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  • 昭和49年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 政府関係機関その他の団体別の事項

日本開発銀行


第14 日本開発銀行

(事業概要について)

 昭和49年度の貸付計画は、当初5900億円であったが、その後の改定により6402億円となった。これに対し、貸付実行額は前年度までの計画に基づいて49年度に貸し付け実行した分を含め6316億5400万円で、前年度に比べて877億2000万円増加している。
 貸付実行額を貸付種類別にみると、その主なものは次のとおりである。

都市開発 1093億2500万円
地方開発 998億5500万円
国民生活改善 1780億8900万円
エネルギー 641億7500万円
海運 786億1600万円
技術振興 629億円

 このうち、前年度に比べて増減の著しいものは、国民生活改善(804億9100万円増)、地方開発(187億9500万円増)、海運(180億8100万円減)である。国民生活改善及び地方開発が増加したのは、苛性ソーダの製法転換に伴う貸付け524億5000万円(国民生活改善434億5000万円、地方開発90億円)が行われたことなどによるものである。なお、49年10月、基準利率を従前の年9.4%から年9.9%に引き上げている。

 貸付実行額から回収額2587億5211万余円及び滞貸償却額3億9955万余円を差し引いた貸付金の年間純増加額は3725億0233万余円であり、年度末貸付金残高は3兆0104億6830万余円(うち外貨貸付金196億8887万余円)となっている。このうち弁済期限を6箇月以上経過した元金延滞額は196億0969万余円(うち1年以上延滞のものは195億8719万余円)で、前年度末に比べて5億6856万余円(1年以上延滞のものでは4億7925万余円)減少している。上記の元金延滞額のうち169億0979万余円は石炭鉱業に対するもので、前年度末に比べて8億7687万余円減少している。

 石炭鉱業に対する貸付けについては、石炭鉱業再建整備臨時措置法(昭和42年法律第49号)に基づいて会社が国から交付を受ける元利補給金及び再建交付金により貸付金の一部について弁済を受けることになっている。また、会社が石炭の生産事業を廃止したときは、日本開発銀行はこれらの補給金等による弁済を受けられなくなるが、担保権を実行するなどしてもなお元本の償還に関し損失を受けたときはその2分の1に相当する金額を国から補償されることになっている。日本開発銀行が49年度中に補給金等により弁済を受けた貸付金元本は53億6340万余円で、国からの損失補償額は8978万余円である。年度末の石炭鉱業に対する貸付金残高は702億5473万余円で、このうち、補給金等により弁済を受けることになっているものは485億2182万余円であり、当初予定した補給金等による弁済を受けられなくなっているものは123億9073万余円である。

 また、海運業に対する貸付けについては、海運業の再建整備に関する臨時措置法(昭和38年法律第118号)に基づいて日本開発銀行が49年度中に会社から支払を受けた猶予利子の額は14億5911万余円で、猶予利子の年度末残高は231億7892万余円となっている。

 49年度中の資金交付額は6238億8900万円で、この原資には、資金運用部資金からの借入金4482億円、外貨債券5000万ドルの発行による収入金141億5278万余円及び回収金等1615億3621万余円を充当している。

 49年度において外貨債務を保証した額は、電力49億4882万余円、航空301億5689万余円計351億0571万余円、減少した保証債務額は348億1291万余円で、年度末保証債務(支払承諾)残高は3016億1466万余円となっている。

(損益について)

 49年度において、利益は、貸付金利息2145億6574万余円等2217億7136万余円、損失は、借入金利息1522億5764万余円、事務費71億6549万余円、外貨債券利息17億2284万余円、特別納付金12億0102万余円等貸倒準備金繰入れ前で1865億8041万余円となり、351億9095万余円の差額が生じるが、68億5937万余円を貸倒準備金に繰り入れたので、利益金は283億3158万余円になった。このうち210億7327万余円は法定準備金として積み立て、残額72億5830万余円は国庫に納付した。貸倒準備金への繰入れ額は年度末貸付金残高(資金未交付額を除く。以下同じ。)の1,000分の2.30に相当し、これを加えた貸倒準備金745億8305万余円は年度末貸付金残高の100分の2.51となり、累積限度額の83.72%になっている。貸倒準備金への繰入れ額は年度末貸付金残高の1,000分の10相当額以内の金額、その累積限度額は年度末貸付金残高の100分の3相当額と定められているが、49年度の繰入れ額は大蔵大臣の指示により上記の累積限度額から145億円を控除した金額まで繰り入れることとして計算したものである。

 49年度の利益金283億3158万余円は前年度に比べて15億3746万余円増加している。また、法定準備金の積立額210億7327万余円は前年度に比べて26億0751万余円増加しており、国庫納付金72億5830万余円は前年度に比べて10億7005万余円減少している。

 49年度の総収益率は7.04%で、前年度に比べて0.14%上昇しており、これは、前年度に実施した貸付利率の引上げが影響したことなどによるものである。貸倒準備金繰入れ前の経費率は5.75%で、前年度に比べて0.25%上昇しており、これは、前年度に行われた借入利率の引上げが影響したこと、貸付けの原資に占める借入金の構成割合が増加したことなどによるものである。また、貸倒準備金繰入れ前の利益率は1.28%となり、前年度に比べて0.11%低下している。