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  • 昭和54年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
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汚水処理施設の維持管理委託契約に当たり、契約方法が適切でなかったなどのため、支払額が過大になったもの


(3) 汚水処理施設の維持管理委託契約に当たり、契約方法が適切でなかったなどのため、支払額が過大になったもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)矯正官署 (項)矯正収容費
部局等の名称 沖縄刑務所
契約の概要 汚水処理施設の維持管理業務を委託したもの
契約金額 9,600,000円
契約の相手方 沖縄共和化工株式会社
契約 昭和54年4月1日 随意契約
契約期間 昭和54年4月1日〜55年3月31日
支払 昭和54年6月〜55年4月  12回

 この委託契約は、汚水量計算の基礎となる人員が処理施設の容量算定上の人員を大幅に下回ることが見込まれていたのに、施設の容量どおりの汚水量を処理することとして薬品の所要量を算定し、これにより契約したなどのため、ひいて支払額が約310万円過大になったと認められる。

(説明)

 この契約は、沖縄刑務所及び同職員宿舎の建設に伴い、これらの建家等から排出される汚水を処理するための施設として昭和53年度に設置した汚水処理施設(処理対象人員1,010人、処理能力日平均320m3 、年間116,800m3 )の維持管理業務を委託したもので、業務の処理に要する薬品、消耗品及び労務の提供を受け、また、処理した汚水の水質検査を検査機関に依頼して行わせることを契約の内容とし、契約金額については、これらの経費についての上記会社の見積額をそのまま採用していた。
 しかして、上記契約金額の基礎となった見積額の内容についてみると、次のとおり適切でないと認められる点があった。

1 薬品費については、汚水処理施設設計上の年間処理量116,800m3 を基に計算した薬品所要量メタノール9,216kg、苛(か)性ソーダ10,368kg、ニクロンD錠1,656kg等から年額5,584,560円と算定していた。しかし、薬品の所要量は、汚水量等により定まるものであり、本刑務所のように開設後日が浅い施設の場合は、実際の汚水量をあらかじめは握するのは困難であり、しかも、契約当時、職員宿舎への入居希望が少なかったため同宿舎新営工事の一部を延期している状況で、汚水処理の対象となる人員が施設設計の対象人員を大幅に下回ることが見込まれていたのに、上記のように汚水処理施設の容量を基に計算した薬品所要量により薬品費を算定し、これにより確定契約を締結したのは適切とは認められず、薬品費については概算で契約したうえ薬品の使用実績により精算するなどの処置が必要であったと認められる。現に、契約期間中に実際に処理した汚水量は77,657m3 (日平均212m3 )であり、薬品の使用実績もメタノール7,870kg、苛性ソーダ7,667kg、ニクロンD錠1,095kg等にすぎず、これによって所要の水質基準を充足している状況である。
 また、薬品単価について、苛性ソーダ1kg当たり120円、ニクロンD錠同1,000円等としているが、これらについて沖縄県内の市場価格を調査したところ、それぞれ90円、750円程度となっていて見積単価との間に開差を生じていた。
 したがって、上記により薬品費を計算すると2,825,000円となる。

2 水質検査費については、検査項目7項目について毎月1回行うこととして月額40,800円、年額489,600円と算定しているが、沖縄県内の検査機関におけるこの種の検査料は月額19,650円程度となっており、これによれば年額236,000円となる。
 いま、上記各項により本件契約金額を計算すると総額6,500,000円となり、本件支払額はこれに比べて約310万円が過大になっていると認められる。