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  • 昭和49年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 政府関係機関その他の団体別の事項|
  • 第12 環境衛生金融公庫|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

貸付けの適正化について処置を要求したもの


貸付けの適正化について処置を要求したもの

(昭和50年12月1日付け50検第413号 環境衛生金融公庫理事長あて)

 環境衛生金融公庫では、環境衛生関係営業者等に対し、衛生水準を高め、及び近代化を促進するために必要な資金を金融機関に委託して貸し付けている(昭和49年度末貸付金残高2894億0571万余円)が、このうち、48、49両年度に貸し付けた北海道ほか18都府県下の103受託金融機関の取扱いにかかわる367貸付先分50億1313万余円について調査したところ、次のとおり適切でないと認められる事例が見受けられた。

(1) 貸付けの対象とならない施設又は設備(以下「施設等」という。)を対象として貸し付けていたり、貸付金の全部又は一部が貸付目的外の用途に使用されていたり、貸付対象施設等の一部が貸付目的外の用途に転用されているものなど

18貸付先
71,144千円

(2) 基準利率より低率の利率を適用する特別利率貸付において、その対象とならない施設等に対して貸し付けていたり、貸付対象施設等の一部が設置されていなかったり又は計画事業費より少額で設置されているものなど

39貸付先
62,154千円

 (注) (1)(2)の事態が重複しているものが2貸付先ある。

 このような事態を生じたのは、借受け者の側において、この制度についての認識が十分でないことにもよるが、なお次のような理由によると認められる。

(ア) 貸付けに関し受託金融機関が準拠すべき規定に不備があり、また、それを補うべき同公庫の指導も十分でないため、受託金融機関が貸付けに当たって審査を十分に行っていなかったり、貸付後における貸付金の使用状況及び貸付対象事業の実施状況の確認を的確に行っていないこと

(イ) 貸付契約の特約条項上、借受け者が公庫の承認を受けないで貸付対象施設等を貸付目的外の用途に使用した場合の対応措置に関する規定が不備であるため、受託金融機関において適切な対応処置ができないこと

 ついては、上記の事態についてさきに行った本院の注意により同公庫が50年9月に受託金融機関に対して取りあえず発した資金使途確認の強化に関する通達の実行を確保するとともに、貸付けに関する諸規定及び貸付契約の特約条項を改正整備し、受託金融機関に対する指導を十分行って、貸付けに当たっての審査及び貸付後における貸付対象施設の使用状況のは握を的確に行わせるほか、同公庫においても受託金融機関及び貸付先に対し適時適切な監査を行い、もって貸付けの適正を期する要があると認められる。