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  • 昭和44年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 政府関係機関その他の団体別の事項|
  • 第17 首都高速道路公団|
  • 意見を表示しまたは処置を要求した事項

開削式工法によるずい道工事の予定価格の積算について処置を要求したもの


開削式工法によるずい道工事の予定価格の積算について処置を要求したもの

(昭和45年11月18日付け45検第364号 首都高速道路公団理事長あて)

 首都高速道路公団が昭和44年度中に契約し施行している首都高速4号線の建設工事のうち、開削式工法によるずい道構築を主体とする第453工区(その1)隧道新設工事ほか5件の工事(工事費約36億円)について検査した結果、現行の積算基準が工事施行の実情に適応していないなどのため、予定価格の積算が適切でないと認められるものが次のとおり見受けられた。

(1) 土留杭等を支える鋼製切ばり、腹起し等の山留支保工用資材の損料は、主材1t当りの損料額(主材の加工費、副資材の損料等を含んだ基本損料額に修理および損耗費を加えたもの)に主材のH形鋼のトン数を乗じて算定することとし、本件山留支保工用材の損料としてH形鋼4,764tに対して91,955,770円を積算している。
 しかして、同公団の積算基準に定められている上記損料額のうち、火打受ピース、隅角部ピース等の副資材の損料については、これら副資材が主材重量に対して21.6%の割合で使用されるとして算定したものであり、また、修理および損耗費については、H形鋼杭を土中に打ち込んで使用する場合の修理および損耗費相当額を算定したものである。
 しかし、上記の副資材率は、同公団が従来多数施行してきた高架橋基礎工事の標準的な山留支保工における所要割合であり、これに対して本件山留支保工は火打ばりが少ないなどのため、これに要する副資材は積算基準の損料算定の根拠とした所要割合21.6%を大きく下回ると認められ、副資材の損料は割高になっていると認められる。現に、その後同公団で調査した結果によっても副資材の主材に対する所要割合は8%程度になっている状況である。
 また、山留支保工に使用するH形鋼は、あらかじめ加工されたものを土中に打ち込まないで使用するため、その使用中の損耗、変形等は少なく、したがって、積算基準で見込んでいるH形鋼の修理および損耗費は割高になっていると認められる。

 上記の適切と認められる損料によって積算したとすれば、積算額は相当程度低減されたと認められる。

(2) 覆工受げた(高さ600mmの大形H形鋼)の損料は、前項の山留支保工用材の1t当り損料をそのまま適用して1,657t分47,317,442円を積算している。
 しかして、上記の覆工受げたの損料について、積算基準に定められている賃貸料等を前提とした通常のH形鋼の損料額を適用しなかったのは、この種覆工受げたが大形であるので、賃貸等が行なわれていないと判断したためである。
 しかし、この種覆工受げたについても賃貸等が行なわれているのが実情であって、その損料は通常のH形鋼の損料と同様、上記山留支保工用材の損料より割安になっているので、このような実態に即して積算したとすれば、積算額は相当程度低減されたと認められる。

(3) 覆工受げたの取付撤去費は、積算基準に示されている1t当り取付撤去費に20%の割増しを見込んで1,913t分44,971,506円を積算している。
 しかして、上記の割増しについては、積算基準により、中間杭のある場合は特に作業条件が悪くなるとして、全量に対して一律に20%の割増しを適用している。
 しかし、この種ずい道工事における覆工受げたの取付撤去作業は、中間杭があっても作業の条件がことさら悪くなるとは認められず割増しを計上する要はないと認められ、このようにして積算したとすれば積算額は相当程度低減されたと認められる。
 ついては、同公団においては、高速道路建設工事のうち開削式工法によるずい道工事を今後も引き続き施行するのであるから、上記の事例にかんがみ、工事の施行の実態を十分調査検討し、積算基準の整備を図るなどして予定価格積算の適切を期する要があると認められる。

〔参考図〕

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