ページトップ
  • 昭和53年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第15 中小企業振興事業団|
  • 不当事項|
  • 貸付金

設備共同廃棄事業資金の貸付けが不当と認められるもの


(146)−(148) 設備共同廃棄事業資金の貸付けが不当と認められるもの

科目 貸付金
部局等の名称 中小企業振興事業団
貸付けの根拠 中小企業振興事業団法(昭和42年法律第56号)
貸付けの内容 貿易構造その他経済的事情の著しい変化により転廃業等をせざるを得なくなったため不要となった中小企業を営む者の設備を中小企業団体が買い上げるために必要な設備共同廃棄事業資金の貸付け
貸付先 メリヤス生地製造業組合連合会ほか2
買上げ対象とした件数 6(中小企業を営む業者数)
上記買上げ対象に対する貸付金相当額 103,731,000円

 上記の設備共同廃棄事業資金の貸付けは、貸付けの目的に沿わない結果となっていて貸付金相当額65,009,000円が不当と認められる。これらについては、本院の注意により、すべて繰上償還の措置を講ずることになった。
 これを貸付先別に掲げると、別表 のとおりである。

(説明)

 中小企業振興事業団では、中小企業振興事業団法(昭和42年法律第56号)第20条の規定に基づき、中小企業の企業規模の適正化、事業の共同化、工場、店舗等の集団化等を図るための事業(以下「高度化事業」という。)の用に供する土地、建物その他の施設を取得し、造成し、及び設置する中小企業を営む者又は中小企業団体に資金の貸付けを行う都道府県に対してその財源の一部の貸付けを行っているほか、特別の高度化事業を行う中小企業団体に対しては、同事業団が直接中小企業団体に資金の貸付けを行っている。

 このうち、昭和53年度における繊維工業の特別広域高度化事業としての設備共同廃棄事業資金の貸付けは、貿易構造その他経済的事情の著しい変化により転廃業等をせざるを得なくなったため不要となった中小企業を営む者の設備を買い上げたうえ破砕する中小企業団体に対し、同事業団が設備買上げに必要な資金を直接貸し付けるもので、その貸付条件は、融資割合が95%以内、貸付利率が無利子、償還期限が16年(うち据置4年)となっている。そして、同事業団は貸付けに当たり、借入申込者である中小企業団体が作成した借入申込書とその添付書類等を審査し、所定の貸付条件に合致していると認定したものについて所定の金額の範囲内で貸付決定を行い、貸付金を交付することになっており、また、貸付金を交付した後においては、中小企業団体から貸付対象資金支払完了報告書を徴して買上げ対象者への支払状況の調査確認等を行うこととしている。

 しかして、繊維工業の中小企業団体(メリヤス生地製造業組合連合会等)では、本件事業を実施するに当たり、通商産業省、関係都府県及び同事業団をもって構成する指導会議の指導勧告を受けて各中小企業団体ごとに「共同廃棄事業実施要領」を定めてこれにより実施しているが、上記の貸付金について調査したところ、無登録設備(注) を設置していて買上げ対象者とならない者であるのに、これからの買上げ金額を貸付対象としていたり、上記実施要領に定める買上げ対象設備に該当しない設備であるのに、この買上げ金額を貸付対象としていたりしていて、貸付けの目的に沿わない結果となっていると認められるものが3件貸付金相当額65,009,000円見受けられた。

 (注)  無登録設備 中小企業団体の組織に関する法律(昭和32年法律第185号)に基づいて生産制限を行っている繊維工業等については、通商産業大臣等の登録を受けた設備以外の設備の使用を禁止するとともに登録総台数を増加させないこととしているので、新しい設備を設置する場合には旧設備を破砕することが義務付けられている。これに反して設置されている設備を無登録設備といい、これを設置している者は共同廃棄事業実施要領により、同事業の買上げ対象者とならないこととなっている。

(別表)

貸付先 買上げ対象事業費 左に対する貸付金相当額 不当と認めた事業費 不当と認めた貸付金相当額
(146)
メリヤス生地製造業組合連合会 (1) 千円
22,000
千円
20,900
千円
22,000
千円
20,900
(2) 42,520 40,394 1,760 1,672
(3) 27,110 25,754 27,110 25,754
(1) この貸付けは、メリヤス生地製造業者が所有するメリヤス編立機64台のうち 25台を22,000,000円で買い上げるのに必要な資金の一部として昭和53年11月貸し付けたものであるが、同業者は買上げ当時無登録のもの2台を設置していて、買上げ対象者とならない者であるのに、これからの買上げ金額を貸付けの対象としていた。

(2) この貸付けは、メリヤス生地製造業者が所有するメリヤス編立機30台のうち18台を42,520,000円で買い上げるのに必要な資金の一部として昭和53年11月貸し付けたものであるが、買い上げた編立機のうち以前中小企業振興事業団の貸 付けを受けて設置されたもの1台は買上げ当時まだ上記借入金が完済されていなかったもので、買上げ対象設備とならない設備であるのに、これの買上げ金額を貸付けの対象としていた。

(3) この貸付けは、メリヤス生地製造業者が所有するメリヤス編立機13台の全部を27,110,000円で買い上げるのに必要な資金の一部として昭和53年11月貸し付けたものであるが、これらの編立機は、同業者が52年1月に設置して以来全くか働しておらず、買上げ対象設備とならない設備であるのに、これの買上げ金額を貸付けの対象としていた。

(147) ねん糸業組合連合会 (1) 3,299 3,134 3,299 3,134
(2) 10,690 10,155 10,690 10,155
(1) この貸付けは、ねん糸業者が所有するねん糸機13台716錘のうち5台276錘を3,299,520円で買い上げるのに必要な資金の一部として昭和53年11月貸し付けたものであるが、同業者は買上げ当時上記の13台716錘のほか、無登録のもの1台48錘を設置していて、買上げ対象者とならない者であるのに、これからの買上げ金額を貸付けの対象としていた。

(2) この貸付けは、ねん糸業者が所有するねん糸機4台1,024錘のうち2台800錘を10,690,400円で買い上げるのに必要な資金の一部として昭和53年11月貸し付けたものであるが、同業者が買上げ当時所有していた上記ねん糸機4台は実際は1,040錘であるのにこれを偽って1,024錘として登録しており、差引き16錘については無登録のまま設置していたもので、買上げ対象者とならない者であるのに、これからの買上げ金額を貸付けの対象としていた。

(148) 縫製業組合連合会 3,572 3,394  3,572 3,394
 この貸付けは、縫製品製造業者が所有するミシン等179台うちミシン40台を3,572,800円で買い上げるのに必要な資金の一部として昭和53年11月貸し付けたものであるが、同業者は買上げ当時上記の179台のほか無登録のもの1台を設置していて、買上げ対象者とならない者であるのに、これからの買上げ金額を貸付けの対象としていた。
109,192 103,731 68,432 65,009