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  • 昭和52年度|
  • 第3章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第3 文部省|
  • 不当事項|
  • 物件

移転統合のため購入した用地が、校舎等諸施設の建設の目途も立たないまま遊休しているもの


(6) 移転統合のため購入した用地が、校舎等諸施設の建設の目途も立たないまま遊休しているもの

会計名及び科目 国立学校特別会計 (項)国立学校 (項)施設整備費
部局等の名称 大阪教育大学
物件 土地(山林及び原野)662,930m2 、ほかに同土地の敷地造成工事等(13件)
物件の概要 大学を移転統合するための用地として購入した大阪府柏原市旭ヶ丘地区の土地、ほかに敷地造成工事等
取得価額 3,487,622,000円(用地購入費2,996,162,000円のほか、敷地造成工事費等491,460,000円)
物件取得の相手方 柏原市国分東条町上田某ほか3名
物件の取得年月 昭和50年3月

 本件は、校舎を移転統合するため、大学が土地を購入し、敷地造成工事等の一部を実施したものの、その後学内の意思不統一から、大学が移転統合関係の予算の要求を行っていないため、校舎等諸施設の建設の目途も立たないまま、購入した用地が遊休しているものである。

(説明)

 大阪教育大学は、大阪市天王寺区内ほか2箇所に校舎が分散しているところから、昭和40年11月、教授会(学校教育法(昭和22年法律第26号)第59条の規定により、大学には重要な事項を審議するため教授会を置かなければならないことになっており、同大学では、予算、施設の設置等の重要事項は学長、教授、助教授、専任講師及び助手全員で組織する教授会で審議決定することとしている。)で校舎を1箇所に移転統合することを、また、47年6月、その移転先を大阪府柏原市旭ヶ丘地区とすることをそれぞれ決定している。そして、51年6月には「大阪教育大学移転統合基礎計画(第一次)」を教授会で決定しており、これによると、移転は54年度から57年度までの間に行う計画となっており、同大学が作成して文部省に提出した52年度の予算の要求書では51年度から58年度までの間に総事業費134億円で新施設を建設することとしていた。

 しかして、移転統合に係る事業の実施状況をみると、48年3月から50年3月までの3会計年度の間に予定地の地盤調査等(調査費等1213万余円)を行ったうえ、50年3月には同地区の用地662,930m2 を総額29億9616万余円で購入し、50年度には同地区の敷地造成のための測量等(測量費等1639万円)を、また、51年度には敷地造成工事の一部として進入道路、橋りょうの工事等(工事費等3億9990万円)をそれぞれ実施している。そして、52年度には敷地造成工事等のほか校舎新築工事に着手する計画であったが、51年7月に文部省あてに提出した前記の予算の要求書において新築校舎の一部(理数系の校舎)の施工予定面積を文部省が定めている「国立学校建物必要面積基準表」によって算定した場合の面積13,530m2 より1,200m2 上回った14,730m2 としていたため、文部省から校舎面積を基準表の面積の範囲内とするよう再検討の要望があったのに、教授会がこれに応じなかったことから大学としてこれに対応できないまま推移し、結局52年度には前年度に引き続き敷地造成工事の一部(工事費6303万余円)を実施したにすぎない状況となっている。

 そして、52年度以降における移転統合に関する学内状況をみると、52年7月、53年度予算の要求について教授会に諮ったが、上記の校舎面積の問題が解決しないため、その決定を得るに至らず、同年度の予算の要求は移転統合に係る予算を除いた分の要求にとどめ、また、53年7月の54年度予算の要求に当たっては、新たに移転地域の交通事情など地理的条件が悪いとする反対理由も加わり、教授会で審議さえ行われていない状況であって、いまだに学内における移転統合に関する意思統一の見通しも立っていない。
 このように、多額の国費を投じて用地を購入し、しかも敷地造成工事等の一部にも着手していながら、上記のような事情から、事業が全く進ちょくせずこのため用地等がその効用を発揮する見込みもないまま遊休しているのは適切とは認められない。