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  • 昭和56年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
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地方交付税(普通交付税)交付金の交付が不当と認められるもの


(169) 地方交付税(普通交付税)交付金の交付が不当と認められるもの

会計名及び科目 交付税及び譲与税配付金特別会計 (項)地方交付税交付金
部局等の名称 大阪府
交付の根拠 地方交付税法(昭和25年法律第211号)
交付先 大阪府羽曳野市
交付額 昭和49年度 1,925,526,000円
昭和50年度 1,927,004,000円
昭和51年度 2,099,182,000円
昭和52年度 2,252,659,000円

 羽曳野市が提出した地方交付税(普通交付税)交付金(以下「交付税」という。)の額の算定に用いる資料等に事実と相違した記載があったのに、これに対する大阪府の審査及び検査が十分でなかったため、交付税が過大に交付されていたものが昭和49年度から52年度までの間に計198,813,000円あり、不当と認められる。

(説明)

 普通交付税は、地方交付税法及び普通交付税に関する省令(昭和37年自治省令第17号)の規定に基づき、都道府県知事が市町村長から資料等の提出を受け、それを基に基準財政需要額(注1) 及び基準財政収入額(注2) を算定し、基準財政需要額が基準財政収入額を超える場合にその差額の財源不足額を基として交付されるものであるが、羽曳野市(以下「市」という。)が大阪府(以下「府」という。)に提出した交付税の額の算定に用いる資料について検査したところ、次のように、市民税(所得割)及び固定資産税(土地、家屋)の基準税額の算定が誤っていて、基準財政収入額が過少に算定されている事態が見受けられた。

1 市民税(所得割)の基準税額について

 市町村民税(所得割額をいう。以下同じ。)の基準税額(注3) は、市町村が作成する前年度7月1日現在の市町村税課税状況等の調(以下「課税状況調」という。)を基に都道府県が算定するものであるが、市では各年5月下旬に電子計算機で出力した数値に基づく市民税49年度1,316,161,000円、50年度1,391,947,000円、51年度1,603,672,000円を課税状況調に計上し、府はこれに基づき50年度から52年度までの基準税額を計3,457,447,000円と算定していた。

 しかるに、市が市財務規則による調定伝票とは別に保有していた裏帳簿によると、7月1日現在の実際の市民税額は49年度1,395,132,000円、50年度1,428,697,000円、51年度1,612,881,000円であるのに、府において、課税状況調の審査並びに52年及び54年に実施した交付税検査が十分でなかったため、この事実を看過し、基準税額を過少に算定していて、適切とは認められない。

 しかして、51年度以前の市民税に関する課税台帳等は既に廃棄されていて正しい基準税額の算定は不可能となっているが、仮に各年度7月1日現在の実際の税額に交付税算定に用いた各年度の課税状況調の所得割額に対する基準税額の割合を乗じて基準税額を修正計算すると、50年度から52年度までの正当と認められる基準税額は3,557,324,000円となり、上記基準税額3,457,447,000円はこれに比べて99,877,000円過少に算定されていたこととなる。

2 固定資産税(土地、家屋)の基準税額について

 固定資産税(土地)の基準税額は土地課税標準額を基礎とし、固定資産税(家屋)の基準税額は家屋の指示平均価額(注4) に家屋の床面積を乗じて得た額を基礎としてそれぞれ算定するもので、土地課税標準額及び家屋の床面積は、市町村が地方税法(昭和25年法律第226号)の定めるところにより作成する土地概要調書及び家屋概要調書に記載されており、家屋の指示平均価額は前年度の家屋概要調書等の数値を基として自治大臣又は都道府県知事が定めるものである。そして、市町村はこれらの数値を交付税の額の算定に用いる資料に記載することになっている。

 しかして、市では、土地課税標準額及び家屋の床面積等については、49年度から概要調書作成のための基礎資料を電子計算機により出力していたが、この出力数値と前年度概要調書の数値との間に大きな隔たりが見られたので、前年度概要調書の数値を適宜増減して、事実と相違した各年度の概要調書を作成していたばかりでなく、交付税の額の算定に用いる資料にその数値又はこれを更に下回る数値を記載していて、府が52年及び53年に実施した交付税特別検査によって、一部について地方交付税法第19条第1項の規定に基づく措置(以下「是正措置」という。)が執られたものの、なお次のとおり基準税額が過少に算定されていた。

(1)

 49年度の固定資産税(土地)の基準税額については、上記の府の特別検査で土地概要調書の誤った土地課税標準額に基づいて算定した基準税額と交付税算定の基準税額との差額について是正措置が執られたにすぎず、府の特別検査は、なお不十分であったと認められる。

しかして、49年度の土地課税標準額については、関係書類の一部が既に廃棄されているため、正しい額の算定が不可能となっているが、仮に市が別途把握していた実際の税額から逆算した土地課税標準額により49年度の固定資産税(土地)の基準税額を修正計算すると、府の修正した基準税額はこれに比べて54,362,000円過少に算定されていたこととなる。

(2)

 51、52両年度の固定資産税(家屋)の基準税額については、前記の府の特別検査で、決算後の課税実績による床面積に指示平均価額を乗ずるなどして算定した基準税額と交付税算定の基準税額との差額について是正措置が執られているが、この指示平均価額には、前記のように事実と相違した家屋概要調書を基にして算定したものをそのまま用いており、府の特別検査は、なお不十分であったと認められる。

いま、仮に電子計算機で出力した前記の基礎資料の数値に基づいて算定した平均価額を指示平均価額として用いるなどして固定資産税(家屋)の基準税額を修正計算すると、府の修正した基準税額は両年度分で44,574,000円過少に算定されていたこととなる。

 以上1、2のとおり、市が49年度から52年度までの間に交付税の額の算定に用いる資料等に事実と相違した記載をし、府はこれについて十分な審査を行わないまま基準税額を算定したため基準財政収入額の算定が過少となり、その後実施した府の交付税検査も十分でなかった結果、交付税計198,813,000円(49年度54,362,000円、50年度63,704,000円、51年度51,151,000円、52年度29,596,000円)が過大に交付されていて不当と認められる。

(注1) 基準財政需要額 各地方団体の財政需要を合理的に測定するために、測定単位の数値を補正し、これを測定単位ごとの単位費用に乗じて得た額を地方団体について合算した額をいう。
(注2) 基準財政収入額 各地方団体の財政力を合理的に測定するために、市町村にあっては普通税等の基準税額を合算した額をいう。
(注3) 基準税額 基準税率100分の75等をもって算定した収入見込額をいう。
(注4) 家屋の指示平均価額 固定資産評価基準に基づき、自治大臣又は都道府県知事が定めた市町村ごとの木造、非木造別の家屋の平均価額をいう。その額は前年度の家屋概要調書に記載されている家屋の床面積等を基礎とし、これに調整を加えて作成する総評価見込額を総見込床面積で除して算出した額を基にして定められるものである。