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  • 昭和55年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第9 首都高速道路公団|
  • 不当事項|
  • 工事

高架橋新設工事の施行に当たり、PC鋼より線の緊張工費の積算を誤ったため、契約額が割高になったもの


(168) 高架橋新設工事の施行に当たり、PC鋼より線の緊張工費の積算を誤ったため、契約額が割高になったもの

科目 (款)業務費 (項)高速道路建設費
部局等の名称 首都高速道路公団本所
工事名 674工区(その1)高架橋下部構造新設工事
工事の概要 高速道路建設工事の高架橋の基礎ぐい及び橋脚を建設するなどの工事
工事費 1,776,000,000円
請負人 若築・森本674工区(その1)下部建設工事共同企業体
契約 昭和55年9月 指名競争契約
支払 昭和55年10月(前払金532,800,000円)

 この工事は、橋脚工事費の積算に当たり、横ばりに施工ずるPC鋼より線の緊張工費を誤った設計数量に基づき算出したため、契約額が約2億8400万円割高になったと認められる。

(説明)
 この工事は、都道首都高速6号線(2期)建設工事の一部に当たる足立区綾瀬4丁目地内の綾瀬川左岸沿いの高架橋(延長360.5m)の下部工として、橋脚(径4m、高さ平均14.9mの脚部と、その上部に左右に張り出す長さ18mの横ばりが一体となった構造)9基及びその基礎ぐい等を施行するものである。このうち、橋脚上部に設ける横ばりの設計については、プレストレストコンクリート(注1) で施工することとし、その施工に当たっては、あらかじめシース(注2) に挿入された長さ10.9mから16.9mのPC鋼より線を橋脚1基につき26本ないし30本、9基分計262本を設置し、コンクリート打設後これを緊張定着することとしていた。
 しかして、この工事の予定価格の内訳についてみると、横ばり工事費のうちPC鋼より線の緊張工費は、その単価をPC鋼より線1本当たり69,042円とし、9基分で計3,820本の施工本数を見込んでこれに単価を乗じ263,740,440円と算出していた。しかし、この施工本数はシース総延長3,820mの数値であって誤りであり、上記の設計によれば、緊張工の施工本数は計262本であるから、これに単価を乗じて18,089,004円と算出すべきである。この結果、上記の積算額は著しく過大なものになっていると認められる。
 いま、仮に上記適正な設計数量により、工事費を修正計算すると、総額1,491,824,985円となり、本件契約額はこれに比べ約2億8400万円割高であったと認められる。

 (注1)  プレストレストコンクリート 荷重による力に対して抵抗するよう逆方向の力をあらかじめ与えるために用いる高強度の鋼材(これをPC鋼材といい、PC鋼棒、PC鋼線、PC鋼より線があり、本件工事で使用したPC鋼より線はPC鋼線をより合わせたもの)をコンクリート内部に入れて緊張させ、より大きな荷重に耐え得る力を与えた鉄筋コンクリート

 (注2)  シース コンクリート打設時にPC鋼材がコンクリートに直接触れないようにPC鋼材をカバーするために用いられる薄鉄板製の管

(参考図)

(参考図)