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  • 昭和53年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第2 日本国有鉄道|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

手小荷物等の自動車輸送業務の委託等について


(2) 手小荷物等の自動車輸送業務の委託等について

 日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)では、旅客輸送の強化等輸送力の質的改善を図るなどのため、従来から、鉄道によって行っていた手荷物、小荷物等の輸送を道路輸送に切り替え、自動車で代行して輸送(以下「代行輸送」という。)を行ってきており、この業務の一部は地方自動車部局で直営により行っているが、その大半は部外の運送業者に委託して行っている。そして、部外委託によって行っているものについては、昭和51年10月本社通達を発し、毎年度委託契約する際運行ダイヤの組み方、運行回数、車種の見直しを行い委託経費の節減を図るよう指示しているところである。

 しかして、近年競合する輸送機関の進出等により手荷物、小荷物等の輸送量は減少傾向にあるので、仙台鉄道管理局ほか10鉄道管理局等(注) が53年度中に行った代行輸送(直営分2輸送区間20便、委託分54輸送区間326便委託経費10億0785万余円)の輸送状況について検査したところ、次のとおり、その運行回数、車種等が適切でないと認められるものが見受けられた。

(ア) 委託代行輸送で、輸送便の輸送実績が貨物自動車の積載可能量の半分以下となっており、なかには荷物を積載しないで回送したり、積載量が1個から数個程度となっている状況からみて、運行回数が過大となっていると認められるもの(24輸送区間、132便のうち91便)

(イ) 直営代行輸送便と委託代行輸送便とのいずれも輸送実績が積載可能量の半分以下となっているのに、同一区間を並行して輸送しているもの(直営分2輸送区間20便のうち17便及び委託分2輸送区間20便のうち10便)

(ウ) 委託代行輸送で、中間駅の取扱いを行わない直行便や中間駅の取扱個数が極めて少量のものについてまで積卸し等の作業を行う上乗手を同乗させているもの(3輸送区間6便)

(エ) 委託代行輸送の輸送量が少量であるのに、同一輸送区間で別途少量の国鉄事業用品だけの輸送を同一業者に委託して行わせているもの(委託分1輸送区間2便)

(オ) 委託代行輸送で、貨物自動車の車種が輸送量に比べて大型になっているもの(11輸送区間22便全便)

 したがって、これらの代行輸送区間について、手小荷物の取扱いが増加する秋冬期等には臨時便を設定するなどの調整を行うなどして輸送便の削減、輸送区間の統合、上乗手の廃止、使用車種の小型化を図ったとすれば上記委託経費を約9700万円程度節減できたと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、前記各鉄道管理局等では、前記のうち26輸送区間については関係地域住民等と協議し、54年11月までに輸送便を削減するなどの改善の処置を講じ、このほかのものについても関係地域住民等との協議を行い55年10月までに改善することとしている。また、国鉄では、54年10月に手小荷物等の代行輸送業務の適正化について再度通達及び事務連絡を発し、上記以外の輸送区間についても見直しを行い輸送量等の実態に合った契約を行うよう徹底を図ることとした。

 (注)  仙台鉄道管理局ほか10鉄道管理局等 仙台、東京北、大阪、福知山、広島、門司、熊本、鹿児島各鉄道管理局、近畿地方自動車局、東北、九州両地方自動車部