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  • 昭和52年度|
  • 第3章 所管別又は団体別の検査結果|
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  • 保険

雇用保険の雇用調整給付金の支給が適正でなかったもの


(62) 雇用保険の雇用調整給付金の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(雇用勘定)(項)雇用改善等事業費
部局等の名称 北海道ほか10都県(支払庁)
函館公共職業安定所ほか22箇所(支給決定庁)
事業主 28事業主
雇用調整給付金の支給額の合計 168,913,419円

 上記の28事業所の事業主に雇用調整給付金168,913,419円を支給しているが、支給に当たって、調査が十分でなかったため、25,495,259円が不適正に支給されていた。これらについては、本院の注意により、すべて返還の処置が執られた。これを都道県ごとに集計して掲げると、別表 のとおりである。
 これは、北海道ほか27都府県において264事業所の事業主に対して支給した雇用調整給付金1,345,268,883円について本院が調査した結果である。

(説明)
 雇用調整給付金は、雇用保険(前掲「雇用保険の失業給付金の支給が適正でなかったもの」の説明参照 )のうち雇用改善事業(昭和52年10月以降は雇用安定事業)の一環として失業の予防を図るため支給するもので、景気の変動等経済上の理由により、労働大臣が指定する業種の事業主が労働大臣が定める期間内にその事業活動を縮小して一定規模以上の休業を余儀なくされ労働者に休業手当を支払った場合に、国がその休業手当の一部を助成するものである。そして、雇用調整給付金を支給するに当たっては、事業主から、休業実施日、休業対象被保険者、休業手当の額等休業の実績を記載した申請書を提出させ、支給要件に適合しているかどうかを各都道府県知事の指揮監督の下に各公共職業安定所が審査して支給決定をし、これに基づいて各都道府県の雇用保険主管課長が支給することになっている。
 しかして、雇用調整給付金の支給の適否について検査したところ、前記の28都道府県のうち北海道ほか10都県では、事業主が、就業規則等により従来休日としていた日を、支給要件を満たすため労使間協定等により取り消し又は他の日に振り替えて労働日としたうえ、この日を支給対象の休業日としたり、休業の事実がないのに、休業したかのごとく出勤簿等を別途に作成したりなどしていて、雇用調整給付金の支給要件を欠いているものがあったのに、これに対する審査が十分でなかったため、本院が調査した149事業主に対する支給額のうち、28事業主分168,913,419円について25,495,259円が不適正に支給されていた。

(別表)

都道県別 本院が調査した事業主数 不適正受給事業主数 左の事業主に支給した雇用調整給付金 左のうち不適正雇用調整給付金
千円 千円
北海道 25 3 10,888 7,952
秋田県 6 1 5,527 5,527
埼玉県 8 1 3,854 240
東京都 16 2 3,110 293
富山県 20 5 60,167 1,546
石川県 17 2 3,879 1,407
福井県 5 1 5,151 224
静岡県 10 1 2,494 2,494
三重県 19 4 20,855 1,984
岡山県 19 7 40,838 1,668
香川県 4 1 12,144 2,155
 計 149 28 168,913 25,495