ページトップ
  • 昭和51年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 所管別の事項|
  • 第10 建設省|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

廃川敷地の管理について処置を要求したもの


(3) 廃川敷地の管理について処置を要求したもの

(昭和52年11月30日付け52検第441号 建設大臣あて)

 昭和39年7月の河川法(昭和39年法律第167号)の全面改正(40年4月施行)に伴い、河川区域に該当しないこととなった敷地は、同法施行法(昭和39年法律第168号)第3条の規定に基づき、当初45年3月31日までは河川区域とみなされることとなり、この間に実態調査等を行い、河川区域、河川予定地として存置する必要のある敷地についてはその指定をし、残余については廃川公示を行い廃川敷地としたうえ、旧所有者への下付、新たに河川区域となる土地との交換、普通財産として大蔵省への引継ぎ等の処理を行うこととなっていた。しかし、この処理が完了しなかったため、上記の期限は50年3月31日まで延長され、更に51年3月31日(北海道は53年3月31日)まで再延長された。

 しかして、本院において、東北ほか7地方建設局(注1) 管内の一級河川について建設大臣が管理する区間(以下「大臣管理区間」という。)及び山形ほか8県知事(注2) が管理する指定区間(注3) の廃川敷地の処理状況を検査したところ、廃川の公示をした面積9,739,659m2 (大臣管理区間7,988,953m2 、指定区間1,750,706m2 )のうち、52年3月31日までに下付、交換、引継ぎ等の処理を終えたものは4,180,828m2 (大臣管理区間3,482,605m2 、指定区間698,223m2 )に過ぎず、残余の5,558,831m2 (大臣管理区間4,506,348m2 、指定区間1,052,483m2 )については、処理されないままとなっている。

 これら未処理となっている廃川敷地は、普通財産として大蔵大臣に引き継がれていないなどのため、有効な利活用が図られない結果となっており、また、既往の経緯から第三者に宅地、農地等として使用を認めざるを得なくなっている約165万m2 (大臣管理区間約158万m2 、指定区間約7万m2 )については、河川法第91条第1項の規定に基づき河川区域廃止後も従前の管理者が管理しなければならない期間(河川区域廃止後10箇月、以下「法定管理期間」という。)経過後は、その使用の対価の徴収が行われておらず、この未徴収となっている額は、仮に河川敷地の占用料の額で計算しても、52年3月末までに、約2200万円に上っている状況で、廃川敷地の管理が適切を欠いていると認められる。また、廃川公示さえしていないものが、本院の検査で現在判明しているものだけでも約42万m2 (大臣管理区間約3万m2 、指定区間約39万m2 )見受けられた。

 このような事態を生じたのは、河川法の改正に伴い暫定的に河川区域とみなされた区域は、法改正当時において所在地、面積等の現況のは握、台帳、図面の整備等に不備があったり、長年月の間に複雑な占使用関係を生じたりしていて、その処理に日時を要した事情があったとしても、法改正後12年を経過しているのに、その間の現況のは握や境界の確定、使用者の確認等の措置が十分でなかったばかりでなく大蔵省への引継ぎについての当事者の努力が十分でなかったこと、また、廃川敷地の使用の対価については、法定管理期間経過後は管理権限の有無に疑義があるとし徴収を行わないこととしたことによると認められる。

 ついては、廃川敷地の現況のは握、境界の確定、関係書類の整備等に努め、大蔵省への引継ぎについても、連絡、調整を密にするなどして処理の促進を図るとともに、使用の対価の徴収についても、同省とその取扱いについて協議のうえ決定する要があると認められる。

(注1)  東北ほか7地方建設局  東北、関東、北陸、中部、近畿、中国、四国、九州各地方建設局

(注2)  山形ほか8県  山形、福島、群馬、新潟、富山、滋賀、岡山、愛媛、高知各県

(注3)  指定区間  建設大臣が指定して都道府県知事に管理を行わせる区間