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  • 昭和50年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 所管別の事項|
  • 第8 郵政省|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

OCR用シートの購入方法について処置を要求したもの


(3) OCR用シートの購入方法について処置を要求したもの

(昭和51年11月29日付け51検第457号 郵政大臣あて)

 横浜ほか15地方貯金局(注) が昭和50年度に購入した受払高合計票(正本)ほか19点のOCR用シート32,453千枚(購入価額1億9998万余円)について検査したところ、次のとおり、購入方法が適切でなかったため、不経済な結果になっていると認められる点が見受けられた。

 上記のOCR用シートは、光学文字読取装置(以下「OCR」という。)の入力媒体として使用するもので、郵便貯金事務の機械処理システムにおいて、預け入れ、払いもどし等のデータを従来カード読取装置により入力していたものを、49年7月にOCRにより入力することに決定し、同年12月から名古屋地方貯金局で試行した後、50年3月から51年2月までの間に順次各地方貯金局でこれに切り替えたことに伴い必要となったものである。そして、このOCR用シートの購入については、郵政省貯金局が定めた様式、紙質等に基づき、また、刷り色は各地方貯金局が独自に選定することとして、各地方貯金局においてそれぞれ印刷業者に発注している。

 しかして、本院がOCR用シートの購入及び使用の状況を調査したところ、次のような実情が明らかとなり、各地方貯金局ごとに購入しなければならない格別の理由は認められなかった。

(ア) 本件シートは、各地方貯金局で共通する同一様式のものを全国的に多量に使用するものであるが、各地方貯金局の選定に任せている刷り色については、本件シートの使用方法からみて、地方貯金局ごとに差を設ける格別の必要性が認められず、現に、各地方貯金局における購入の実情についてみても、独自に刷り色を選定した事例は1、2例にすぎず、他はすべてOCRを最初に導入した地方貯金局が採用した刷り色を参考として決定していて、結果的に各地方貯金局で刷り色の差異はほとんど認められない状況であった。

(イ) 本件シートは特殊な物品であることから、印刷業者も限定されており、現に、各地方貯金局における購入の実情についてみても、大部分が東京所在の特殊技術を有する業者に発注している状況であった。

 したがって、本件シートの購入については、経済性を考慮して1箇所に集中して各地方貯金局分をまとめて発注する方式を採るのが最も有利であると考えられ、いま、本件シートを一括購入したとして計算すると、購入費を約5600万円程度節減できたと認められる。

 このような事態を生じたのは、同省において、全国的に多量に使用されている本件OCR用シートについてその実情をは握しておらず、また、仕様、規格を統一して一括購入することの経済性に対する配慮が十分でなかったことによると認められる。

 ついては、同省においては、このOCR用シートを今後も引き続き購入するのであるから、本省で一括購入することに改め、もって経費の節減を図る要があると認められる。

(注)  横浜、宇都宮、甲府、長野、金沢、名古屋、大阪、京都、神戸、広島、徳島、福岡、熊本、仙台、盛岡、小樽各地方貯金局