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  • 昭和54年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第13 動力炉・核燃料開発事業団|
  • 不当事項|
  • 役務

電気需給契約の更改に当たり、契約電力の算定が適切でなかったため、電気料金が不経済に支払われていたもの


(154) 電気需給契約の更改に当たり、契約電力の算定が適切でなかったため、電気料金が不経済に支払われていたもの

科目 (款)再処理開発費 (項)研究開発費
(款)探鉱開発費 (項)研究開発費 (項)探鉱開発支援費 (項)施設費
(款)ウラン濃縮開発費 (項)パイロットプラント建設費
(項)パイロットプラント運転費
(款)一般管理運営費 (項)一般管理費
部局等の名称 人形峠事業所
契約名 電気需給契約
契約の概要 人形峠事業所において、製錬設備、ウラン濃縮パイロットブラント等の動力用電力の供給を受ける契約
契約の相手方 中国電力株式会社
契約 昭和53年11月
昭和54年6月
昭和54年8月
支払 昭和53年12月〜55年6月 19回
支払電気料金 156,597,539円
内訳 53年度分(11月から) 15,145,862円
54年度分 95,232,815円
55年度分(5月まで) 46,218,862円

 この電気料金は、負荷設備の増設等に伴う電気需給契約の更改に当たり、契約電力の算定が適切でなかったため、契約電力が電力の使用実績に比べ著しく過大となり、約1660万円が不経済になったと認められる。

(説明)

 人形峠事業所では、中国電力株式会社から製錬設備等の動力用電力の供給を受けていて、その契約電力を650kWとしていたが、 昭和53年11月からボイラ設備等のか働に伴い、高圧電力乙から特別高圧電力に契約種別を変更するとともに、契約電力を1,500kWに更改し、また、その後54年6月からウラン濃縮パイロットプラント(以下「濃縮設備」という。)のか働に伴い契約電力を3,000kWに更改し、更に同年8月から電力需給の安定を図るため契約電力3,000kWの予備電力乙を追加する契約をしている。
 しかして、同事業所における契約電力の算定についてみると

(1) 53年11月に契約電力を1,500kWに更改した際には同年10月末現在の負荷設備(電力を使用する機器)容量2,074kWに11月からか働する負荷設備容量の増加分436kW及び工事用負荷設備容量470kWを加え負荷設備容量を計2,980kWとし、需要率(注) を50%と推定して1,500kWとしたものである。

(2) 54年6月に契約電力を3,000kWに更改した際には上記の53年10月末現在の負荷設備容量2,074kWについては推定により500kWとし、上記の増加分436kWについては需要率を50%と推定して220kWとしたほか、新たにか働する濃縮設備の負荷設備容量及び工事用負荷設備容量の計3,439kWについては需要率を65%と推定して2,240kWとし、これらの計2,960kWを基にして3,000kWとしたものである。

 しかしながら、一般に研究所、事業所等の研究施設において、多数の負荷設備が設置されている場合は、その全負荷設備が同時に使用されることがないため需要率は通常相当下回るものであり、同事業所における53年11月及び54年6月における契約更改前までの需要率の最大値も30.7%及び32.3%となっており、契約更改に当たり、需要率を50%又は65%と推定して契約電力を算定したのは適切とは認められない。現に、54年6月以後の需要率の最大値は32.1%になっている状況である。
 また、54年6月に契約電力の算定の基礎とした濃縮設備等の負荷設備容量を3,439kWとしているが、このうちには55年6月まで使用しない遠心分離機の関連設備等の負荷設備などの容量889kWが含まれており、負荷設備容量はこれらを差し引いて2,550kWとすべきであったと認められる。

 いま、仮に各契約更改前までの需要率の最大値30.7及び32.3%に若干の余裕を見込私負荷設備容量を適正には握して契約電力を算定すると、53年11月の1,500kWは1,000kW(53年11月から54年5月までの実績の最大需要電力は960kW)、54年6月の3,000kWは1,800kW(54年6月から55年5月までの実績の最大需要電力は1,620kW)で足り、これにより契約していたとすれば、53年11月から55年5月までの電気料金の総額は136,355,333円(うち53年度分12,900,430円、54年度分83,137,297円及び55年度分40,317,606円)となり、53年11月に契約種別を高圧電力乙から特別高圧電力に変更したことに伴う配電線路工事費の負担額が、契約電力の増加が少なかったことにより増加することを考慮したとしても支払電気料金を約1660万円(うち53年度分約220万円、54年度分約840万円及び55年度分約590万円)節減することができたと認められる。

(注)  需要率  負荷設備のか働、休止によって電力の使用実績は変化するものであるが、その各月の最高値である最大需要電力をそのときの負荷設備容量で除した値