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  • 昭和56年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第4 農林水産省|
  • 不当事項|
  • 工事

頭首工工事の施行に当たり、仮設足場費の積算を誤ったため、契約額が割高になったもの


(71) 頭首工工事の施行に当たり、仮設足場費の積算を誤ったため、契約額が割高になったもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)農林水産本省 (項)土地改良事業費
部局等の名称 東北農政局
工事名 白川農業水利事業長瀞頭首工工事
工事の概要 農業用水を取水するため、堤長72mの頭首工を建設する工事
工事費 459,000,000円(当初契約額405,000,000円)
請負人 三幸建設工業株式会社
契約 昭和56年3月指名競争契約
支払 昭和56年6月、57年4月2回(56年度分支払額287,340,000円)

 この工事は、仮設足場費の積算を誤ったため、契約額が約1400万円割高になったと認められる。

(説明)

 この工事は、山形県長井市ほか2町の耕地997.6haに農業用水を確保するため、最上川水系の白川から取水する頭首工(注1) を建設するもので、飯豊町松原地内に、洪水吐エプロン(幅49.6m、長さ22.8m、厚さ0.5〜1.0m)、土砂吐エプロン(幅20.4m、長さ52.5m、厚さ0.6〜1.3m)、ピア4基(高さ8.0〜8.5m)、ピア上屋4箇所(高さ2.7m、面積21.5〜22.5m2 )等のコンクリート構造物を築造することとしている。

 しかして、この工事の予定価格の内訳についてみると、上記構造物のコンクリート打設等に使用するため仮設する足場の損料及び労務費(以下「仮設足場費」という。)は、農林水産省制定の「施工単価条件表」の鋼製足場を適用して足場1空m3 (注2) 当たりの単価を算出することとし、構造物ごとの足場の種類及び設置高により1空m3 当たり2,019円から2,881円と算出し、これに足場の数量計7,942.6空m3 を乗じて、仮設足場費を17,405,917円と算定していた。

 しかし、上記の「施工単価条件表」によれば、足場を同一現場内で継続して転用する場合の回数及び延べ供用日数によって単価が算出されることになっていて、上記の積算においては足場を延べ供用日数120日間に3回転用することとして単価を算出していながら、これに足場の数量の全量をそのまま乗じて仮設足場費を算定したのは誤りである。すなわち、足場材料は3分の1を現場に搬入して仮設し、これを3回転用することとして120日間の供用日数を見込んだものであるのに、上記の積算は120日間に全数量の足場を繰り返し3回仮設することとしていたものである。したがって、この単価に乗ずる足場数量は、各足場別に足場数量を転用回数3で除した数量とすべきであったと認められる。そして、前記足場数量7,942.6空m3 のうちには高さ0.5mから1.3mのエプロン部に係る足場数量4,621空m3 が計上されているが、このような低い構造物については仮設足場費を見込まないものであり、また、擁壁等に係る足場数量1,987.3空m3 が計上漏れとなっていたので、これらを勘案すると、適正な足場数量は5,308.9空m3 となる。したがって、この足場数量を各足場別に転用回数3で除した数量計1,770空m3 により仮設足場費を算定すると4,409,046円となる。

 いま、仮に上記により工事費を修正計算すると、積算不足となっていた吊り足場費を考慮しても総額444,990,000円となり、本件契約額はこれに比べて約1400万円が割高であったと認められる。

(注1)  頭首工 河川から必要な農業用水を用水路に引き入れるための施設で、取水ぜき、取水口及びこれらの附帯施設並びにこれらの管理施設から構成される。

(注2)  空m3  立体的な足場又は支保工の数量を表わす単位で、その設置高に延長及び幅を乗じた空間の体積

(参考図)

(参考図)