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  • 昭和48年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 政府関係機関その他の団体別の事|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

引上げ用ガス隔壁付きケーブルの仕様について処置を要求したもの


引上げ用ガス隔壁付きケーブルの仕様について処置を要求したもの

 (昭和49年11月22日付け49検第350号日本電信電話公社総裁あて)

 日本電信電話公社で、地下ケーブルと架空ケーブルの接続箇所に使用するため昭和48年度中に購入した引上げ用ガス隔壁付きケーブル(注1) (以下「隔壁付きケーブル」という。)は25,275本総額36億9799万余円であるが、検査の結果、次のとおり適切でないと認められる点が見受けられた。

 すなわち、同公社では、隔壁付きケーブルについて、仕様書でその定尺を20m、25m、30m及び40m(48年11月に15m、20m、25m、30m及び35mに改定)と定めているので、電気通信局等工事実施部局が工事に必要な隔壁付きケーブルの準備要求をするに当たって、必要な長さ(以下「必要長」という。)が40m(48年11月以降は35m)以下の場合には、購入するものの長さ(以下「購入長」という。)を必要長の直近上位の定尺とすることとしている。そして、48年度中に購入した前記の隔壁付きケーブルのうち定尺を購入長としたものは19,703本総額25億3880万余円に上っている。しかして、関東ほか2電気通信局(注2) 及び管内の電気通信部等が48年度中に施行した小山局加入者新増設工事ほか123工事について、隔壁付きケーブルの使用の実態を調査したところ、工事施工の際布設した隔壁付きケーブル1,706本延長49,550mは、そのうち延長約6,200m(購入価額相当額約1600万円)が必要長を超えていて不要であったため切り取られてくずとして処理されており、他の電気通信局等においても、前記のような購入長の決定方法からみて同様の事態を生じていると認められる。

 このような事態を生じたのは、この隔壁付きケーブルは、近年、電話需要の増加などに応ずるために既設してある空き引上げ管に布設される場合が大部分で、この場合は、必要長が準備要求時点で既に確定しており、また、引上げ管の新設の場合でも、その設計に当たっては現地について位置、長さなどを精査しているので、施工時になって必要長が変動するような事態は極めて少なくて必要長を購入長とすれば足りるのに定尺を購入長とすることとしていることによると認められる。

 ついては、この隔壁付きケーブルは、電話の増設等に伴い、今後も引き続き多量に購入することが見込まれ、特に、このうち35m以下のものが大部分を占めるのであるから、これらについては、現行の定尺による仕様について検討を加えて必要長を購入長とするようにし、経費の節減を図る要があると認められる。

(注1)  引上げ用ガス隔壁付きケーブル 地下に布設する電話ケーブルについては、外被に損傷を生じた場合に、浸水による障害をなるべく生じないようにし、かつ、損傷の発見を容易にするため、ガスをケーブルの中に常時圧入している。そして、地上に架設するケーブルにはガスを圧入していないので、ガスが地下ケーブルだけにとどまるように、地下ケーブルが地上へ立ち上がって架空ケーブルと接続する箇所に内部を気密状態にした部分(これを「ガス隔壁」という。)を設ける必要があり、ケーブルの地下部分と地上部分とを接続する際は、このガス隔壁を中間にもったケーブルによって、地下ケーブルと架空ケーブルとを接続する。このケーブルを引上げ用ガス隔壁付きケーブルという。(下図参照)

引上げ用ガス隔壁付きケーブルの仕様について処置を要求したものの図1

 (注2)  関東、東海、四国各電気通信局

 検査の結果、本院の注意により、当局において処置を講じたものが次のとおりある。

(とう道築造工事における配線工費の積算について)

 東京ほか3電気通信局(注) が昭和48年度に契約した白金、四谷局間中継線工事(土木)その3ほか20工事について検査したところ、次のとおり、仮設用電線の配線工費の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。

 すなわち、上記の各工事はいずれもシールド工法によりとう道(ケーブルを収容するトンネルの日本電信電話公社における呼び名)を築造する工事であるが、予定価格の積算に当たって、とう道築造の際坑内に仮設する照明用、動力用の電線の配線工費(積算額合計1億4563万余円)については、同公社が定めた積算要領に示されている労務工数(とう道1m当たり1.40人)を基にして算定していた。しかし、本院の調査の結果によれば、上記の労務工数は作業の実績を大幅に上回るものとなっており、この作業の実情に適合した労務工数によって計算したとすれば積算額を約1億円程度低減できたと認められた。

 上記について、当局の見解をただしたところ、日本電信電話公社では、49年7月に積算基準を改め、配線工の労務工数を作業の実情に適合したものとすることとし、9月以降実施する工事についてこれを適用することとする処置を講じた。

 (注)  東京、関東、東海、近畿各電気通信局

(空気調整設備工事における矩(く)形風道の仕様及び製作取付け費の積算について)

 日本電信電話公社本社及び東京ほか9電気通信局(注) が昭和48年度に契約した青山電電ビル空気調整装置設備工事ほか28工事について検査したところ、次のとおり、矩(く)形風道(以下「風道」という。)の仕様の決定及び製作取付け費の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。
 すなわち、上記の各工事においては、風道の角の継ぎ目は「ピッツバーグはぜ継」により施工することとし、この製作取付け費(積算額合計2億8739万余円)については、同公社が定めている標準歩掛かり(手作業を前提として定めたもの)を基にして算定していた。しかし、本院の調査の結果によれば、近年では「ピッツバーグはぜ継」の場合でも機械による施工が行われ、また、これに比べて仕上がりにほとんど差がなく一段と能率のよい「ボタンパンチはぜ継」による施工が一般化しており、これらの実情に適合した工法を採り入れたとすれば、積算額を約4600万円程度低減できたと認められた。

 上記について、当局の見解をただしたところ、日本電信電話公社では、49年10月に標準仕様書を改め、「ボタンパンチはぜ継」工法を採り入れることとするとともに、標準歩掛かりを施工の実情に適合したものに改める処置を講じた。

 (注)  東京、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、東北、北海道各電気通信局

(参考図)

(参考図)