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  • 昭和52年度|
  • 第3章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第13 日本私学振興財団|
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  • 補助金

私立大学等経常費補助金の経理が不当と認められるもの


(91)−(93) 私立大学等経常費補助金の経理が不当と認められるもの

部局等の名称 日本私学振興財団
補助の対象 私立大学等における専任教職員の給与及び教育研究に要する経常的経費

補助の根拠

私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)

事業主体

学校法人福岡歯科学園ほか2学校法人

上記に対する財団の補助金交付額の合計

3,302,098,000円

 日本私学振興財団が、上記の3事業主体において、入学者に係る寄附金収入の経理が著しく適正を欠いているのに適切な措置を講じていなかったり、補助金額の算定に当たり大学の経常的収入となる寄附金を考慮して補助金の基準額を調整しなかったりしたなどのため、ひいては補助金333,158,000円が過大に交付された結果となっている。これを学校法人別に掲げると、別表 のとおりである。

(説明)
 この補助金は、私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)に基づき、私立大学等の教育研究条件を整備して教育の充実向上を図り、併せて経営の健全化に寄与することを目的として財団が国の補助金を財源として私立大学等における専任教職員の給与及び教育研究に要する経常的経費に充てるため学校法人に交付するものであるが、学校法人又は学校法人の設置する大学等において、経理その他の事務処理が著しく適正を欠く場合等で、補助の目的を有効に達成することができないと認められるときは、補助金を交付しないことができることとなっている。そして、補助金の交付に当たっては、学校法人はその設置する大学等の専任教職員数、学生数、収入支出額等に関する資料を財団に提出し、財団ではこれを基礎として補助金額を算定のうえ交付することになっており、財団が補助金額を算定するに当たっては、この資料に記載されている専任教職員数及び学生定員に一定の補助単価等を乗じて得た額(補助金の基準額)を基礎とし、これに学生定員に対する在籍学生数、経常的支出額に対する経常収支差額の割合等を勘案した調整係数を乗じて増額又は減額するなどの方法により算定することになっている。
 しかして、前記の3事業主体は、補助金に係る事業の適正な執行を期しがたいと認められる補助対象外法人であったり、上記の資料に事実と異なる内容を記入していたりしていて、補助金333,158,000円が過大に交付された結果となっている。

(別表)

事業主体

年度 補助金交付額 不当と認めた補助金額
(91) 学校法人 福岡歯科学園 51 千円
70,109
千円
70,109
52 229,286 229,286
上記学校法人が昭和47年7月に設置した福岡歯科大学は、設置後2箇年を経過した50年度以降補助金の交付を受けられることとなったが、同法人に対する補助金の交付状況をみると、50年度は同法人の管理運営が適切を欠いていたため交付されておらず、その後管理運営の正常化に努力の跡がみられたとして51年度は補助金相当額の70%が、52年度は全額がそれぞれ交付されている。
同法人は、入学者から毎年寄附金を受け入れており、設立当初からこの寄附金の受入れ等の経理を後援会組織である福岡歯科大学冷泉会にゆだねていたが、51年8月に文部省から同会の解散について勧告を受けたため、52年4月にこれを解散し同年6月にその清算事務を結了したとしていた。
しかし、53年4月の本院会計実地検査の際、その清算状況を調査したところ、経理に関する資料はすでに焼却されていたが、同会の清算結了報告会における議案の添付資料であるとして呈示を受けた書類によると、残余財産は預り金等を含め3億9465万余円となっており、うち3億2157万余円は同法人の会計に引き継ぐべきであるのにいまだに引き継がれておらず、その一部2億7177万余円を同会会長名義の預金で保管していた。
更に、52年度の入学者に係る寄附金についてみると、大部分の者から出願手続後にあらかじめ一定額を同法人の取引金融機関に父兄等の名義で定期預金させたうえ、合格発表前にこの預金額を同法人の口座でない理事長名義の別途口座に寄附金の一部として振り込ませていた。そして、この寄附金のうち、入学辞退等により返還した分を除いた額と合格発表後に合格者から受け入れた寄附金とを合わせた総額39億4900万円については、52年4月に27億円を同法人の会計に繰り入れたにすぎず、残額は53年3月まで別途に保有していた。
上記のように、同法人は入学者に係る寄附金を別途に経理するなど経理その他の事務処理が著しく適正を欠いていて、補助金交付の対象とはならないものである。

(92)

学校法人 杏林学園 51 632,114 17,468
52 760,776 14,001
上記学校法人は、杏林大学の入学者から、寄附金とは別に、学校債を募集しており、その大部分を償還期前に一般寄附金に振り替えていた。しかして、この振替え額(50年度2,100,000,000円、51年度934,000,000円)は同大学の経常的収入であるから、これを考慮すれば、経常的支出額に対する経常的収支差額の割合を勘案した調整係数が異なることになり、ひいては補助金の交付額が過大となっていた。

(93)

学校法人 東京医科大学 51 1,609,813 2,294
上記学校法人は、財団に提出した資料に補助金額の算定の基礎となる50年12月末日現在の大学院の学生数を223人と記入していて、この人員に一定の補助単価を乗じて得た額を基礎として算出された補助金の交付を受けていたが、実際の学生数は203人であるから、20人に対応する分の補助金が過大に交付されていた。

3,302,098 333,158