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  • 昭和50年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 所管別の事項|
  • 第10 建設省|
  • 本院の注意により当局において改善の処置を講じた事項

電気設備工事における屋内低圧配線の設計について


(1) 電気設備工事における屋内低圧配線の設計について

 中国地方建設局が昭和50年度に施行した徳島合同電気設備工事ほか1工事(工事費合計2億1520万余円)について検査したところ、次のとおり、屋内低圧配線の設計が適切でないと認められる点が見受けられた。

 すなわち、上記の両工事は、いずれも鉄筋コンクリート造り庁舎の電気設備工事であるが、このうち照明器具、電気時計等に電力を供給するための屋内低圧配線工事についてみると、天井裏、壁内等に配線する場合の設計は、建設大臣官房官庁営繕部が定めた「建築設備工事設計要領」により、すべて金属管を配管してこれに電線を引き通すこととし、これにより配線工事費を積算していた(積算額合計2131万余円)。しかし、鉄筋又は鉄骨鉄筋コンクリート造り事務所等における上記のような場所の配線については、近年、金属管に比べて配線の手間が少なくて済みしかも材料費が低廉な合成樹脂管又はビニルケーブル(注1) が市販されていて、通信障害を受けるなど特殊な場合を除いてこれを使用して施工するのが通例となっており、上記の工事においてもこれによることとしても何ら支障はないから、これによることとして設計したとすれば積算額を相当程度低減できたと認められた。

 上記について当局の見解をただしたところ、建設省では、51年4月に「建築設備工事設計要領」を改め、合成樹脂管又はビニルケーブルを使用するよう処置を講じた。

 なお、50年度中の建設省所管の工事で、上記の工事と同種の庁舎等電気設備工事は上記2工事を含め329工事(工事費合計238億2441万余円)に上っているが、これらのうち、上記2工事のほか東北地方建設局ほか7箇所(注2) が施行した気仙沼合同電気設備工事ほか31工事(工事費合計31億9988万余円)について検査した結果も、いずれも上記と同様の事態となっていた。いま、これら34工事のうち徳島合同電気設備工事ほか7工事(工事費合計6億1599万余円)の場合を例にとると、これらについて適切と認められる設計をしたとすれば積算額7136万余円を約1400万円程度低減できたと認められた。

(注1)  ビニルケーブル ビニルで被覆絶縁した銅線2本又は3本を一括して更にビニルで被覆した電線

(注2)  東北、関東、中部、近畿、中国、九州各地方建設局、筑波研究学園都市営繕建設本部、北海道開発局