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  • 昭和48年度|
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  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

輸出保険特別会計の保険料の徴収等の経理について処置を要求したもの


輸出保険特別会計の保険料の徴収等の経理について処置を要求したもの

 (昭和49年11月28日付け49検第355号通商産業大臣あて)

 通商産業省所管にかかわる輸出保険特別会計の昭和48年度の経理について検査したところ、次のとおり、保険料の徴収等の経理が適切でないと認められる点が見受けられた。

 すなわち、同特別会計で経理している輸出保険のうち輸出代金保険(以下「代金保険」という。)及び普通輸出保険設備等包括保険(以下「設備保険」という。)の48年度中における保険引受件数は、代金保険3,992件、設備保険3,952件となっており、これらについては保険契約時に保険料を徴収する(代金保険については引受時に20%、輸出貨物船積み時に80%)ことになっているが、上記の保険引受件数のうち48年度中に保険料の徴収決定の処理をしたものは、代金保険で396件57,866,668円、設備保険で941件274,449,296円にすぎず、代金保険3,596件、設備保険3,011件については保険料額の算出等保険引受けの際行うべき経理もしないままとなっている。

 そして、同特別会計の48年度の損益計算書には、48年度発生の保険料を10,170,436,179円と計上しているが、このうち4,269,652,919円(代金保険の保険料2,566,705,577円、設備保険の保険料1,702,947,342円)は、上記のように保険料の徴収の経理を行っていないため推定により計算したものであり、また、貸借対照表には、未収保険料を9,376,662,509円、未経過保険料を16,878,991,000円、異常危険準備金を10,170,436,179円、本年度利益を3,836,481,535円と計上しているが、これらも上記の推計額が計算の要素となっているものである。

 このような事態を生じたのは、保険料の徴収等に関する事務が著しく遅延していること、また、同省事務担当者の保険にかかわる経理事務に対する認識が十分でなかったことなどによると認められる。

 このことについて、同省に対し関係事務の促進方について注意を促したところ、同省では、その後債権額の確定に努め、その結果、49年10月末までに、前記の財務諸表に計上されている保険料及び未収保険料をそれぞれ2,848,608,379円、未経過保険料を2,769,093,000円、異常危険準備金を2,848,608,379円減額すべきことが判明し、この結果本年度利益は2,769,093,000円増となるが、なお、保険料の推計額が約16億5200万円に上っているとのことである。

 ついては、推計額で計上しているものについて、それぞれその内容をは握し、徴収決定を速やかに行うなど経理処理を促進するとともに、これらの経理に関して、関係職員に対する指導監督、研修等を徹底し、会計経理の適正を期する要があると認められる。

(備考)

 内閣では49年12月5日付けで昭和48年度通商産業省所管輸出保険特別会計歳入歳出決定計算書等の一部を訂正した。本件で引用している計数のうち、この訂正によって異動したものは次のとおりである。

48年度発生の保険料 10,170,436,179円 7,690,050,502円
未収保険料 9,376,662,509円 6,896,276,832円
未経過保険料 16,878,991,000円 14,425,416,000円
異常危険準備金 10,170,436,179円 7,634,598,823円
本年度利益 3,836,481,535円 6,345,508,214円