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  • 昭和43年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項

日本開発銀行


第3 日本電信電話公社

(事業概要について)

 日本電信電話公社の昭和43年度末における電話取扱局は、公社直営のもの1,673局、郵便局に業務を委託しているもの3,909局計5,582局であり、加入電話数は1136万余(ほかに農村集団自動電話67万余および集合自動電話1万余がある。)で前年度末に比べて147万余(14.9%)増加している。これを交換方式別にみると、自動式が1063万余で158万余の増加、共電式が4千余で1万3千余の減少、磁石式が72万余で9万余の減少になっている。この結果、加入電話普及率は100人当り11.1加入になり、また、自動化率は93.6%、自動即時化率は87.8%になっていて、いずれも向上している。加入電話のうち住宅用電話が占める割合は、前年度末の32.8%に対し36.8%に増加している。また、申込みを受けたが未架設になっている数は251万余で、前年度末に比べて8万余増加している。43年度末における公衆電話数は、普通公衆電話3万余個、委託公衆電話30万余個、局内公衆電話等2万余個計36万余個になっている。
 43年度末の電報取扱局所は、公社直営のもの1,284局、郵便局に業務を委託しているもの16,487局等であり、また、同年度末の加入電信(テレックス)取扱局は324局であり、加入数は2万7千余になって、前年度末に比べると5千余(26.0%)増加している。

(損益について)

 43年度における損益は、営業損益において利益66億4448万余円、営業外損益において損失6億0593万余円であって、差引き60億3854万余円の純利益になり、前年度に比べて176億8259万余円の利益減少になっている。
 このように純利益が前年度に比べて減少したのは、主として、減価償却費、利子及び債券取扱費等の費用が著しく増加したことによるものである。
 費用のうち減価償却費は2689億2943万余円で、前年度に比べて548億8530万余円増加している。これは建設投資の拡大に伴い償却の対象になる資産が増加したことによるほか、近年陳腐化等の現象が著しい電信電話機械施設および線路施設について一部品目の耐用年数を短縮したことによるものである。
 つぎに、営業損益を事業別にみると、電話事業では、収入7593億4190万余円、費用7082億7822万余円で、差引き510億6368万余円の利益になり、前年度に比べて143億6756万余円の利益減少になっている。また、電信事業では、収入249億2562万余円、費用693億4482万余円で、差引き444億1920万余円の損失になり、前年度に比べて33億9115万余円の損失増加になっている。これは、主として、電報業務において発信通数の減少に伴い収入が減少し、また、受付、配達事務に要する人件費等が増加したことによるものである。

(資金について)

 43年度の所要資金1兆1123億0122万余円については、前年度からの繰越金385億0603万余円、事業収入等8288億2982万余円、債券発行による収入金2449億6536万余円を充当している。
 しかして、43年度末における長期借入金および債券発行残高は1兆5530億8031万余円で、前年度末に比べて2284億4320万余円の増加になっている。また、43年度中の利子負担額は628億8856万余円で、前年度に比べて119億2271万余円の増加になっている。

(建設工事について)

 43年度における建設勘定の支出予算現額は5697億4019万余円、支出済額は5422億8269万余円で、274億5750万余円を翌年度に繰り越していて、支出済額は前年度に比べて588億4833万余円増加している。
 43年度は、電信電話拡充第4次5箇年計画の初年度に当たり、47年度までに所要資金3兆3770億円で加入電話の増設930万、農村集団自動電話の増設130万、公衆電話の増設15万個、市外電話回線の増設40万回線、電話局の建設2,000局、市外局の建設43局、加入データ通信施設の新設17システム、個別データ通信施設の新設47システムを目途としている。
 43年度の建設工事についてみると、年度内完了予定のものに対し前年度からの繰越し分を含めた実績は、加入電話の増設147万に対し147万余、農村集団自動電話の増設25万に対し25万余、公衆電話の増設3万2千余個に対し3万7千余個、市外電話回線の増設6万余回線に対し7万余回線、電話局の建設394局に対し433局、市外局の建設17局に対し17局、個別データ通信施設の新設3システムに対し3システムになっている。

(資材の調達管理について)

 43年度における貯蔵品購買費支弁による物品の購入額は3177億8890万余円で、建設工事量の増大を反映して前年度に比べて354億6101万余円の増加になっている。また、43年度末貯蔵品残高は129億4283万余円で、前年度末に比べて13億3739万余円増加している。なお、貯蔵品在庫回転率は7.24回になっていて、前年度の7.20回に比べて同程度になっている。

 検査の結果、別項記載のとおり、無線中継所専用道路の整備工事の施行にあたり、コンクリートブロック土留め、防雪さくを設計と相違して施工したもの がある。

不当事項

工事

(182) 無線中継所専用道路の整備工事の施行にあたり、コンクリートブロック土留め、防雪さくを設計と相違して施工したもの

1. 科目 (建設勘定) (項)局舎建設費
(損益勘定) (項)保守費
部局等の名称 北海道電気通信局札幌無線通信部
工事名 汐首無線中継所専用道路整備その他工事
工事の概要 車両の転落事故等を防止するため、山頂の無線中継所に至る専用道路の山腹部分にコンクリートブロック土留め等を施工したもの
工事費 10,480,000円
請負人 島藤建設工業株式会社
契約年月および契約の種類 昭和43年7月 指名競争契約
しゅん功検査 昭和43年11月
支払 昭和43年12月

 この工事は、監督および検査が適切でなかったため、コンクリートブロック土留め(工事費3,154,847円)の施工が設計と相違し、その強度が設計に比べて著しく低くなっていて、工事の目的を達していないと認められる。

(説明)
 この工事の設計図面および仕様書によると、コンクリートブロック土留め252m2 (工事費3,154,847円)は、控36.2cmの間知ブロックを使用し、胴込めおよび裏込めのコンクリート59m3 を配合比1:3:6で施工することになっていた。
 しかし、実際は、胴込めおよび裏込めのコンクリートを設計より配合が悪いもので施工しただけでなく、胴込めコンクリートのつき固めも十分でなかったため、コンクリートは容易に破砕される粗悪なものになっていて、間知ブロックと胴込めコンクリートが密着せず、築き立てた間知ブロックが十分に一体になっていない。このため、土留めとしての強度が設計に比べて著しく低くなっていて、工事の目的を達していないと認められる。

2. 科目 (建設勘定) (項)局舎建設費
(損益勘定) (項)保守費
部局等の名称 北海道電気通信局札幌無線通信部
工事名 美羅尾無線中継所専用道路整備工事
工事の概要 雪上車の転落を防止するため、山頂の無線中継所に至る専用道路の山腹部分に防雪さく等を施工したもの
工事費 6,650,000円
請負人 日景建設株式会社
契約年月および契約の種類 昭和43年7月 指名競争契約
しゅん功検査 昭和43年11月
支払 昭和43年12月

 この工事は、監督および検査が適切でなかったため、防雪さく(工事費2,007,272円)の施工が設計と相違し、防雪さくとしての強度が設計に比べて著しく低くなっていて、工事の目的を達していないと認められる。

(説明)
 この工事の設計図面および仕様書によると、防雪さく2箇所延長計102m(工事費2,007,272円)は、3m間隔に、路表面から1.55m掘削し、敷砂利厚さ12cm、捨てコンクリート厚さ3cmの上に鉄筋コンクリートの独立基礎36箇所を築造し、この基礎の上に高さ2mの鋼製防雪さくを設置することになっていた。
 しかし、実際は、型わくの施工およびコンクリートのつき固めが不良であったため、鉄筋コンクリートの内部に多くのすき間や空洞ができているだけでなく、随所に鉄筋が露出している。このため、防雪さく基礎としての強度が設計に比べて著しく低くなっていて、防雪さく工事の目的を達していないと認められる。