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  • 昭和44年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 政府関係機関その他の団体別の事項

中小企業信用保険公庫


第10 中小企業信用保険公庫

(事業概要について)

 昭和44年度において、保険事業では、北海道信用保証協会ほか50協会との間に保険関係が成立する保険価額を1兆0890億2100万円と予定したが、これに対し、保険関係が成立した保険価額は1兆0061億9288万余円で、前年度に比べて200億8820万余円増加している。中小企業信用保険公庫が44年度中に受け付けた保険価額の増加額は1兆0080億7431万余円、減少額は8595億0235万余円で、差引き年間純増加額は1485億7196万余円、年度末保険価額残高は1兆3807億4624万余円になっている。
 また、融資事業では、信用保証協会に対する貸付額を406億2300万円と予定したが、これに対し、貸付実行額は長期資金379億9500万円および短期資金21億9900万円計401億9400万円で、前年度に比べて67億2000万円増加している。この原資には、政府出資金65億円および貸付回収金等336億9400万円を充当している。

(損益について)

 44年度において、保険事業では、利益は、保険料46億2563万余円、回収金75億1293万余円、支払備金れい入20億2106万余円等142億6341万余円、損失は、保険金161億5111万余円、事務費8億6035万余円、支払備金繰入19億2475万余円等189億6932万余円で、47億0590万余円の損失金を生じている。
 また、融資事業では、利益は、貸付金利息13億3961万余円等13億4002万余円、損失は、事務費9907万余円等1億0458万余円で、12億3543万余円の利益金を生じている。
 上記の結果、総括損益においては損失金34億7046万余円を生じたので、45年8月、資本金を減額した。

(保険事業の損失金について)

 保険事業において、42年度以降保険金の支払が急増したなどのため保険収支が急激に悪化し、42年度51億1169万余円、43年度71億7274万余円の多額の損失金を生じている。これらの損失金については、融資事業の利益金で補てんした後総括損益において損失金を生じるときは責任準備金を取りくずして整理し、なお不足するときは、その不足額は保険準備基金を減額して整理しなければならないことになっているが、同基金について43年度43億5670万余円、44年度58億9863万余円をそれぞれ減額し、44年度末基金は43億8165万余円になっている。
 このような保険収支の悪化に対処するため、国の一般会計から同基金に43年度25億円、44年度40億円の出資を受けてきたが、一方、公庫および信用保証協会等の関係機関において43年9月から信用保証の審査の強化、回収の促進等を内容とする自主的改善措置が実施されることになった。
 44年度の損失金は47億0590万余円で、保険金の支払が大幅に減少したことなどにより、前年度に比べて24億6684万余円減少している。これは、前記の自主的改善措置の効果があらわれてきたことによるものと認められる。