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  • 昭和55年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第8 日本道路公団|
  • 不当事項|
  • 工事(166)(167)

インターチェンジ橋新設工事の施行に当たり、支承の据え付け等を設計と相違して施工したもの


(166) インターチェンジ橋新設工事の施行に当たり、支承の据え付け等を設計と相違して施工したもの

科目 (款)高速道路建設費 (項)建設工事費
部局等の名称 札幌建設局
工事名 道央自動車道白老工事
工事の概要 道央自動車道建設の一環として白老インターチェンジ橋の新設、盛土等を施工する工事
工事費 1,566,000,000円(ほかに支給資材費159,891,242円)
請負人 大木建設株式会社札幌支店・株式会社山田組道央自動車道白老工事共同企業体
契約 昭和55年2月 指名競争契約
支払 昭和55年3月〜56年6月 6回

(55年度中の支払額817,650,000円、うち前払金325,720,000円)

 この工事は、インターチェンジ橋工事の施行に当たって、監督及び検査が適切でなかったため、橋りょう支承の据え付け等の施工が設計と著しく相違いた不良なものとなっていて、工事費80,579,257円(支給資材費相当額15,374,629円を含む。)が不当となっていると認められる。

(説明)
 この工事は、道央自動車道登別・苫小牧間の建設工事の一環として、白老インターチェンジ橋の新設、盛土等を施工するもので、このうち、インターチェンジ橋工事は、幅員33.6mから36m(上り線部13.2m、下り線・ランプ部のうち登別方20.3m、苫小牧方22.7m)、横長39.4mの橋りょうを新設するため、橋台2基及び橋脚2基(以下登別方を「P1橋脚」、苫小牧方を「P2橋脚」という。)を設け、上部に床版を架設するものである。
 しかして、この橋りょうの設計についてみると、床版とP1橋脚の接点には固定支承を、また、床版と各橋台及びP2橋脚との接点には可動支承をそれぞれ12基計36基を据え付けることとしていた。この可動支承は黄銅製の支承板を挿入した鋳鋼製の下くつとステンレス板を溶接した鋳鋼製又は鋼製の上くつからなり、これを設置するに当たっては、下くつは走行車線方向に支承正面を向けて橋脚又は橋台に据え付けた後4本又は2本のアンカーボルトで固定し、また、上くつは下くつの支承板上を滑動できるようにステンレス板部を下に向け、下くつの中心に上くつの中心を合わせて設置した後、床版のコンクリートに固定することとしている。このように上下のくつを設置することによって、可動支承は床版等の荷重を橋脚及び橋台に伝達するとともに、載荷及び温度変化などによる床版の伸縮に無理なく追従できるようになっている。

(参考図)

(参考図)

インターチェンジ橋新設工事の施行に当たり、支承の据え付け等を設計と相違して施工したものの図1

 しかるに、P2橋脚12基の支承の施工に当たって、そのすべてを誤って、走行車線方向から90度横向きにして据え付けていた。このことは、上記の目的を達するために支承正面を走行車線方向に向けて据え付けることとしている設計を無視した基本的ミスであって、この誤りにより、上くつが移動できないばかりか、床版から作用する力などに対応できないものとなっている。すなわち、この橋りょうはP2橋脚部においても床版が橋脚に固定された状態となり、この部分に設計上想定していない力が加わることになるため、特に地震等による衝撃に耐えられないものとなっている。
 このほか、橋台の支承の施工に当たって、支承は下くつの中心に上くつの中心を合わせて施工することとしているのに、うち7基については上下のくつの位置がずれたまま据え付けているため、下くつの凸部と上くつが接触し温度変化等に対してすら機能しなくなっており、また、地震時等における支承の異常なずれを防止するため、橋台の全支承の周りに高さ6cmの台座鉄筋コンクリートを橋台部と一体となるように施工することとしているのに、これを全く施工しないで、支承の周囲は単にモルタルで固めたにすぎない。

 上記のように、施工が設計と著しく相違していて、工事の施工が不良となっていると認められる。