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土留め擁壁コンクリート工事の施行に当たり、契約変更の際、型わく費の積算が適切でなかったため、契約額が割高になったもの


(175) 土留め擁壁コンクリート工事の施行に当たり、契約変更の際、型わく費の積算が適切でなかったため、契約額が割高になったもの

科目 (工事勘定) (項)山陽幹線増設費
部局等の名称 下関工事局福岡工事事務所
工事名 山陽新幹線山田工区路盤工事
工事の概要 新大阪起点541K760mから543K170mまでの間延長1,410mの路盤等を新設する工事
工事費 199,806,997円(当初契約額139,000,000円)
請負人 鉄建建設株式会社
契約 昭和46年7月 指名競争契約
昭和47年8月 (契約変更)

  この工事は、契約変更の際、土留め擁壁コンクリート工事の型わく費の積算が適切でなかったため、契約額が約830万円割高になったと認められる。

(説明)

 この工事のうち盛土の法面工事は、当初、岩座空張りで施工することとしていたが、着手前にこれを取りやめ、法面は吹き付け植生工とし、法じりには土留め擁壁コンクリートを施工するよう設計変更を行った。
 しかして、設計変更に伴う工事費についてみると、土留め擁壁コンクリート総量2,320m3 について、1m3 当たり18,100円総額41,992,000円と積算し、その他の設計変更分を合わせて契約額を208,716,445円に変更し、その後、土留め擁壁コンクリートを1,947m3 (積算額35,256,990円)に設計変更し、契約額を199,806,997円に変更していた。

 上記の土留め擁壁コンクリート工事費の内訳についてみると、1m3 当たり単価18,100円のうち、型わく費8,799円については、土留め擁壁を基礎部と本体部に区分し、それぞれの型わく延べ面積(基礎部1,222m2 、本体部5,809m2 )をそれぞれの体積(基礎部600m3 、本体部1,722m3 )で除してコンクリート1m3 当たりの型わく面積を基礎部2.03m2 、本体部3.38m2 と算出し、積算要領に定めてある労務歩掛かり(1m2 当たり基礎部については「土留め基礎」の大工0.16人、土工0.14人、本体部については「土留め擁壁」の大工0.19人、土工0.18人)等を適用してコンクリート1m3 当たりの型わく費を基礎部2,922円、本体部5,877円と算定し、これらを合計した8,799円を擁壁コンクリート1m3 当たりの型わく単価としている。

 しかし、上記のように基礎部、本体部ごとのコンクリート1m3 当たりの単価を更に合計したのは誤りであり、型わく費が過大に計上された結果になっている。

 以上のほか、上記の積算に当たって積算要領を適用する際型わく材料の損率適用を誤って、合板及び補助木材については20%を乗ずべきところ25%を乗じ、リップ溝形鋼については2.5%を乗ずべきところ3%を乗じていた。一方、本件土留め擁壁は、基礎部と本体部が一体として施工されるものであるから、このような擁壁の型わく費の算定に当たっては、基礎部と本体部に区分して「土留め基礎」、「土留め擁壁」の歩掛かり等を適用する方法によることなく、すべて「土留め擁壁」として積算要領を適用すべきであったと認められる。
 いま、仮に、上記について修正計算すると、コンクリート1m3 当たり型わく費は5,026円となり、これによれば土留め擁壁は1m3 当たり13,800円総量1,947m3 分26,881,020円、工事費は191,431,027円となり、本件契約額はこれに比べて約830万円割高であったと認められる。