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  • 昭和47年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 政府関係機関その他の団体別の事項|
  • 第15 日本輸出入銀行

日本輸出入銀行


(事業概要について)

 昭和47年度の貸付承諾額は6459億8784万余円で、前年度に比べて905億0632万余円増加している。これは、輸入金融が629億8390万円、外国政府等に対する借款が298億3127万余円増加したことなどによるものである。

 47年度の貸付実行計画は、前年度までの承諾に基づいて47年度に貸付実行の計画をした分を含め6350億円であり、これに対し、貸付実行額は5795億8303万余円で、前年度に比べて961億0663万余円増加している。
 貸付実行額のうち、輸出金融は3657億9935万円で、前年度に比べて61億3678万円の増加にとどまっている。輸入金融は967億4140万円で746億4420万円増加している。これはウラン濃縮役務代金前払資金にかかわる貸付け847億6800万円(全額外貨貸付け)が行われたことによるものである。海外投資金融(海外事業金融を含む。以下同じ。)は646億9811万余円で61億2481万余円増加している。また、外国政府等に対する借款は523億4417万余円で92億0083万余円増加している。

 47年度においては、内外経済情勢の変化に対応して輸入金融及び海外投資金融の拡充、輸出金融の適正化等を図るため、47年9月に外貨による輸入資金及び海外投資資金の貸付けを開始するとともに、11月に日本輸出入銀行法(昭和25年法律第268号)の一部が改正され、輸入金融及び海外投資金融の拡充等が行われた。また、貸付利率を改定し、11月以降の貸付承諾分から、原則として、輸出金融については年1%引き上げて年4.5%ないし年7.5%とし、輸入金融及び海外投資金融については年1%引き下げて年4%ないし年7%としている。

 なお、46年12月の基準外国為替相場の変更に伴い、同年8月以前に貸し付け承諾した貸付金にかかわる外貨建て債権に為替差損を生じたものについて、47年度中に償還期限が到来した元金のうちの差損相当額の償還を猶予しており、年度末の償還猶予額は312億5412万余円となっている。
 貸付実行額5795億8303万余円(うち外貨貸付金1020億1301万余円)から回収額3695億9266万余円(うち外貨貸付金432万余円)及び外貨貸付金の年度末評価に伴う減少額5億4608万余円を差し引いた貸付金の年間純増加額は2094億4428万余円であり、年度末貸付金残高は2兆0353億4083万余円(うち外貨貸付金1014億6260万余円)となっている。
 47年度中の資金交付額は5795億8303万余円で、この原資には、産業投資特別会計からの出資金630億円、資金運用部資金からの借入金2700億円及び回収金等2465億8303万余円を充当している。
 47年度において債務を保証した額は53億2928万余円、減少した保証債務額は89億9954万余円(うち保証債務履行額は59億8895万余円)で、年度末保証債務(支払承諾)残高は341億3384万余円となっている。

 パキスタン政府に対する借款については、47年5月の対パキスタン債権国会議における債務救済の取決めに基づき、46年5月から48年6月までの間に償還期限が到来する元本75億4633万余円(うち47年度末までの分67億3633万余円)についてその償還条件を49年7月まですえ置き後3年間の均等半年賦払いに変更し、貸付利率を47年4月以降年4%(原利率年5.5%ないし年6.0%)に引き下げた。また、日本輸出入銀行が債務を保証している市中銀行の協調融資分のうち、47年度中に償還期限が到来した元本24億0619万余円について保証債務を履行し、46年度中に保証債務を履行した16億5685万余円と合わせた40億6305万余円を上記と同一の条件により同政府に対する借款としている。これにより、同政府に対する借款の年度末残高は666億7110万余円となっている。

 インド政府に対する借款については、前年度に引き続き債権繰延べ措置を講じており、47年度中に償還期限が到来した元本81億9197万余円についてその償還条件を57年12月まですえ置き後15年間の均等半年賦払いに変更し、貸付利率を年4%(原利率年5.5%ないし年6.25%)に引き下げた。また、日本輸出入銀行が債務を保証している市中銀行の協調融資分のうち、47年度中に償還期限が到来した元本35億8276万余円について保証債務を履行し、同額を上記と同一の条件により同政府に対する借款としている。これにより、同政府に対する借款の年度末残高は1501億1930万余円となっている。

(損益について)

 47年度の一般勘定において、利益は、貸付金利息1064億8296万余円等1271億2482万余円、損失は、借入金利息1037億2258万余円、事務費19億6354万余円等貸倒準備金繰入れ前で1209億7761万余円となり、差額61億4720万余円を全額貸倒準備金に繰り入れたため利益金を生じなかった。この繰入れ額は年度末貸付金残高2兆0107億2306万余円の1,000分の3.05に相当し、これを加えた貸倒準備金207億7569万余円は年度末貸付金残高の100分の1.03となっている。
 47年度の総収益率は4.95%で、前年度に比べて0.02%上昇している。貸倒準備金繰入れ前の経費率は4.62%で、前年度と同率となっている。また、貸倒準備金繰入れ率は0.32%となり、前年度に比べて0.02%上昇している。
 また、インドネシア共和国の中央銀行に対する借款にかかわる債権繰延べ関係の経理を整理する特別勘定においては、4514万余円の利益金を生じ、これを全額積立金として積み立てた。