨 126 3 704 761 57 5
静岡 436 5 2,010 2,242 232 23
愛知 1,861 58 16,487 18,724 2,236 223
滋賀 213 3 297 350 52 2
京都 674 4 443 532 88 8
大阪 1,268 22 8,295 9,012 717 71
兵庫 464 22 12,861 13,622 760 76
岡山 551 29 10,006 11,038 1,032 103
広島 488 25 18,840 21,046 2,205 120
山口 466 11 2,146 2,507 361 13
徳島 146 1 137 150 12 1
愛媛 230 8 1,297 1,526 229 22
福岡 517 25 5,053 5,612 558 55
佐賀 239 2 237 294 57 5
熊本 226 11 1,879 2,389 509 50
大分 146 7 5,883 6,105 222 22
合計 14,147 488 243,304 265,710 22,406 2,060

(136) 失業保険保険料の徴収にあたり徴収額が不足していたもの

会計名および科目 失業保険特別会計

(款)保険収入 (項)保険料収入 

(款)雑収入 (項)雑収入
部局等の名称 北海道ほか29都府県
保険料納付義務者 797事業所
徴収決定済額 1,184,164,925円

 上記の797事業所から保険料1,184,164,925円を徴収するにあたって、調査が十分でなかったため、42,988,949円が徴収不足になっていた。これらは、本院の注意により、追徴金4,465,200円とともにすべて徴収決定された。
 これは、北海道ほか29都府県管内の520,869事業所のうち2.7%に当たる14,447事業所の保険料23,577,631,335円について検査した結果である。
 いま、これを都道府県ごとに集計して掲げると、別表のとおりである。

(説明)
 この保険料は、失業保険が適用される事業所から申告書を添えて納付されることになっている。また、申告書が提出されない場合または申告書の内容が誤っている場合には、国が保険料の額を決定しまたは更正することになっている。
 しかして、本院において保険料徴収の適否について検査したところ、797事業所からの申告書の記載が誤っていたり、申告書が提出されなかったりしたものに対し、前記の30都道府県における調査が十分でなかったため、42,988,949円が徴収不足になっていた。

都道府県別 本院が調査した事業所数 徴収不足があった事業所数 左の事業所から当局が徴収した保険料額 左について適正と認められる保険料額 差引き徴収不足額 左に対する追徴金の額

北海道

1,305

62
千円
36,678
千円
39,074
千円
2,395
千円
239
宮城県 301 13 11,021 11,801 780 70
秋田県 90 9 4,399 4,557 158 12
山形県 161 11 6,341 6,536 194 13
福島県 275 29 25,428 26,624 1,195 111
茨城県 288 20 8,634 9,272 637 62
栃木県 232 20 13,344 14,246 901 86
群馬県 311 13 8,964 9,605 640 62
埼玉県 583 21 12,916 13,518 602 58
東京都 1,295 150 533,059 548,906 15,846 1,580
神奈川県 488 31 114,792 116,885 2,093 345
新潟県 538 19 12,779 13,248 469 42
石川県 344 17 15,798 16,464 665 63
福井県 234 7 5,789 6,361 572 54
山梨県 146 5 1,952 2,139 187 19
静岡県 483 28 32,323 33,559 1,235 119
愛知県 1,799 54 48,495 51,181 2,685 257
滋賀県 235 11 11,804 12,325 520 49
京都府 682 52 54,902 56,658 1,755 208
大阪府 1,267 50 61,101 63,977 2,876 280
兵庫県 464 31 49,070 49,981 911 85
岡山県 547 23 18,952 20,031 1,078 97
広島県 488 17 22,075 22,719 643 60
山口県 384 15 5,825 6,213 388 38
徳島県 145 3 1,438 1,593 155 16
愛媛県 230 9 14,396 14,640 244 88
福岡県 517 29 23,107 24,474 1,366 165
佐賀県 239 15 7,655 8,093 437 41
熊本県 226 23 15,797 16,634 837 76
大分県 150 10 5,315 5,824 509 54
合計 14,447 797 1,184,164 1,227,153 42,988 4,465

(137) 失業保険給付金の支給にあたり給付が適正でなかったもの

会計名および科目 失業保険特別会計

(項)保険給付費

部局等の名称 札幌公共職業安定所ほか281箇所
受給者 841人
支給金額 52,249,754円

 上記の841人に対する保険給付金52,249,754円の支給において、調査が十分でなかったため、44,407,444円の支給が適正でなかった。これらについては、本院の注意により、すべて返還の処置がとられた。
 これは、札幌公共職業安定所ほか375箇所で支給した比較的離就職の多い職種の者23,554人について本院が調査した結果である。
 いま、これを都道府県ごとに集計して掲げると、別表のとおりである。

(説明)
 この保険給付金は、失業保険の受給資格者が失業の認定を受けた場合等に支給されることになっている。また、受給者は再就職したなどの場合には、その旨を公共職業安定所に届け出ることになっている。
 しかして、本院において保険給付の適否について検査したところ、事実と相違する就職年月日を届け出たり、事業主が証明した雇入年月日が事実と相違していたりなどして収入があるのに支給を受けていた受給者が841人あった。これは、公共職業安定所において届出や証明に対する調査が十分でなかったためである。

都道府県別 公共職業安定所等 本院が調査した受給者数 不適正受給者数 左の受給者に支給した給付金 左について適正と認められる給付金 要返還額

北海道

札幌ほか13箇所

1,465

56
千円
3,541
千円
710
千円
2,830
宮城県 仙台ほか3箇所 324 13 906 304 601
秋田県 秋田ほか8箇所 477 23 1,302 262 1,039
山形県 山形ほか6箇所 428 19 1,041 95 946
福島県 福島ほか10箇所 839 27 1,696 216 1,480
茨城県 水戸ほか7箇所 391 14 645 97 547
栃木県 宇都宮ほか8箇所 390 33 2,004 339 1,664
群馬県 前橋ほか9箇所 368 19 1,372 273 1,099
埼玉県 川口ほか12箇所 1,277 61 3,842 465 3,377
東京都 飯田橋ほか15箇所 1,481 62 3,870 326 3,544
神奈川県 横浜ほか10箇所 739 19 1,623 215 1,408
新潟県 新潟ほか6箇所 449 23 1,080 148 931
石川県 金沢ほか5箇所 269 16 896 172 723
福井県 福井ほか5箇所 334 25 1,495 83 1,412
山梨県 甲府ほか3箇所 176 9 574 124 449
静岡県 沼津ほか8箇所 570 22 1,247 76 1,171
愛知県 名古屋北ほか12箇所 819 25 1,537 297 1,240
滋賀県 大津ほか5箇所 402 20 1,224 176 1,048
京都府 京都西陣ほか11箇所 664 36 2,249 434 1,814
大阪府 大阪東ほか9箇所 537 20 1,496 248 1,248
兵庫県 神戸ほか13箇所 1,117 45 3,057 248 2,809
岡山県 岡山ほか9箇所 601 32 1,816 262 1,554
広島県 広島ほか11箇所 1,352 28 1,845 312 1,533
山口県 山口ほか8箇所 727 15 932 188 743
徳島県 徳島ほか5箇所 322 20 1,457 190 1,266
愛媛県 松山ほか5箇所 348 12 603 107 496
福岡県 福岡ほか15箇所 1,002 59 3,821 468 3,353
佐賀県 佐賀ほか6箇所 477 26 1,232 149 1,083
熊本県 熊本ほか8箇所 681 19 1,169 207 961
大分県 大分ほか7箇所 839 43 2,663 637 2,025
合計 282箇所 19,865 841 52,249 7,842 44,407