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  • 昭和48年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 所管別の事項|
  • 第10 建設省|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

橋りょう塗り替え工事における塗装費の積算について処置を要求したもの


(2) 橋りょう塗り替え工事における塗装費の積算について処置を要求したもの

 (昭和49年11月29日付け49検第357号 建設大臣あて)

 東北ほか7地方建設局(注) 及び北海道開発局(以下「各地方建設局等」という。)が昭和48年度に施行した橋りょう塗り替え工事(以下「塗り替え工事」という。)のうち、十和田国道橋梁塗装工事ほか96工事(工事費総額11億7607万余円)について検査したところ、次のとおり、塗装費の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。

 すなわち、上記の97工事は、いずれも鋼道路橋の塗り替えを行うものであるが、これらの工事の予定価格の内訳についてみると、塗り替えに要する労務費については、上記の各地方建設局等がそれぞれ独自に定めた標準歩掛かりにより総面積約690,000m2 分で6億6262万余円と算定している。

 しかして、上記の標準歩掛かりは、いずれも42年に建設省が定めた「橋梁上部工積算基準(案)」(以下「積算基準案」という。)を基にして作成されたものであり、49年3月の積算基準案の改定に伴ってその大部分が従来より若干低いものに改定されているが、本院がこれらの塗り替え工事の施工の実態を調査したところ、いずれも改定後の標準歩掛かりを下回る歩掛かりで施工されている状況であり、また、関係諸団体の積算資料等をみてもこの施工の実態とほぼ同程度の歩掛かりが定められている。したがって、本件各工事の施行に当たって、施工の実態に適合した歩掛かりによって積算したとすれば、積算額を約1億円程度低減できたと認められる。

 このような事態を生じたのは、同省が標準歩掛かり作成の基礎として各地方建設局等に示している積算基準案に足場、工具等の改良に伴って作業能率が向上している最近の作業の実態や、関係諸団体の積算資料等の歩掛かりが反映されていなかったことなどによると認められる。

 ついては、同省においては、各地方建設局等がこの種工事を今後も引き続き施行するのであり、しかも、この種工事は工事費に占める労務費の割合がかなり大きいのであるから、施工の実態を十分調査検討の上積算の基準を早急に整備して、これにより各地方建設局等の標準歩掛かりの内容を適切なものに改定させ、もって予定価格積算の適正を期する要があると認められる。

 (注)  東北、関東、北陸、中部、近畿、中国、四国、九州各地方建設局