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  • 昭和47年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の事項|
  • 第8 運輸省|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

しゅんせつ工事の予定価格の積算について処置を要求したもの


しゅんせつ工事の予定価格の積算について処置を要求したもの

(昭和48年11月16日付け48検第300号 運輸大臣あて)

 第一ほか4港湾建設局(注) が昭和47年度に施行した航路、泊地のしゅんせつ工事のうち、新潟西港港内一部浚渫工事ほか46工事(工事費総額90億4761万円)について検査したところ、下記のとおり、予定価格の積算が適切でないと認められる事例が見受けられた。
 このような事態を生じたのは、運輸省が定めている「港湾、空港請負工事積算基準」(以下「積算基準」という。)について、しゅんせつ工事における作業方法の改善及び作業船の改良に適応した整備が遅れていることによると認められる。
 ついては、同省においては、この種の工事を今後も引き続き施行するのであるから、施工の実態を十分調査検討し、積算基準の内容を整備して、予定価格積算の適正を期する要があると認められる。

(1) ポンプ式しゅんせつ船によるしゅんせつのため海底部に設置する排砂管の布設及び撤去費については、積算基準により、起重機船(15t吊り)、台船(30t積み)、潜水夫船(D20馬力)、引き船(D80馬力)の船団構成で施工することとし、この船団の排砂管10本(延べ60m)当たりの所要運転日数を1.2日として総額を123,741,590円と算定している。しかして、この積算基準は、排砂管(1本当たり長さ6m)を台船に乗せ、これを引き船で所定の地点までえい航し、海上で排砂管を接続し、これを起重機船と潜水夫船で布設し、しゅんせつ終了後はこれと逆の順序で撤去することとして定められたものである。
 しかし、施工の実態を調査したところ、排砂管の布設はまず陸上で10本程度を連結し、これを数本海上に浮かべ、引き船で所定の地点までえい航し、揚錨船と潜水夫船で布設しており、その船団構成は揚錨船(15t吊り)、潜水夫船(D20馬力)、引き船(D80馬力)、交通船(D30馬力)となっている。そして、このような施行方法によっているため海上での排砂管接続作業に要する時間が少なくなり、船団の所要運転日数は積算に当たって見込んだ日数を相当下回っている状況であった。
 したがって、本件各工事の施行に当たって上記の点を考慮して積算したとすれば、積算額を相当程度低減できたと認められる。

(2) ポンプ式しゅんせつ船の移動に伴いアンカーを移設するために使用する揚錨船の運転経費については、積算基準により、1日当たり運転時間を6時間、船員数を3人から5人として総額を118,097,380円と算定している。
 しかし、施工の実態を調査したところ、揚錨船の1日当たりの運転時間については、3時間程度であり、また、船員数については、揚錨船の運転時に作業を休止しているしゅんせつ船の船員の一部が揚錨船に乗り込んでこれを操作することとしているため、積算に当たって見込んだ数を相当下回っている状況であった。
 したがって、本件各工事の施行に当たって上記の点を考慮して積算したとすれば、積算額を相当程度低減できたと認められる。

(3) グラブ式しゅんせつ船で作業する場合のしゅんせつ土砂の運搬に使用する土運船及びその引き船の運転経費については、積算基準により、船員数を土運船については3人又は4人、引き船については5人又は6人として総額を495,291,716円と算定している。
 しかし、船員数の実態について調査したところ、現在使用されている大部分の土運船が土砂の放出を油圧で行っているなどの実情もあって、いずれも積算に当たって見込んだ人数を下回っていた。
 したがって、本件各工事の施行に当たって上記の点を考慮して積算したとすれば、積算額を相当程度低減できたと認められる。

(注)  第一、第二、第三、第四、第五各港湾建設局