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  • 昭和48年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 政府関係機関その他の団体別の事|
  • 第18 日本鉄道建設公団|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

潜函工事における掘削沈下の設計について処置を要求したもの


潜函工事における掘削沈下の設計について処置を要求したもの

 (昭和49年11月22日付け49検第353号 日本鉄道建設公団総裁あて)

 盛岡支社及び新潟新幹線建設局が昭和48年度中に施行している久慈線安家川橋りょう基礎その他工事ほか2工事(工事費総額11億0785万余円)について検査したところ、次のとおり、掘削沈下の設計が適切でなかったため、ひいては不経済な結果になっていると認められる点が見受けられた。

 すなわち、上記の工事はいずれも潜函工法(注) により橋りょうの橋脚等を新設する工事であるが、これらの工事においては、潜函1基当たり竪(たて)管及び気閘(こう)(以下「竪(たて)管等」という。)を1箇所設置して掘削土砂の搬出を行う設計とし、これに基づいて潜函の掘削沈下費を15基分で総額5億3369万余円と積算している。しかし、これらの各工事はいずれも大口径(断面積60m2 程度以上)の潜函を使用するものであり、このような大口径の潜函を沈下させる場合には、潜函1基当たり竪(たて)管等を2箇所設置し、これとクレーン1台を組み合わせて掘削土砂を搬出することが十分可能であり、この方法によったとすれば、掘削作業の能率が著しく向上し、一方、竪(たて)管等の設置に要する経費は増加するが、潜函外の作業施設及び作業人員は竪(たて)管等1箇所の場合と大差がないなどのため、工事費を低減できたと認められる。いま、前記の各工事のうち久慈線安家川橋りょう基礎その他工事の場合(橋脚4基、この掘削沈下費積算額1億2365万余円)を例に採って、竪(たて)管等を2箇所設置する経済的な工法で施工するものとして計算してみると、掘削沈下費を約1830万円程度低減できたことになる。

 ついては、日本鉄道建設公団においては、新線及び新幹線の建設に伴いこの種の潜函工事を今後も多数施行するのであるから、設計に際して経済的な施工方法を採用するよう設計担当者を指導するとともに、それに適合した適切な積算基準を作成し、もって経費の節減を図る要があると認められる。

 (注)  潜函工法 参照