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  • 昭和55年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第1 総理府|
  • (国土庁)|
  • 不当事項|
  • 補助金

小笠原諸島振興関係補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの


(1) 小笠原諸島振興関係補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)国土庁 (項)小笠原諸島振興事業費
部局等の名称 国土庁
補助の根拠 小笠原諸島振興特別措置法(昭和44年法律第79号)
事業主体 東京都
補助事業 東京都小笠原村父島大神山公園緑地整備事業
工事費 59,000,000円(当初契約額 58,700,000円)
上記に対する国庫補助金交付額 29,500,000円

 この補助事業において、都市公園内の擬木柵(さく)工事等の施工が設計と相違していて国庫補助金3,587,000円が不当と認められる。

(説明)
 この工事は、小笠原諸島の父島に都市公園(事業計画昭和53年度から55年度まで)を整備するため、昭和54年度に管理施設、園路広場、休養施設等を設置するものであるが、このうち、管理施設として施工した擬木柵、園路広場として施工した雑石積土留壁、雑石土留壁及び雑石階段において、次のとおり、設計書、図面及び仕様書と相違して著しく不良な施工となっている事態が見受けられた。 この結果、工事費7,174,000円(国庫補助金3,587,000円)が不当となっていると認められる。

(1) 擬木柵10箇所延長854m(工事費16,957,000円)はコンクリート製の支柱(支柱長1.2m)を1.2m間隔で建て込み、コンクリート製の横木を上下2段に取り付けるもので、支柱の基礎として、粘性土の箇所には深さを58cm床掘りして砕石を厚さ10cmに敷きならしたうえその上部に縦、横各30cm高さ45cmの基礎コンクリートを打設し、また、軟岩の箇所には深さ45cmを床掘りしたうえ同形状の基礎コンクリートを打設することとし、この基礎コンクリートに支柱を27cm又は30cm建て込むことにしていた。
 しかるに、うち9箇所延長674mについては、所定の床掘りを行っていないばかりでなく、砕石もほとんど施工しておらず、また、基礎コンクリートは高さ5cmから30cmをすり鉢状に打設したにすぎない(不当工事費3,717,000円)。

(2) 雑石積土留壁15箇所延長312m及び雑石土留壁19箇所延長497m(工事費計19,585,000円)は、擁壁の基礎として、床掘り55cm及び40cmを施工したうえ砕石等を厚さ15cm及び10cm、幅70cm及び55cmに敷きならし、雑石積土留壁については前面厚20cm、裏面厚15cm、幅60cmの基礎コンクリートを、また、雑石土留壁については厚さ15cm、幅45cm の基礎コンクリートをそれぞれ打設し、その上に高さ平均88cm及び50cm程度の土留壁を施工することとしていた。
 しかるに、うち雑石積土留壁5箇所延長112m及び雑石土留壁8箇所延長202mについては、所定の床掘りを行っていないばかりでなく、砕石等もほとんど施工しておらず、また、基礎コンクリートは厚さ5cmから10cmを打設したにすぎない(不当工事費2,784,000円)。 

(3) 雑石階段8箇所118段(工事費769,000円)は、斜面を幅150cm、奥行40cm、高さ15cmの階段状に掘削し、各段に砕石を厚さ5cmに敷きならし、踏面はコンクリート厚さ10cmで仕上げることとしていたが、うち7箇所103段については所定の床掘り、砕石敷きならしを施工することなく、また、踏面のコンクリートの厚さが不足していて、各所にき裂が生じている状況であった(不当工事費673,000円)。