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  • 昭和56年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第6 運輸省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

航空保安施設等における自家発電設備工事の据付費の積算について


航空保安施設等における自家発電設備工事の据付費の積算について

 運輸省では、航空保安施設等において電力会社からの送電が停止した場合などに使用する自家用電源等として発動発電機等の機器(以下「自家発電設備」という。)を新設又は更新する工事を施行しているが、本省航空局並びに東京及び大阪航空局が、昭和56年度中に施行している箱根ARSR250KVA発動発電機据付工事ほか14工事(工事費総額2億0295万円)について検査したところ、次のとおり、自家発電設備の据付費の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。

 すなわち、上記の15工事は自家発電設備の据付け、試験調整等の工事を施行するものであるが、このうち据付費の積算についてみると、本省航空局制定の「自家発電設備工事積算指針」(昭和55年制定)に基づき、本件据付作業のうち、約9割は専門的技術を必要とする作業であるとして発動発電機等の製作会社から派遣される据付工(以下「派遣据付工」という。)が行い、残りの約1割は現地雇用の一般の据付工(以下「一般据付工」という。)が行うものとし、それぞれの作業工数に所定の労務単価を乗じて直接労務費を算定し、これに、派遣据付工については、派遣元の製作会社工事部門等を管理運営するために要する経費として直接労務費の170%相当額の据付工間接費を加算するなどして、合計3539万余円と積算していた。

 しかし、本件据付作業は、機器輸送後の損傷の有無の確認、据付基礎面へのアンカーボルトの打ち込みや機器の据付けなどを行う簡易な作業であり、専門的技術を必要とするものではなく、また、据え付けた機器の試験調整については別途積算しているのであるから、据付作業は、殊更派遣据付工に行わせることとするまでもなくこれに代えて一般据付工が行うこととしても特段支障はないと認められる。現に、本件各工事の据付作業において、製作会社からは据付工は全ぐ派遣されておらず斗般据付工により実施されている状況であった。

したがって、本件据付工事についてその据付作業を一般据付工が行ろこととして据付費を積算したとすれば、積算額を約2000万円程度低減できたと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、運輸省では、57年8月に自家発電設備工事積算指針に関する暫定的な運用方針を定め、自家発電設備工事における据付費は派遣据付工に代え一般据付工で積算することに改め、同月以降契約を締結する工事から適用することとする処置を講じた。