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  • 昭和54年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第3 日本電信電話公社|
  • 不当事項|
  • 工事

通信用ケーブル収容管路の耐火防護工の施行に当たり、吹付け石綿等を設計と相違して施工したもの


(134)(135) 通信用ケーブル収容管路の耐火防護工の施行に当たり、吹付け石綿等を設計と相違して施工したもの

(134) 1 科目 (建設勘定) (項)電信電話施設費
部局等の名称 宮崎電気通信部
工事名 宮崎〜高鍋整備取替工事(土木)
工事の概要 通信用ケーブルの整備拡充を図るため、同ケーブルを収容する管路及びマンホールの新増設等とともに、橋りょうに添架した管路の耐火防護工を施行する工事
工事費 72,800,000円(当初契約額71,800,000円)
請負人 西部電気工業株式会社
契約 昭和54年4月 指名競争契約
しゅん功検査 昭和54年12月
支払 昭和54年6月〜55年1月 4回
(135) 2 科目 (損益勘定)(項)保守費
部局等の名称 千葉電気通信部
工事名 三和局保全強化工事(土木)
工事の概要 通信用ケーブル収容管路の整備を図るため、橋りょうに添架している管路の耐火防護工等を施行する工事
工事費 10,400,000円
請負人 三和大栄電気興業株式会社
契約 昭和55年2月 指名競争契約
しゅん功検査 昭和55年3月
支払 昭和55年3月

 上記の両工事は、耐火防護工の施工に当たって、監管及び検査が適切でなかったため、吹付け石綿等の施工が設計と相違した不良なものとなっていて、耐火防護工としての目的を達していないと認められ、工事費相当額が1において9,477,983円、2において8,188,721円、計17,666,704円不当となっていると認められる。

(説明)

上記両工事の耐火防護工は、道路の橋りょうのけた等に支持金物で添架している通信用ケーブルを収容するための管路(硬質ビニル管)を、橋りょう下のたき火等による被害から防護するため施行するものである。
 しかして、これらの耐火防護工は、契約図面等によると、管路の周囲をメタルラスで包んで、これにセメントを混合した石綿を仕上り厚さ20mm又は30mmに吹き付けた後、亀甲金網を巻き付け、この上を石綿とセメントを1:1に配合(重量比)したハードセメントにより厚さ5mmで被覆し、更に、その表面には防水性の塗料を塗布して仕上げる(以下「吹付け石綿工法」という。)こととしている。
 しかるに、その施工に当たって、監督及び検査が適切でなかったため、下記1、2のとおり、吹付け石綿工の施工が設計と相違した不良なものとなっていて、耐火防護工としての目的を達していないと認められる。

 1 この工事は、宮崎、高鍋両電報電話局及び両局間の通信用ケーブルを整備拡充するためケーブル収容管路及びマンホールを新増設するなどの工事で、このうち、一ッ瀬川に架かる一ッ瀬橋の橋げたに添架している管路(4条)を防護するため実施した耐火防護工延長242m(工事費相当額9,477,983円)は、前記吹付け石綿工法により施工したとしていた。
 しかし、実際は、吹付け石綿の厚さが設計に比べて4mm程度(最大15mm)不足する箇所が多数見受けられたり、支持金物の周辺に亀甲金網をほとんど施工していなかったり、また、ハードセメントは設計配合と異なるセメント量の少ない配合のものを使用し、その厚さも3mm程度で施工した箇所があったりしていた。このため、既に全延長にわたり多数のき裂を生じているばかりでなく、最大幅27cm、長さ130cm程度の欠損箇所を含め273箇所に穴があいていて、吹付け石綿が欠落して管路が露出しているものが177箇所に及んでいる状況である。

2 この工事は、市原電報電話局三和電話交換局管内の通信用ケーブル収容管路等を保全強化するもので、このうち、養老川ほか1河川に架かる浅井橋ほか3橋の橋げた等に添架している管路を防護するため実施した耐火防護工延長計229m(工事費相当額計8,188,721円)は、前記吹付け石綿工法により施工したとしていた。
 しかし、実際は、浅井橋(施工延長77.6m)及び君見川橋(同20.4m)については、両橋とも管路(24条、又は16条)の左右両側に耐火防護工を全く施工しておらず、また、管路の上下両面の亀甲金網及び下面の支持金物周辺のメタルラスをほとんど施工していなかったほか、吹付け石綿の厚さも設計に比べ5mmから20mm程度不足している箇所が多数見受けられた。また、境橋(施工延長69m)及び手綱橋(同62m)については、管路(いずれも5条)の支持金物周辺にメタルラスや亀甲金網を施工していなかったり、吹付け石綿の厚さもほとんどの箇所において5mmから20mmを施工しているにすぎず設計に比べ10mmから25mm程度不足していたりしており、また、手綱橋では管路上面のハードセメントを全く施工していなかった。