失業給付金等の支給か適正でなかったもの

---

（６２）　失業給付金等の支給が適正でなかったもの

　上記の４１５人に失業給付金のうちの基本手当(昭和４９年度に支給した失業保険金を含む。)及び就職支度金８６，８６０，１１０円を支給しているが、支給に当たって調査が十分でなかったため、７２，６８７，１４０円が不適正に支給されていた。これらについては、本院の注意により、すべて返還の処置が執られた。

　これは、札幌公共職業安定所ほか２５１箇所の支給対象のうち、比較的離就職の多い職種の者１４，１２３人について本院が調査した結果である。
　これを都道府県ごとに集計して掲げると、別表 のとおりである。

（説明）

　５０年４月１日に雇用保険法（昭和４９年法律第１１６号。以下「新法」という。）が施行されるとともに失業保険金及び就職支度金の支給の根拠法であった失業保険法（昭和２２年法律第１４６号。以下「旧法」という。）が廃止され、新法では、従前の失業保険金に当たるものとして失業給付金の基本手当の支給制度が設けられ、従前の就職支度金に当たるものはなくなったが、新法施行の経過措置として、旧法の規定により支給を受ける資格が発生していた者に対する失業保険金及び就職支度金の支給については、なお従前の例により取り扱われることとされた。

　基本手当は、従前の失業保険金と同様、公共職業安定所が受給資格者の失業を認定した場合に支給することになっており、また、就職支度金は、一定の期間内に再就職した受給資格者が請求した場合に支給することになっていた。そして、基本手当を支給するに当たっては、従前の失業保険金と同様、受給資格者が失業の認定を受けた期間中に自己の労働によって収入を得たときはその収入の額等を届出させることになっており、また、就職支度金を支給するに当たっては、雇入れ年月日等について事業主が証明した就職支度金支給申請書を提出させることになっていた。

　　しかして、失業給付金のうちの基本手当及び就職支度金の支給の適否について検査したところ、札幌公共職業安定所ほか161箇所では、受給者が上記の届出をしていなかったり、就職支度金支給申請書の記載が事実と相違していたりしているのに、これに対する調査が十分でなかったため、本院が調査した受給者１０，６３６人分の給付のうち４１５人分８６，８６０，１１０円について７２，６８７，１４０円が不適正に支給されていた。

（別表）