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  • 昭和50年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 政府関係機関その他の団体別の事項|
  • 第20 年金福祉事業団|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

貸付けの適正化について処置を要求したもの


 貸付けの適正化について処置を要求したもの

(昭和51年11月29日付け51検第459号 年金福祉事業団理事長あて)

 年金福祉事業団では、厚生年金保険の適用事業所の事業主等に対し、厚生年金保険受給権者等の福祉を増進するために必要な住宅、教養文化施設等の設置又は整備に要する資金を直接又は金融機関に委託して貸し付けている(昭和50年度末貸付金残高5183億3748万余円、うち受託金融機関取扱分4068億5776万余円)が、このうち、47年度から50年度までに貸し付けた北海道ほか12都府県下の71受託金融機関の取扱いにかかわる248件134億6410万円について調査したところ、次のとおり適切でないと認められる事例が見受けられた。

(1) 貸付金の算定に関する基準の適用を誤っていたり、貸付金の一部が貸付けの対象とならない施設の建築資金に使用されていたり、貸付対象事業の一部が実施されていなかったり、貸付対象事業費より低額で事業が実施されていたりなどしていて、貸付額が過大になっているもの

39件 129,330千円

(2) 貸付金により取得した施設の全部又は一部が貸付けの対象とならない施設に転用されているものなど

9件 77,270千円

(注) (1)(2)の事態が重複しているものが3件ある。

 このような事態を生じたのは、主として受託金融機関が準拠すべき貸付事務に関する取扱要領等に、資金使途に関する貸付後の確認について明確な定めがないため、受託金融機関において資金使途の確認が十分に行われず、また、受託金融機関に対する指導が十分でないため、受託金融機関において、借入申込書の内容の審査、貸付対象事業の実施状況の確認、資金貸付申出の審査及び貸付金により取得した施設の使用状況のは握が適切に行われていないことによると認められる。

 ついては、資金使途の確認に関する規定を整備し、受託金融機関に対する指導を十分行って、借入申込書の内容の審査、貸付対象事業の実施状況の確認、資金貸付申出の審査、資金使途の確認及び貸付後の管理を適切に行わせるほか、同事業団においても受託金融機関及び貸付先に対し適時適切な監査を行い、もって貸付けの適正を期する要があると認められる。