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  • 昭和49年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 所管別の事項|
  • 第9 郵政省|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

郵便貯金の超過契約分にかかわる支給済み貯蓄奨励手当の回収について処置を要求したもの


(2) 郵便貯金の超過契約分にかかわる支給済み貯蓄奨励手当の回収について処置を要求したもの

 (昭和50年10月31日付け50検第394号 郵政大臣あて)

 郵便貯金法(昭和22年法律第144号)の定めるところによれば、郵便貯金については預金者ごとの貯金総額の最高制限額があり、預金者ごとの貯金総額がこの制限額を超過した場合には、貯金総額を制限額以内に減額することになっている。しかして、郵政省では、郵便貯金のうち定額郵便貯金及び積立郵便貯金でその契約が郵便局職員の募集にかかわるものである場合には当該募集をいた職員に対して貯金額に応じて貯蓄奨励手当(以下「手当」という。)を支給しており上記の減額処理をした場合、その減額を要する貯金額に対して手当が支給されていれば、これを当該職員から回収することとしている。

 しかして、同省における49年度の定額郵便貯金及び積立郵便貯金の契約総額は6兆7009億7455万余円、また、手当支給総額は229億5265万余円に上っているが、本院が関東、近畿両郵政局管内の郵便局(49年度の定額郵便貯金及び積立郵便貯金の契約総額2兆4960億2543万余円、手当支給総額84億4127万余円)について貯金総額の減額処理及びこれに伴う支給済み手当回収の状況を調査したところ、同年度においては、地方貯金局における調査の結果により預金者に対して定額郵便貯金1,868件55億3609万余円の減額通知をしているにもかかわらず、支給済み手当の回収はほとんど行われていなかった。しかし、上記の契約総額中に郵便局職員の募集にかかわるものが相当の割合を占めていることからみて、減額通知をしたものの中にも手当支給の対象となっているものが相当程度含まれていると認められ、このことからみて、上記のように支給済み手当の回収をほとんどしていないのは適切とは認められない。

 このような事態を生じたのは、貯金契約の経緯等を記録した貯金原符の保存期間が同省の通達により全国各郵便局共通に6箇月と定められていることもあって、貯金総額の減額処理を要することが地方貯金局の調査によって判明した時点では、既に貯金原符の大部分が処分されていて、当該超過分が郵便局職員の募集にかかわるものか、預金者の自発的な預入にかかわるものかの判別が困難となっていることによると認められる。そして、このような事態は全国の各郵便局において共通的に生じていると認められる。

 ついては、貯金総額の減額処理を要することが判明した時点において当該超過分が郵便局職員の募集にかかわるものであるか否かの調査ができるよう事務処理体制を整備し、適切な回収処置を講ずる要があると認められる。