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  • 昭和53年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第11 労働省|
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  • 保険

労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額が不足していたもの


(111) 労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額が不足していたもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(徴収勘定) (款)保険収入 (項)保険料収入
部局等の名称 北海道労働基準局ほか25労働基準局
保険料納付義務者 318事業主

 上記の318事業主から保険料を徴収するに当たって、調査が十分でなかったため、131,914,726円が徴収不足になっていた。これらについては、本院の注意により、すべて徴収決定された。これを都道府県労働基準局ごとに集計して掲げると、別表 のとおりである。
 これは、北海道労働基準局ほか30労働基準局管内の1,040事業主について本院が調査した結果である。

(説明)
 労働保険は労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)及び雇用保険を総称するものであるが、いずれも工場、事務所、商店及び建設工事等に使用される労働者を被保険者とし、労災保険にあっては業務上の事由又は通勤による疾病、負傷等に対し療養補償給付等を、また、雇用保険にあっては失業等に対し失業給付等を行う保険である。そして、その保険料は、労災保険分については、全額これらの労働者を使用する事業主が負担し、雇用保険分については、失業給付に充てる部分は被保険者と事業主とが折半負担し、雇用安定事業等に充てる部分は事業主が負担することとなっている。これらの事業主は、原則として、毎年度の初めに、その年度に使用するすべての労働者に支払う賃金総額の見込額に、労災保険率(注1) と雇用保険率(注2) とを合計した保険料率を乗じた概算保険料を都道府県労働基準局等に申告、納付し、次の年度の初めに、実際に支払った賃金総額に基づいて計算した確定保険料申告書を提出して精算することになっている。一方、都道府県労働基準局等は、事業主から上記の申告書の提出を受けたときはその申告書の記載に誤りがあるかどうかを審査確認し、誤りがあるときは、正当な保険料の額を決定してこれを事業主に通知し、保険料の過不足分を還付又は徴収することになっている。
 しかして、保険料徴収の適否について検査したところ、前記の31労働基準局のうち26労働基準局では、事業主が確定保険料申告書を提出するに当たり、賃金総額の記載が事実と相違していたり、労災保険率の適用を誤っていたりしていたものなどがあったのに、これに対する調査が十分でなかったため、318事業主分131,914,726円が徴収不足になっていた。

(注1)  労災保険率 労災保険の適用を受けるすべての事業の過去3年間の業務災害及び通勤災害に係る災害率等を考慮して定めることとなっており、事業の種類ごとに最低1000分の4から最高1000分の89となっている。

(注2)  雇用保険率 従来の失業保険の保険料率、被保険者の離職率、失業給付金の給付率等を考慮して定められており、52年度は1000分の13(ただし、建設等の事業は1000分の15)、53年度は1000分の13.5(ただし、建設等の事業は1000分の15.5、53年10月1日以降は1000分の16.5)となっている。

(別表)

都道府県労働基準局 本院が調査した事業主数 徴収不足があった事業主数 徴収不足額
北海道 79 33 千円
5,078
岩手 18 5 599
宮城 23 18 9,916
山形 26 4 558
茨城 11 4 269
栃木 27 7 1,365
群馬 31 8 1,191
埼玉 36 16 15,435
千葉 40 15 4,120
東京 214 86 49,724
神奈川 52 21 14,285
山梨 20 6 585
岐阜 25 10 1,505
愛知 31 12 7,205
大阪 31 7 1,323
兵庫 28 6 1,238
奈良 13 1 254
岡山 30 7 678
広島 23 6 484
山口 24 6 3,437
愛媛 25 4 237
高知 20 7 574
福岡 41 12 6,300
長崎 19 4 380
熊本 23 3 211
沖縄 33 10 4,950
943 318 131,914