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  • 昭和55年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
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  • 保険

健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収に当たり、徴収額が不足していたもの


(8) 健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収に当たり、徴収額が不足していたもの

会計名及び科目 厚生保険特別会計 (健康勘定)(款)保険収入(項)保険料収入
(年金勘定)(款)保険収入(項)保険料収入
部局等の名称 一関社会保険事務所ほか23社会保険事務所
保険料納付義務者 702事業主

 上記の702事業主から保険料を徴収するに当たって、調査が十分でなかったため、139,646,152円(健康保険保険料68,497,852円、厚生年金保険保険料71,148,300円)が徴収不足になっていた。これらについては、本院の注意により、すべて徴収決定された。これを都府県ごとに集計して掲げると、別表 のとおりである。
 これは、岩手県ほか14都府県の一関社会保険事務所ほか23社会保険事務所管内の107,873事業所のうち1,798事業所について本院が調査した結果である。

(説明)
 健康保険及び厚生年金保険は、主として常時5人以上の従業員を雇用する事業所の従業員を被保険者として、健康保険にあっては業務外の疾病、負傷等に関し医療等の給付を、また、厚生年金保険にあっては老齢、死亡等に関し年金等の給付を行う保険である。そして、その保険料は、被保険者と事業所の事業主とが負担し、事業主が納付することとなっている。これらの事業主は、新たに従業員を雇用したときには被保険者資格取得届を、毎年8月1日現在において雇用している被保険者の報酬月額を記載した報酬月額算定基礎届を同月10日までに、また、被保険者の報酬月額が一定以上増減したときには報酬月額変更届をそれぞれ都道府県の社会保険事務所に提出することになっており、これらの届け書の提出を受けた社会保険事務所は、届け書に記載された被保険者の報酬月額に基づいて標準報酬月額(注) を決定し、これに保険料率を乗じて得た額を保険料として徴収している。このほか、健康保険法等の一部を改正する法律(昭和52年法律第86号)により、昭和53年1月から当分の間、事業主が被保険者に対して賞与等の支払を行ったとき、その支払総額等を記載した賞与等支払届を提出させ,賞与等の総額に特定の保険料率を乗じて得た額をも健康保険の保険料として徴収することとしている。
 しかし、保険料徴収の適否について検査したところ、前記の24社会保険事務所では、事業主が上記の届出に当たり、資格取得年月日が事実と相違していたり、報酬月額に算入しなければならない諸手当を脱漏していたりなどしていたものがあったのに、これに対する調査が十分でなかったため、702事業所分139,646,152円が徴収不足になっていた。

 (注)  標準報酬月額 被保険者に実際に支給される報酬月額とは別個に仮定的に設けられるもので、健康保険では第1級30,000円から第39級380,000円まで、厚生年金保険では55年9月までは第1級30,000円から第36級320,000円まで、55年10月からは第1級45,000円から第35級410,000円までの等級にそれぞれ区分され、被保険者の報酬月額はこの等級のいずれかに当てはめられる。

(別表)

健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収に当たり、徴収額が不足していたものの図1