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  • 昭和44年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 政府関係機関その他の団体別の事項

日本開発銀行


第13 日本開発銀行

(事業概要について)

 昭和44年度の貸付計画は、当初2700億円であったが、その後の改訂により2936億円になった。これに対し、貸付実行額は前年度までの計画に基づいて44年度に貸付実行した分を含め2921億8500万円で、前年度に比べて188億0400万円増加している。この原資には、資金運用部資金の借入金2286億円および回収金等635億8500万円を充当している。

 貸付実行額を貸付種類別にみると、そのおもなものは、電力221億1400万円、海運983億2200万円、地方開発450億6400万円、大都市再開発および流通近代化364億1600万円、電子計算機155億円であり、前年度に比べて増加の著しいものは、大都市再開発および流通近代化51億3300万円、電子計算機65億円である。また、石炭は17億5000万円で、前年度に比べて112億5000万円の著しい減少になっている。

 貸付実行額から回収額1218億8604万余円、滞貸償却額4億0377万余円等を差し引いた年間純増加額は1706億3750万余円であり、年度末貸付金残高は1兆6139億5417万余円(うち外貨貸付金549億7329万余円)になっている。上記の滞貸償却額は、すべて石炭鉱業に対する貸付けにかかわるものである。

 44年度末において弁済期限を6箇月以上経過した元金延滞額は111億8074万余円(うち1年以上延滞のもの52億1090万余円)で、前年度末に比べて57億7441万余円(1年以上延滞のものでは3億9918万余円)増加している。上記の元金延滞額のうち石炭鉱業に対するものは83億7344万余円で、前年度末に比べて58億2109万余円増加している。

 石炭鉱業に対する貸付金については、石炭鉱業再建整備臨時措置法(昭和42年法律第49号)に基づいて会社が国から交付を受ける元利補給金により弁済を受けていたが、44年5月、同法の一部改正によりその後の新規貸付金等について国の再建交付金による弁済を受けることになった。44年度中にこれらの交付金により弁済を受けた貸付金元本は33億4289万余円になっている。しかして、44年度末の石炭鉱業に対する貸付金残高906億8180万余円のうち前記の交付金により弁済を受けることになっているものは716億1430万余円である。また、前記の貸付金残高のうち会社が石炭の生産事業を廃止したことにより交付金による弁済を受けられなくなったものは70億0925万余円である。

 また、海運業に対する貸付けについては、海運業の再建整備に関する臨時措置法(昭和38年法律第118号)に基づいて39年5月から利子の支払を猶予していて、44年度から49年度までの間は会社が一定の利益を計上した場合には支払を受け、残額は49年度から59年度までの間に支払を受けることにしていた。しかし、44年7月、同法の一部改正により会社の利益計上の有無にかかわらず猶予利子の支払を受けることになった。この対象となる猶予利子の総額は300億2480万余円で、その44年度末残高は295億0861万余円になっている。しかして、日本開発銀行は、国からこの猶予利子に相当する額の交付金の交付を受けており、猶予利子の支払を受けることになったときは、これに相当する額を国に納付しなければならないことになっている。

 44年度において外貨債務を保証した額は、航空258億7827万余円、電力170億8416万円等447億6243万余円、減少した保証額は203億1613万余円で、年度末保証残高は2233億1403万余円になっている。

(損益について)

 44年度において、利益は、貸付金利息1059億5566万余円、受入交付金8億6898万余円等1153億3141万余円、損失は、借入金利息765億5770万余円、外貨債券利息21億6220万余円、事務費30億7739万余円等貸倒準備金繰入前で877億7239万余円になり、差額275億5901万余円のうち54億6776万余円を貸倒準備金に繰り入れた後、利益金220億9125万余円を生じ、このうち112億9767万余円を法定準備金として積み立て、残額107億9357万余円を国庫に納付した。貸倒準備金への繰入額は年度末貸付金残高(資金未交付額を除く。)の1000分の3.4に相当し、これを繰り入れた累積額479億1870万余円は年度末貸付金残高(資金未交付額を除く。)の100分の3に相当する額で、累積限度額と同額になっている。

 44年度の利益金220億9125万余円は前年度に比べて5434万余円増加しているが、法定準備金の積立額が前年度より11億9446万余円多かったため、国庫納付金107億9357万余円は前年度に比べて11億4011万余円減少している。

 44年度の総収益率は6.87%で前年度に比べて0.05%低下している。これは石炭鉱業に対する貸付けのうち439億3664万余円について利率年6.5%を3%に変更したことなどによるものである。一方、貸倒準備金繰入前の経費率は5.03%で、運用原資に占める借入金の構成割合が上昇したことなどにより前年度に比べて0.16%上昇している。

また、貸倒準備金繰入前の利益率日本開発銀行の図1は1.84%になり、前年度に比べて0.21%低下している。