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  • 昭和53年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第3 日本電信電話公社|
  • 不当事項|
  • 工事

マイクロ無線鉄塔新設工事の施行に当たり、鉄塔の設計が適切でなかったため、工事費が不経済になったもの


(134) マイクロ無線鉄塔新設工事の施行に当たり、鉄塔の設計が適切でなかったため、工事費が不経済になったもの

科目 (建設勘定) (項)局舎建設費
部局等の名称 中国電気通信局
工事名 (1) 長船無線中継所ほか2件マイクロ鉄塔新設工事
(2) 福石無線中継所ほか1件マイクロ鉄塔新設工事
工事の概要 市外電話等の伝送路を補完するため短距離マイクロ無線伝送路を拡充する計画の一環として無線中継所の局舎の屋上に高さ20mの鉄塔を建設するもの
工事費 (1) 90,500,000円 計152,500,000円
(2) 62,000,000円
請負人 (1) 太陽工藤工事株式会社
(2) 株式会社巴組鉄工所
契約 (1) 昭和53年3月 指名競争契約
(2) 昭和53年9月 指名競争契約
しゅん功検査 (1) 昭和53年9月
(2) 昭和54年3月
支払 (1) 昭和53年9月
(2) 昭和54年3月

 上記の各工事は鉄塔の建設に当たり、とう載するアンテナの種別等に即した設計により施行すべきであったのに、実際に設置するアンテナよりも大形で重量の重いアンテナをとう載することができる鉄塔を建設したため、工事費が約1490万円不経済になったと認められる。

(説明)

 これらの工事は、市外電話等の伝送路を補完するため短距離マイクロ無線伝送路を拡充する計画の一環として、長船、間(はした)山、槁(けやき)、福石及び瀑(たき)山各無線中継所の局舎の屋上に、電波送受信用のパラボラアンテナ(注1) のみを最大8個とう載することができる鉄塔(規格高さ20m、脚幅7m、プラットホーム2段)をそれぞれ1基計5基建設するものである。

 しかして、本件5基の鉄塔の設計に当たっては、本社が制定した「極超短波用標準鉄塔について」(昭和45年電施第106号通知)に定めている標準鉄塔に、上記規格のものがないため、鉄塔の高さ、脚幅及びプラットホームの段数が同じでパラボラアンテナ及びホーンリフレクタアンテナ(注2) 各4個計8個をとう載することができる標準鉄塔20−7−2A形(鉄塔重量76t)が所要の鉄塔に近似しているとして、本社が設計しているこの規格の設計図を採用し、これにより鉄塔を建設していた。

 しかしながら、アンテナのとう載数は同じでも、ホーンリフレクタアンテナは、高さ約7m、幅約4m、重量2.5t であり、パラボラアンテナ直径4m、重量約1tに比べて大形でかつ重量が重いものであるため、ホーンリフレクタアンテナを半数の4個とう載することとして設計されている上記20−7−2A形鉄塔はその構造部材が大きくなっているのであるから、その建設費がパラボラアンテナのみをとう載する鉄塔の建設費よりも割高となることは明らかであったものである。しかも、本件各鉄塔は、いずれも鉄塔の高さ、脚幅、プラットホーム段数、とう載するアンテナの種別及び数量が同一で、かつ、上記通信局の52年度当初の計画でほぼ同時期にその建設が予定されていたのであるから、工事の施行に先だちとう載するアンテナの種別等に即した規格の鉄塔を設計して経済化を図るべきであったのに、前記のとおり本社が設計している標準鉄塔の設計図を安易に採用したのは適切とは認められない。

 現に、他電気通信局においては、本件と同様な事態に際してとう載するアンテナの種別等に即した鉄塔を自局で設計し経済的な施行を図っている状況である。

 いま、仮に本件5基の鉄塔を他電気通信局の設計例(鉄塔重量68t)により修正計算したとすれば、工事費は総額137,543,000円で足り、契約額を約1490万円節減できたと認められる。

 (注1)  パラボラアンテナ マイクロ無線電波の送受信に使用する円形で放物面をしたアンテナ

 (注2)  ホーンリフレクタアンテナ マイクロ無線電波の送受信に使用する頂部が放物面をした角すい形のアンテナで、パラボラアンテナに比べより多くの回線の送受信に適している。

(参考図) 

(参考図)