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  • 昭和54年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第9 運輸省|
  • 不当事項|
  • 役務

契約電力が電力の使用実績に比べ著じく過大となっているのに、契約電力変更の処置を執らなかったため、電気料金が不経済に支払われていたもの


(88)(89) 契約電力が電力の使用実績に比べ著しく過大となっているのに、契約電力変更の処置を執らなかったため、電気料金が不経済に支払われていたもの

(88) 1 会計名及び科目 一般会計 (組織)海上保安庁 (項)海上保安官署
部局等の名称 海上保安庁(水路部)
契約名 電気需給契約
契約の概要

海上保安庁水路部庁舎の電燈用電力及び海図等を製作するための印刷機等の動力用電力の供給を受ける契約で、契約種別を業務用電力、契約電力を1,700kWとし、契約は毎年自動更新される。

契約の相手方 東京電力株式会社
支払 昭和52年5月〜55年2月 34回
支払電気料金 124,462,504円 内訳 52年度分
53年度分
54年度分(1月まで)
45,210,244円
43,918,007円
35,334,253円
(89) 2 会計名及び科目 空港整備特別会計 (項)空港等維持運営費
部局等の名称 那覇航空交通管制部
契約名 電気需給契約
契約の概要 那覇航空交通管制部庁舎の電燈用電力及び航空保安無線施設等の動力用電力の供給を受ける契約で、契約種別を業務用電力、契約電力を1,150kWとし、契約は毎年自動更新される。
契約の相手方 沖縄電力株式会社
支払 昭和53年5月〜55年2月 22回
支払電気料金 130,426,791円 内訳 53年度分
54年度分(1月まで)
71,231,792円
59,194,999円

  上記の各部局における電気料金は、庁舎の電燈用電力及び施設等の動力用電力の契約電力が電力使用実績に比べ著しく過大となっているのに、契約電力変更の処置を執らなかったため、1において約1130万円、2において約530万円がそれぞれ不経済になったと認められる。

(説明)

 電力会社から業務用の電力の供給を受ける場合、その契約電力は、電力会社の定める電気供給規程により使用する負荷設備(電力を使用する機器)及び受電設備(電力の供給を受けるための変圧器等の設備)の内容等を基準として、需要家と電力会社との協議により定められ、この契約は以後毎年自動的に更新される。しかし、電力使用実績が契約電力を下回った場合は、需要家は上記規程により、年間の最大需要電力(注) の最高値を基準として電力会社と協議することにより契約電力を変更することができ、これに伴い電気料金が低減することになる。そして、各月の最大需要電力は、需要家の受電箇所に設置されている最大需要電力計等によって容易には握できるものである。
 しかるに、上記の部局においては、次のように、契約電力が電力使用実績に比べ長期にわたって過大となっているのに、最大需要電力の動向を見極めず、電力会社と契約電力の変更について協議を行って適切な契約電力に改める処置を講じないまま推移したため、電気料金が不経済に支払われていた。

1 海上保安庁水路部では、東京電力株式会社から庁舎の電燈用電力及び海図等を製作するための印刷機等の動力用電力の供給を受けていて、その契約電力は昭和49年5月から1,700kWとなっている。
 しかして、同水路部における電力使用の状況を調査したところ、各年度における最大需要電力の最高値は50年度1,220kW、51年度1,180kW、52年度1,200kW、53年度1,160kW、54年度1,160kWとなっていて、各年度とも契約電力を著しく下回っており、契約電力が長期にわたって実情に沿わない不適当なものとなっていた。
 いま、仮に52年度以降における電気需給契約について、50、51両年度間の最大需要電力の最高値である50年7月の1,220kWに若干の余裕を見込んで、契約電力を1,300kWにしていたとすれば、52年度から54年度の1月までの電気料金は総額113,093,627円(うち52年度分41,207,262円、53年度分39,926,760円及び54年度分31,959,605円)となり、約1130万円(うち52年度分約400万円、53年度分約400万円及び54年度分約330万円)を節減することができたと認められる。

2 那覇航空交通管制部では、沖縄電力株式会社から庁舎の電燈用電力及び電波により航空機の航行を援助するための無線施設等の動力用電力の供給を受けていて、その契約電力は昭和51年4月から1,150kWとなっている。
 しかして、同航空交通管制部における電力使用の状況を調査したところ、各年度における最大需要電力の最高値は51年度760kW、52年度770kW、53年度770kW、54年度810kWとなっていて、各年度とも契約電力を著しく下回っており、契約電力が長期にわたって実情に沿わない不適当なものとなっていた。
 いま、仮に53年度以降における電気需給契約について、51、52両年度間の最大需要電力の最高値である52年8月の7700kWに若干の余裕を見込んで、契約電力を850kWとしていたとすれば、53年度から54年度の1月までの電気料金は総額125,066,412円(うち53年度分68,308,277円、54年度分56,758,135円)となり、約530万円(うち53年度分約2900万円、54年度分約240万円)を節減することができたと認められる。

(注)  最大需要電力 負荷設備のか働、休止によって電力の使用実績は変化するものであり、その各月の最高値(瞬間的なものは除外し、一定時間継続する値)をいう。