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  • 昭和54年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第12 建設省|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

除雪用機械の購入費補助について処置を要求したもの


(2) 除雪用機械の購入費補助について処置を要求したもの

(昭和55年11月19日付け55検第545号 建設大臣あて)

 建設省では、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法(昭和31年法律第72号)に基づき、積雪寒冷の度が特にはなはだしい地域における道路の交通を確保するため、当該地域の道路を管理する道府県及びこれら管内の市町村に対し、除雪グレーダ及びロータリ除雪車等の機械(以下「除雪用機械」という。)の購入費の3分の2を補助しており、昭和53、54両年度の交付額は1,371台分総額109億3445万余円(購入費164億0168万余円)となっている。そして、このうち、既往年度に補助の対象とした除雪用機械の更新用として交付している額は821台分総額68億7786万余円(購入費103億1679万余円)に上っているが、この補助金の交付について検査したところ、次のとおり、適切でないと認められる点が見受けられた。

 すなわち、同省では、更新用として購入する除雪用機械の購入費に対して交付する補助金については、新規に購入する場合に交付する補助金と同様に取り扱っているが、北海道ほか21府県(注) 及びこれら管内の市町村(以下「道府県等」とう。)における更新の対象となった旧除雪用機械の処分状況について調査したところ、53年度分として補助金の交付を受けた366台のうち199台を1億1081万余円で売却、80台を他の用途に転用、残り87台は今後売却又は他の用途に転用を予定しており、また、54年度分として補助金の交付を受けた455台のうち232台を1億3887万余円で売却、90台を他の用途に転用、残り133台は今後売却又は他の用途に転用を予定している状況であった。

 しかして、これら旧除雪用機械の処分によって道府県等が得ている利益、すなわち売却による収入額又はその他の処分に伴うその評価額は補助事業の実施に伴う利益であるから、更新用として交付する補助金の交付については、これらの処分に伴う利益を考慮して交付額を決定すべきであると認められる。
 いま、仮に旧除雪用機械821台の処分に伴う利益を、補助対象額から控除したとすれば、売却したものだけについてみても国庫補助金相当額を約1億6000万円程度節減できたと認められる。

 このような状況となっているのは、補助金の交付に当たり、更新の対象とした旧除雪用機械の財産的価値についての配慮が十分でなかったことなどによるものと認められる。
 ついては、今後とも除雪用機械の更新に対して引き続き多額の補助金の交付が見込まれているものであるから、建設省において、早急にこの補助金の交付方法を検討して、道府県等が得ている利益を補助対象額に反映させるなどの措置を講じもって国庫補助金の節減を図る要があると認められる。

(注)  北海道ほか21府県 北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、栃木、群馬、新潟、富山、石川、福井、長野、岐阜、滋賀、兵庫、鳥取、島根、岡山、広島県、京都府