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  • 昭和57年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
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  • 補助金

中小企業設備近代化資金の貸付けが不当と認められるもの


(70)−(86) 中小企業設備近代化資金の貸付けが不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)中小企業庁 (項)中小企業対策費
部局等の名称 札幌、東京、名古屋、大阪、広島、福岡各通商産業局、沖縄総合事務局
助成の根拠 中小企業近代化資金等助成法(昭和31年法律第115号)
事業主体 北海道ほか9府県
事業の内容 中小企業者に無利子で貸し付ける設備近代化資金の貸付け
貸付先 17中小企業者
貸付額の合計 167,123,000円(国庫補助金相当額83,561,500円)

 上記の17中小企業者に対する167,123,000円の貸付けにおいて、99,152,034円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額49,576,017円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。これを道府県別に掲げると別表 のとおりである。

(説明)
 この事業は、都道府県が国の補助金と自己資金等によって資金を造成し、設備の近代化に必要な資金の調達が困難な中小企業者に対して、必要と認めた資金の一部を無利子で貸し付ける事業であり、その貸付けに当たっては次のような条件により貸付けを行うこととしている。すなわち、貸付対象設備は貸付年度中に設置すること、設備設置代金の支払期限は都道府県からの貸付金相当額について貸付年度中に、翌年の3月以降翌年度の5月までに貸し付けた場合は貸付後1箇月以内に支払うこととし、貸付割合は貸付対象事業費の40%から50%までの範囲内、貸付限度額は20万円から1500万円(昭和56年度は1200万円)とするほか、償還期間は5年以内としている。
 しかして、昭和56、57両年度に実施した事業の一部について調査したところ、上記の17中小企業者に対する167,123,000円の貸付けにおいて、借主が設備を、貸付対象事業費より低額で設置したり、既往年度に設置したりしていたなどのため、99,152,034円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額49,576,017円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。

(別表)

道府県名 貸付先 貸付対象 貸付
昭和年月
貸付対象事業費
(同上に対する貸付額)
貸付対象として適切でない事業費
(同上に対する貸付金相当額)
補助の目的に沿わない結果になった国庫補助金相当額 摘要

(70)

北海道

建設業者

掘削機

58.3
千円
14,500
(7,250)
千円
14,500
(7,250)
千円
3.625

貸付対象外
 この貸付けは、掘削機1台の所要資金14,500,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの価格で設備を設置し、その代金のうち貸付金相当額を昭和58年3月に支払ったとしているが、実際は、8,150,000円で設置しており、支払ったとしていた貸付金相当額のうち4,250,000円は購入先から割戻しを受けるなどし、貸付後1箇月までの支払額は3,150,000円であった。
 したがって、本件設備は貸付対象にならないものである。
(71) 千葉県 窯業者 バッチャープラント 56.10 20,240
(10,120)
9,410
(4,705)
2,352 低額設置
 この貸付けは、バッチャープラント一式の所要資金26,000,000円(うち貸付対象事業費20,240,000円)の一部として貸し付けたもので、借主は26,000,000円で設備を設置したとしているが、実際は、この価格より低額な18,000,000円(うち貸付対象事業費10,830,000円)で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は5,415,000円となり、本件貸付額10,120,000円との差額4,705,000円は過大な貸付けとなっている。
(72) 千葉県 メリヤス製造業者 丸編みくつ下編立機 56.11 26,000
(12,000)
26,000
(12,000)
6,000 重複融資
 この貸付けは、丸編みくつ下編立機10台の所要資金26,000,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたものであるが、借主はこの貸付けを受ける以前に本件貸付対象を事業費26,000,000円として中小企業金融公庫から長期資金18,000,000円を借り入れていたので、残る所要の資金額は8,000,000円となり、貸付対象事業費の40%に満たないものである。
 したがって、本件貸付けはその要はないものである。
(73) 神奈川県 鍛圧品製造業者 プレス 56.8 24,500
(12,000)
4,500
(2,000)
1,000 低額設置
 この貸付けは、プレス1台の所要資金24,500,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの価格で設備を設置したとしているが、実際は、貸付対象事業費より低額な20,000,000円で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は10,000,000円となり、本件貸付額12,000,000円との差額2,000,000円は過大な貸付けとなっている。
(74)  同 食料品製造業者 自動連続製造機ほか3 56.7 16,100
(8,000)
16,100
(8,000)
4,000 貸付対象外
 この貸付けは、自動連続製造機ほか3設備の所要資金16,100,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの価格で設備を設置し、その代金のうち貸付金相当額を昭和56年7月に支払ったとしているが、実際は、8,500,000円で設置しており、貸付年度中の支払いはなかった。
 したがって、本件設備は貸付対象にならないものである。
(75) 山梨県 可そ物製品製造業者 成型機 56.7 22,000
(11,000)
14,000
(7,000)
3,500 貸付対象外
 この貸付けは、成型機2台の所要資金22,000,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、借主は貸付年度に貸付対象事業費どおりの価格で設備を設置したとしているが、実際は、うち1台(貸付対象事業費14,000,000円、貸付額7,000,000円)は前年度に14,200,000円で設置していた。
 したがって、本件成型機1台については貸付対象にならないものである。
(76) 山梨県 製材業者 送材装置及び圧縮機 56.7 21,704
(10,800)
5,420
(2,658)
1,329 低額設置
 この貸付けは、送材装置一式及び圧縮機1台の所要資金22,000,000円(うち貸付対象事業費21,704,594円)の一部として貸し付けたもので、借主は22,000,000円で設備を設置したとしているが、実際は、この価格より低額な16,500,000円(うち貸付対象事業費16,283,932円)で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は8,141,966円となり、本件貸付額10,800,000円との差額2,658,034円は過大な貸付けとなっている。
(77)  同 製材業者 帯鋸盤、送材装置及び圧縮機 56.12 24,000
(11,580)
6,300
(2,730)
1,365 低額設置
 この貸付けは、帯鋸盤1台、送材装置一式及び圧縮機1台の所要資金24,000,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの価格で設備を設置したとしているが、実際は、貸付対象事業費より低額な17,700,000円で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は8,850,000円となり、本件貸付額11,580,000円との差額2,730,000円は過大な貸付けとなっている。
(78)  同 建設業者 掘削機 56.12 17,500
(8,290)
7,600
(3,340)
1,670 低額設置
 この貸付けは、掘削機1台の所要資金17,500,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの価格で設備を設置したとしているが、実際は、貸付対象事業費より低額な9,900,000円で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は4,950,000円となり、本件貸付額8,290,000円との差額3,340,000円は過大な貸付けとなっている。
(79) 長野県 食料品製造業者 切断機及び自動包装機 56.7 23,337
(11,400)
10,887
(5,175)
2,587 低額設置
 この貸付けは、切断機1台及び自動包装機1台の所要資金23,337,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの価格で設備を設置したとしているが、実際は、貸付対象事業費より低額な12,450,000円で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は6,225,000円となり、本件貸付額11,400,000円との差額5,175,000円は過大な貸付けとなっている。
(80) 三重県 紙及び紙加工品製造業者 故紙プレス機 56.8 23,370
(11,210)
23,370
(11,210)
5,605 重複融資
 この貸付けは、故紙プレス機1台の所要資金24,000,000円(うち貸付対象事業費23,370,000円)の一部として貸し付けたものであるが、借主はこの貸付けを受ける以前に本件貸付対象事業以外の基礎工事費等を合わせ事業費総額30,349,000円を対象として中小企業金融公庫から長期資金30,000,000円を借り入れていたので、残る所要の資金額は349,000円となり、貸付対象事業費の40%に満たないものである。
 したがって、本件貸付けはその要はないものである。
(81) 大阪府 鍛圧品製造業者 プレス 57.1 19,103
(8,787)
8,203
(3,337)
1,668 低額設置
 この貸付けは、プレス1台の所要資金19,660,000円(うち貸付対象事業費19,103,000円)の一部として貸し付けたもので、借主は19,660,000円で設備を設置したとしているが、実際は、この価格より低額な10,900,000円(貸付対象事業費同額)で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は5,450,000円となり、本件貸付額8,787,000円との差額3,337,000円は過大な貸付けとなっている。
(82)  同 輸送用機械器具製造業者 塗装ブース 57.3 10,680
(5,126)
4,802
(2,187)
1,093 低額設置
 この貸付けは、塗装ブース一式の所要資金11,228,000円(うち貸付対象事業費10,680,000)の一部として貸し付けたもので、借主は11,228,000円で設備を設置したとしているが、実際は、この価格より低額な5,968,000円(うち貸付対象事業費5,878,000円)で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は2,939,000円となり、本件貸付額5,126,000円との差額2,187,000円は過大な貸付けとなっている。
(83) 広島県 織物製造業者 整経機 56.7 24,000
(11,520)
6,000
(2,520)
1,260 低額設置
 この貸付けは、整経機1台の所要資金24,000,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの価格で設備を設置したとしているが、実際は、貸付対象事業費より低額な18,000,000円で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は9,000,000円となり、本件貸付額11,520,000円との差額は2,520,000円は過大な貸付けとなっている。
(84) 大分県 印刷業者 印刷機 56.9 24,500
(11,040)
24,500
(11,040)
5,520 貸付対象額
 この貸付けは、印刷機1台の所要資金24,500,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの価格で設備を設置したとしているが、実際は、前々年度に20,500,000円で設置していた。
 したがって、本件設備は貸付対象にならないものである。
(85) 沖縄県 建設業者 掘削機及びトラクタ 56.9 22,000
(11,000)
16,000
(8,000)
4,000 貸付対象外
 この貸付けは、掘削機1台及びトラクター1台分の所要資金22,000,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、借主は貸付年度に貸付対象事業どおりの価格で設備を設置したとしているが、実際は、貸付対象設備のうち掘削機(貸付対象事業費16,000,000円、貸付額8,000,000円)は前年度に12,647,665円で設置していた。
 したがって、本件掘削機については貸付対象にならないものである。
(86)  同 建設業者 掘削機 57.5 12,000
(6,000)
12,000
(6,000)
3,000 貸付対象外
 この貸付けは、昭和56年度貸付事業で、堀削機1台の所要資金12,000,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業どおりの価格で設備を設置し、その代金のうち貸付金相当額を57年5月に支払ったとしているが、実際は9,854,250円で長期の割賦販売契約(57年3月から59年10月まで31回払い)により設置しており、貸付後1箇月までの支払額は2,504,250円であった。
 したがって、本件設備は貸付対象にはならないものである。
345,534
(167,123)
209,592
(99,152)
49,576