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  • 昭和57年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第5 文部省|
  • 不当事項|
  • 補助金

補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの


(14)−(22) 補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)文部本省 (項)養護学校教育費国庫負担金
(項)体育振興費(項)体育施設整備費
(項)公立文教施設整備費
(項)公立文教施設災害復旧費
(組織)文化庁 (項)文化財保存事業費
部局等の名称 埼玉、長野、岐阜、兵庫、愛媛、宮崎各県
補助の根拠 義務教育諸学校施設費国庫負担法(昭和33年法律第81号)等
事業主体 県1、市2、町3、計6事業主体
補助事業 上里町立上里北中学校校舎新築等9事業
上記に対する国庫補助金交付額の合計 4,855,243,381円

 上記の9補助事業において、補助の対象とは認められないものを事業費に含めていたり、事業の一部を実施していなかったり、契約の処置が適切を欠いていたりなどしていて、国庫補助金52,088,928円が不当と認められる。これを県別に掲げると次表のとおりである。

県名 補助事業 事業主体 補助対象事業費 左に対する国庫補助金 不当と認めた事業費 不当と認めた国庫補助金

摘要


(14)

埼玉県

上里北中学校校舎新築

児玉郡上里町
千円
483,176
千円
322,117
千円
1,787
千円
1,191

契約処置不適切
 この事業は、昭和57年度補助事業として、上里北中学校の校舎4,352m2 (うち補助対象面積3,758m2 )を新築したもので、補助対象外のものを含めて中学校新築工事、同浄化槽設備工事及び同地質調査委託業務を3業者に計575,400,000円(うち補助対象事業分483,176,000円)で請け負わせ施行していた。
 しかして、上記工事のうち、中学校新築工事の契約を指名競争に付するに当たり、予定価格は552,000,000円、最低制限価格は予定価格の99.9%に当たる551,300,000円と設定し、10業者を指名して入札を行ったところ、そのうちの7業者の入札価格は最低制限価格を下回る541,000,000円(予定価格の98.0%)から550,000,000円までであったので、これらの入札者を失格として排除し、予定価格と最低制限価格の範囲内の551,400,000円(予定価格の99.9%)で入札した業者を落札者と定め契約していた。
 しかし、本件契約は、上記のとおり指名競争入札によっており、事業主体では、資力、信用、能力等を審査のうえ、契約の内容に適合した履行を十分に期待できる業者を選定して入札に参加させているにもかかわらず、予定価格に対して99.9%という異常に高率な最低制限価格を設定したため、契約の適正な履行が確保できると認められる価格で入札した7業者を排除することとなり、競争契約における競争の利益を著しく阻害し、その結果、最低価格で入札した業者と契約したとした場合に比べて10,400,000円(これに対する補助対象事業費1,787,000円、国庫補助金相当額1,191,000円)割高な契約を締結することとなったのは適切とは認められない。
(15)
(16)
(17)
(18)
長野県 国宝重要文化財等保存整備ほか3件 上伊那郡箕輪町 11,007 5,609 4,389 2,221 事業の一部不実施ほか
(長野県上伊那郡箕輪町の項)
(19) 岐阜県 滝呂小学校校舎増築 多治見市 192,565 128,376 48,333 32,222 補助の対象外
 この事業は、昭和55年度補助事業(56年度に一部繰越し)として、校舎を増築したもので、同小学校の58年4月の予定学級数18学級に応ずる校舎の必要面積4,095m2 から保有面積2,589m2 を差し引いた1,506m2 を補助対象とし、これに1m2 当たりの補助単価126,600円を乗じて算出した額を補助対象事業費としていた。
 しかして、上記の18学級は、55年5月1日現在の1年から3年までの在籍児童数に同日現在の住民台帳に基づく56年度から58年度までの入学予定児童数を加え、これらに集団住宅260戸の建設に伴い増加が予測される各学年ごとの児童数20人をそれぞれ加えて算定していたが、集団住宅戸数に誤りがあり、その建設に伴う各学年ごとの増加予測児童数は4人であり、これによれば予定学級数は14学級となる。
 しかし、58年5月1日現在の学級数は、同小学校への転入児童の増加により16学級となっているので、これを考慮し、16学級に応ずる校舎の必要面積3,717m2 に基づいて補助対象面積を算定すると1,128m2 となり、過大な面積378m2 に対する事業費相当額は補助の対象から除外すべきであると認められる。
(20) 兵庫県 鴻池小学校校舎増築 伊丹市 8,023 5,348 8,023 5,348 補助の対象外
 この事業は、昭和57年度補助事業として、校舎を増築したもので、同小学校の58年4月の予定学級数21学級に応ずる校舎の必要面積4,624m2 から保有面積4,564m2 を差し引いた60m2 を補助対象とし、これに1m2 当たりの補助単価132,400円を乗じて算出した額を補助対象事業費としていた。
 しかして、上記の21学級は、57年5月1日現在の同小学校の1年から5年までの在籍児童数に同日現在の住民台帳に基づく58年度の入学予定児童数136人を加えて算定していたが、この入学予定児童数には、隣接する小学校の入学予定児童数11人を含めており、正しい入学予定児童数は125人となるので、これによれば予定学級数は20学級となる。
 したがって、上記20学級に応ずる校舎の必要面積4,453m2 に対し保有面積はこれを上回る4,564m2 であるから、本件事業は補助の対象にならないものである。
(21) 愛媛県 宮内小学校校舎増築 伊予郡砥部町 137,233 91,488 6,587 4,391 補助の対象外
 この事業は、昭和56年度補助事業として、校舎を増築したもので、同小学校の59年4月の予定学級数21学級に応ずる校舎の必要面積4,621m2 から保有面積3,089m2 を差し引いた1,532m2 うち1,250m2 を補助対象とし、これに1m2 当たりの補助単価108,700円を乗じて算出した額を補助対象事業費としていた。
 しかして、上記の21学級は、56年5月1日現在の1年から3年までの在籍児童数に同日現在の住民台帳に基づく57年度から59年度までの入学予定児童数を加え、これらに集団住宅等468戸の建設に伴い増加が予測される各学年ごとの児童数35人(1学年のみ36人)を加えて算定していたが、この住宅建設戸数のうちには、既に建設入居済みのものを含めるなど誤りがあり、これを除外して算定すると、その建設に伴う各学年ごとの増加予測児童数は23人であり、これによれば予定学級数は19学級となる。
 したがって、補助対象面積は、この19学級に応ずる校舎の必要面積4,279m2 から保有面積3,089m2 を差し引いた1,190m2 となり、過大な面積60m2 に対する事業費相当額は補助の対象から除外すべきであると認められる。
(22) 宮崎県 公立養護学校教育費(教職員給与費等)の負担 宮崎県 8,604,610 4,302,305 13,431 6,715 補助の対象外
 この国庫負担金は、公立養護学校整備特別措置法(昭和31年法律第152号)に基づき、都道府県が負担した公立養護学校の小学部及び中学部に係る教職員給与費等について、その実支出額の2分の1を国が負担するもので、事業主体は、昭和52年度から56年度までに国庫負担金4,302,305,381円(52年度456,245,872円、53年度746,041,742円、54年度944,739,502円、55年度1,027,810,327円、56年度1,127,467,938円)の交付を受けていた。
 しかし、上記国庫負担の対象としていた教職員給与費等のうち退職年金13,431,856円は、公立高等学校の教職員に係る退職年金であるから国庫負担の対象とは認められないものであり、これに係る国庫負担金6,715,928円(52年度1,361,433円、53年度1,692,595円、54年度1,480,325円、55年度1,056,837円、56年度1,124,738円)は交付する要はなかったものである。
9,436,614 4,855,243 82,550 52,088