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  • 昭和55年度|
  • 第4章 歳入歳出決算その他検査対象の概要|
  • 第7 政府関係機関及びその他の団体|
  • 4 公団、事業団その他6団体の決算

中小企業事業団


(16) 中小企業事業団

 この事業団は、中小企業構造の高度化を促進するために必要な指導、資金の貸付け等の事業を総合的に実施し、併せて中小企業の経営管理の合理化及び技術の向上を図るために必要な研修、指導等の事業を行うとともに、小規模企業共済法及び中小企業倒産防止共済法の規定による共済制度の運営等を行い、もって中小企業の振興、小規模企業者の福祉の増進及び中小企業の経営の安定に寄与することを目的として設置されているもので、55事業年度(注1) 末現在の資本金は6661億1951万余円(全額国の出資)となっており、同事業団の会計は、小規模企業共済、中小企業倒産防止共済、高度化融資及び指導研修の3勘定に区分して経理されている。
 なお、同事業団は、55年10月1日中小企業事業団法(昭和55年法律第53号)附則第6条及び第7条の規定により解散した中小企業共済事業団及び中小企業振興事業団の一切の権利及び義務を承継した。(注2)

(小規模企業共済勘定)

 この勘定は、小規模企業共済事業及び小規模企業共済契約者に対する資金の貸付事業に関する経理を行うものである。

 55事業年度の収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額653億6507万余円、支出では、支出決定済額85億3450万余円、不用額6億0965万余円となっている。不用額の主なものは解約手当金(支出予算現額19億8880万余円)の2億9911万余円である。
 前記の収入支出に係る業務実績の主なものは、共済契約者数81,314件、共済金の支払6,638件44億4502万余円である。また、貸付け25,975件112億7152万円、貸付金回収67億7045万余円で、55事業年度末における貸付金の残高は35,958件150億6404万余円、共済契約者数は975,493件となっている。
 なお、55事業年度における損益についてみると、掛金等収入の収益4222億1833万余円、共済金等の費用4221億9325万余円で、2508万余円の利益金を生じており、同事業年度末における積立金と合わせて7億2960万余円が翌事業年度に積立金として積み立てられている。また、同事業年度末における責任準備金の残高は4141億5087万余円となっている。

(中小企業倒産防止共済勘定)

 この勘定は、中小企業倒産防止共済事業に関する経理を行うものである。

 55事業年度の収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額43億1041万余円、支出では、支出決定済額7億8522万余円、不用額7億7386万余円となっている。不用額の主なものは管理諸費(支出予算現額10億8357万余円)の6億4131万余円である。
 前記の収入支出に係る業務実績の主なものは、共済契約者数6,523件、共済契約者に対する共済金の貸付け1,853件68億2888万円、貸付金回収16億1534万余円で、55事業年度末における貸付金の残高は6,234件226億2130万余円、共済契約者数は32,884件となっている。また、この貸付金残高のうち弁済期限を6箇月以上経過した元金延滞額は7億1967万余円(うち1年以上延滞のもの2億8913万余円)となっている。
 なお、55事業年度における損益についてみると、掛金等収入の収益197億0660万余円、管理諸費等の費用197億0249万余円で、411万余円の利益金を生じており、同事業年度末における積立金と合わせて2699万余円が翌事業年度に積立金として積み立てられている。また、同事業年度末における倒産防止共済基金の残高は176億3019万余円、異常危険準備基金の残高は5億9112万余円となっている。

(高度化融資及び指導研修勘定)

 この勘定は、中小企業構造の高度化を促進するために必要な資金の貸付け等、経営管理の合理化、技術の向上を図るための指導、研修等の事業に関する経理を行うものである。

 55事業年度の収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額1522億8114万余円、支出では、支出決定済額891億8059万余円、翌事業年度繰越額912億3358万余円、不用額741億1019万余円となっている。
 翌事業年度繰越額の主なものは、貸付金(支出予算現額2227億6933万余円)の906億8644万円、不用額の主なものは貸付金の737億2913万余円である。
 前記の収入支出に係る業務実績の主なものは、貸付け369件583億5375万余円、貸付金回収331億1740万余円で、55事業年度末における貸付金の残高は8,944件7369億7313万余円となっている。また、この貸付金残高のうち弁済期限を6箇月以上経過した元金延滞額は50億8644万余円(うち1年以上延滞のもの37億1290万余円)となっている。
 なお、55事業年度における損益についてみると、貸付金利息等の収益326億1740万余円、支払利息等の費用323億4884万余円で、2億6856万余円の利益金を生じており、同事業年度末における積立金と合わせて14億9139万余円が翌事業年度に積立金として積み立てられている。また、同事業年度末における借入金の残高は515億5378万余円(市中金融機関及び都道府県からの借入金)、債券発行残高は1976億2800万円となっている。

(注1)  中小企業事業団の55事業年度は、55年10月1日から56年3月31日までである。

(注2)  この承継に係る両事業団の貸借対照表上の資産、負債及び資本は、中小企業共済事業団については、小規模企業共済勘定の投資有価証券等の資産3649億0155万余円、責任準備金等の負債3618億0703万余円及び政府出資金等の資本30億9451万余円、中小企業倒産防止共済勘定の貸付金等の資産224億4643万余円、倒産防止共済基金等の負債184億2355万余円及び政府出資金等の資本40億2288万余円、中小企業振興事業団については、貸付金等の資産8670億8251万余円、中小企業振興債券等の負債2847億9116万余円及び政府出資金等の資本5822億9134万余円である。