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  • 昭和56年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第5 通商産業省|
  • 不当事項|
  • 補助金

中小企業設備近代化資金の貸付けが不当と認められるもの


(86)−(107) 中小企業設備近代化資金の貸付けが不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計(組織)中小企業庁(項)中小企業対策費
部局等の名称 札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、四国、福岡各通商産業局、沖縄総合事務局
助成の根拠 中小企業近代化資金等助成法(昭和31年法律第115号)
事業主体 北海道ほか12府県
事業の内容 中小企業者に無利子で貸し付ける設備近代化資金の貸付け
貸付先 22中小企業者
貸付額の合計 193,708,000円(国庫補助金相当額96,854,000円)
 この事業は、都道府県が、国の補助金と自己資金等によって資金を造成し、設備の近代化に必要な資金の調達が困難な中小企業者に対して、必要と認めた資金の2分の1以内を無利子で貸し付ける事業であるが、昭和55、56両年度に実施した事業の一部について調査したとごろ、上記の22中小企業者に対する193,708,000円の貸付けにおいて、次表のとおり、154,483,548円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額77,241,774円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。

 

道府県名 貸付先 貸付対象 貸付
昭和年月
貸付対象事業費
貸付対象として適切でない事業費 補助の目的に沿わない結果になった国庫補助金相当額 摘要
同上に対する貸付額 同上に対する貸付金相当額
(86) 北海道 建設業者 掘削機 56.4 千円
12,800
(6,400)
千円
12,800
(6,400)
千円
3,200

貸付対象外
 この貸付けは、昭和55年度貸付事業で、掘削機1台の所要資金12,800,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、貸付対象事業費どおりの価格で設備が設置され、56年3月に貸付金相当額が支払われていたとしているが、実際は、8,600,000円で長期の割賦販売契約(55年10月から57年9月まで24回払い)により設置しており、貸付後1箇月までの支払額は2,385,000円であった。しかして、本資金は、貸付年度中又は貸付後1箇月までに貸付金相当額の支払を完了するものに対して貸し付けるものであるから、本件設備は貸付対象にならないものである。
(87) 山形県 建設業者 トラクタ 57.5 20,115
(10,000)
4,365
(2,125)
1,062
低額設置
 この貸付けは、トラクタ1台の所要資金21,904,639円(うち貸付対象事業費20,115,000円)の一部として貸し付けたもので、21,904,639円で設備が設置されていたとしているが、実際は、この価格より低額な15,750,000円で設置していた。

 したがって、適切な貸付額は7,875,000円となり、本件貸付額10,000,000円との差額2,125,000円は過大な貸付けとなっている。

(88) 茨城県 特殊産業機械器具製造業者 マシニングセンター 56.9 24,000
(12,000)
24,000
(12,000)
6,000 重複融資
 この貸付けは、マシニングセンター1台の所要資金24,000,000(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたものであるが、借主はこの貸付けを受ける以前に本件貸付対象事業以外の附属装置費を合わせ事業費総額26,000,000円を対象として中小企業金融公庫から長期資金20,000,000円を借り入れていた。

 しかして、本資金は、貸付対象設備の設置に要する資金の40%未満の貸付けは行っていないものであり、上記事業費総額26,000,000円から同公庫からの借入額20,000,000円を控除した残額は6,000,000円となり、貸付対象事業費の25%にすぎないので、本件貸付けはその要はないものである。

(89) 茨城県 食料品製造業者 急速凍結装置及びフォークリフトトラック 56.11 15,600
(7,776)
10,400
(5,184)
2,592 貸付対象外
 この貸付けは、急速凍結装置一式及びフォークリフトトラック1台の所要資金15,600,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、貸付対象事業費どおりの価格で設備が設置されていたとしているが、実際は、貸付対象設備のうち、急速凍結装置(貸付対象事業費10,400,000円、貸付額5,184,000円)は中古品を4,100,000円で設置していた。

 しかして、本資金は、新品又は新品と同程度の設備に対して貸し付けるものであり、本件急速凍結装置はこれに該当しないので貸付対象にならないものである。

(90) 群馬県 表面処理業者 塗装装置 55.12 13,640
(6,820)
7,865
(3,932)
1,966 低額設置
 この貸付けは、塗装装置一式の所要資金19,522,000円(うち貸付対象事業費13,640,000円)の一部として貸し付けたもので、19,522,000円で設備が設置されていたとしているが、実際は、この価格より低額な10,820,000円(うち貸付対象事業費5,775,000円)で設置していた。したがって、適切な貸付額は2,887,500円となり、本件貸付額6,820,000円との差額3,932,500円は過大な貸付けとなっている。
(91) 神奈川県 金属加工基礎製品製造業者 せん断機及びプレス 5.11 19,770
(9,800)
19,770
(9,800)
4,900 重複融資
 この貸付けは、せん断機1台及びプレス1台の所要資金19,770,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたものであるが、借主はこの貸付けを受ける以前に本件貸付対象事業費19,770,000円を対象として中小企業金融公庫から長期資金19,000,000円を借り入れていた。

 しかして、本資金は、貸付対象設備の設置に要する資金の40%未満の貸付けは行っていないものであり、上記貸付対象事業費19,770,000円から同公庫からの借入額19,000,000円を控除した残額は770,000円となり貸付対象事業費の約4%にすぎないので、本件貸付けはその要はないものである。

(92)  同 特殊産業機械器具製造業者 プレス 55.11 14,500
(7,200)
14,500
(7,200)
3,600 重複融資
 この貸付けは、プレス1台の所要資金14,500,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、貸付対象事業費どおりの価格で設備が設置されていたとしているが、実際は、13,900,000円で設置し、借主はこの貸付けを受ける以前に本件貸付対象事業以外の附属部品費等を合わせ事業費総額15,000,000円を対象として中小企業金融公庫からその事業費の全額について長期資金を借り入れていた。したがって、本件貸付けはその要はないものである。
(93)  同 輸送用機械器具製造業者 プレス 56.4 14,500
(7,200)
14,500
(7,200)
3,600 貸付対象外
 この貸付けは、昭和55年度貸付事業で、プレス1台の所要資金14,500,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、貸付対象事業費どおりの価格で設備が設置され、56年4月に貸付金相当額が支払われていたとしているが、実際は、同価格で長期の割賦販売契約(55年10月から59年1月まで40回払い)により設置しており、貸付後1箇月までの支払額は2,900,000円であった。しかして、本資金は、貸付年度中又は貸付後1箇月までに貸付金相当額の支払を完了するものに対して貸し付けるものであるから、本件設備は貸付対象にならないものである。
(94)  同 クリーニング業者 ドライクリーニング装置ほか 55.12 15,940
(6,600)
15,210
(6,240)
3,120 貸付対象外
 この貸付けは、ドライクリーニング装置ほか6設備の所要資金16,522,816円(うち貸付対象事業費15,940,000円)の一部として貸し付けたもので、16,522,816円で設備が設置され、昭和55年11月に貸付金相当額が支払われていたとしているが、実際は、貸付対象設備のうち、ドライクリーニング装置ほか5設備15,792,816円(うち貸付対象事業費15,210,000円、貸付額6,240,000円)は18,039,216円(うち貸付対象事業費15,210,000円)で長期の割賦販売契約(55年11月から60年10月まで71回払い)により設置しており、貸付年度中の支払額は3,589,760(うち貸付対象事業費に係る支払額3,020,000円)であった。

 しかして、本資金は、貸付年度中又は貸付後1箇月までに貸付金相当額の支払を完了するものに対して貸し付けるものであるから、本件ドライクリーニング装置ほか5設備は貸付対象にならないものである。

(95) 福井県 縫製品製造業者 自動多頭式ジャガード刺しゅう機及びテープパンチング機 55.12 19,740
(8,900)
18,690
(8,375)
4,187 貸付対象外及び低額設置
 この貸付けは、自動多頭式ジャガード刺しゅう機3台及びテープパンチング機1台の所要資金19,740,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、貸付対象事業費どおりの価格で設備が設置されていたとしているが、実際は、自動多頭式ジャガード刺しゅう機(貸付対象事業費18,090,000円、貸付額8,150,000円)はリース契約により賃借していたもので、本資金は設備の取得に要する資金を貸し付けるものであるから、同設備は貸付対象とならないものであり、また、テープパンチング機(貸付対象事業費1,650,000円、貸付額750,000円)は貸付対象事業費より低額な1,050,000円で設置していたものであるから、貸付額のうち225,000円は過大な貸付けとなっている。

 したがって、貸付対象事業費に対する適切な貸付額はテープパンチング機に係る525,000円となり、本件貸付額8,900,000円との差額8,375,000円は過大な貸付けとなっている。

(96) 岐阜県 建設業者 掘削機 55.10 11,000
(5,500)
11,000
(5,500)
2,750 貸付対象外
 この貸付けは、掘削機1台の所要資金11,000,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、貸付年度に貸付対象事業費どおりの価格で設備が設置されていたとしているが、実際は、前年度に7,400,000円で設置していた。

 しかして、本資金は、貸付年度中に設置する設備に対して貸し付けるものであるから、本件設備は貸付対象にならないものである。

(97) 大阪府 鍛圧品製造業者 熱処理炉 55.10 18,770
(7,605)
18,770
(7,605)
3,802 重複融資
 この貸付けは、熱処理炉一式の所要資金18,770,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたものであるが、借主はこの貸付けを受ける以前に本件貸付対象事業以外の電気工事費等を合わせ事業費総額18,920,000円を対象として中小企業金融公庫からその事業費の全額について長期資金を借り入れていた。

 したがって、本件貸付けはその要はないものである。

(98) 兵庫県 電気機械器具製造業者 数値制御旋盤

57.3

22,800
(10,260)
22,800
(10,260)
5,130 重複融資
 この貸付けは、数値制御旋盤1台の所要資金22,800,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたものであるが、借主はこの貸付けを受ける以前に本件貸付対象事業費22,800,000円を対象として中小企業金融公庫から長期資金20,000,000円を借り入れていた。

 しかして、本資金は、貸付対象設備の設置に要する資金の40%未満の貸付けは行っていないものであり、上記貸付対象事業費22,800,000円から同公庫からの借入額20,000,000円を控除した残額は2,800,000円となり、貸付対象事業費の約12%にすぎないので、本件貸付けはその要はないものである。

(99) 和歌山県 鍛圧品製造業者 高圧受電設備,トラックスケール及び起重機 55.12 27,650
(12,000)
24,150
(10,424)
5,212 貸付対象外
 この貸付けは、高圧受電設備1基、トラックスケール1基及び起重機2基の所要資金27,650,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、貸付対象事業費どおりの価格で設備が設置されていたとしているが、実際は、貸付対象設備のうち、トラックスケール及び起重機(貸付対象事業費24,150,000円、貸付額10,424,000円)はリース契約により賃借していた。

 しかして、本資金は、設備の取得に要する資金を貸し付けるものであるから、本件トラックスケール及び起重機は貸付対象にならないものである。

(100)  同 小売業者 冷蔵ケースほか 56.5 20,269
(9,140)
10,617
(4,314)
2,157 低額設置
 この貸付けは、冷蔵ケースほか11設備の所要資金21,000,000円(うち貸付対象事業費20,269,000円)の一部として貸し付けたもので、21,000,000円で設備が設置されていたとしているが、実際は、この価格より低額な10,000,000円(うち貸付対象事業費9,651,905円)で設置していた。したがって、適切な貸付額は4,825,952円となり、本件貸付額9,140,000円との差額4,314,048円は過大な貸付けとなっている。
(101)  同 建設業者 掘削機、トラクタ及び圧縮機 56.12 17,300
(7,788)
5,200
(2,340)
1,170 貸付対象外
 この貸付けは、掘削機1台、トラクタ2台及び圧縮機2台の所要資金17,300,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、貸付年度に貸付対象事業費どおりの価格で設備が設置されていたとしているが、実際は、貸付対象設備のうち圧縮機1台(貸付対象事業費5,200,000円、貸付額2,340,000円)は前年度に3,000,000円で設置していた。

 しかして、本資金は、貸付年度中に設置する設備に対して貸し付けるものであるから、本件圧縮機1台は貸付対象にならないものである。

(102) 徳島県 県産業廃棄物処理業者 産業廃棄物貯留施設及び産業廃棄物処理装置 56.3 24,520
(12,000)
5,250
(2,365)
1,182 低額設置
 この貸付けは、産業廃棄物貯留施設2基及び産業廃棄物処理装置一式の所要資金24,520,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、貸付対象事業費どおりの価格で設備が設置されていたとしているが、実際は、貸付対象設備のうち産業廃棄物処理装置(貸付対象事業費12,300,000円)は貸付対象事業費より低額な7,050,000円で設置していた。

 したがって、貸付対象事業費は産業廃棄物貯留施設の分を含めて19,270,000円であり、適切な貸付額は9,635,000円となり、本件貸付額12,000,000円との差額2,365,000円は過大な貸付けとなっている。

(103) 鹿児島県 建設業者 掘削機 55.12 16,000
(8,000)
16,000
(8,000)
4,000 貸付対象外
 この貸付けは、掘削機1台の所要資金16,000,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、貸付年度に貸付対象事業費どおりの価格で設備が設置されていたとしているが、実際は、前年度に12,000,000円で設置していた。

 しかして、本資金は、貸付年度中に設置する設備に対して貸し付けるものであるから、本件設備は貸付対象にならないものである。

(104) 沖縄県 窯業者 自動成形機及び自動搬送機 55.12 16,938
(8,469)
9,938
(4,969)
2,484 低額設置
 この貸付けは、自動成形機1台及び自動搬送機1台の所要資金16,938,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、貸付対象事業費どおりの価格で設備が設置されていたとしているが、実際は、貸付対象事業費より低額な7,000,000円で設置していた。したがって、適切な貸付額は3,500,000円となり、本件貸付額8,469,000円との差額4,969,000円は過大な貸付けとなっている。
(105)  同 食料品製造業者 めん機及び自動包装機 55.12 28,290
(12,000)
28,290
(12,000)
6,000 貸付対象外
 この貸付けは、めん機一式及び自動包装機6台の所要資金28,290,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、貸付対象事業費どおりの価格で設備が設置されていたとしているが、実際は、貸付対象設備はリース契約により賃借していた。

 しかして、本資金は、設備の取得に要する資金を貸し付けるものであるから、本件設備は貸付対象にならないものである。

(106)  同 建設業者 掘削機 55.10 23,500
(11,750)
23,500
(11,750)
5,875 貸付対象外
 この貸付けは、掘削機2台の所要資金23,500,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、貸付年度に貸付対象事業費どおりの価格で設備が設置されていたとしているが、実際は、1台は前々年度に、他の1台は前年度に,総額20,500,000円で設置していた。

 しかして,本資金は,貸付年度中に設置する設備に対して貸し付けるものであるから,本件設備は貸付対象にならないものである。

(107)  同 建設業者 掘削機 56.4 13,000
(6,500)
13,000
(6,500)
3,250 不設置
 この貸付けは,掘削機1台の所要資金13,000,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので,貸付対象事業費どおりの価格で設備が設置されていたとしているが,実際は,設置していなかった。

 したがって,本件貸付けはその要はないものである。

410,642
(193,708)
330,615
(154,483)
77,241