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  • 昭和57年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第2 日本国有鉄道|
  • 不当事項|
  • 工事

貨物設備改良工事の施行に当たり、貨物輸送合理化計画を考慮Cなかったため、工事費が不経済と認められるもの


(157) 貨物設備改良工事の施行に当たり、貨物輸送合理化計画を考慮しなかったため、工事費が不経済と認められるもの

科目 (工事勘定) (項)一般施設取替改良費
部局等の名称 熊本鉄道管理局
工事名 肥後大津駅貨物設備改良その1工事ほか12工事
工事の概要 肥後大津駅の貨物積卸施設の拡幅等を施行する工事
工事費 請負工事費 36,936,456円 (当初契約額36,789,336円)
支給材料費等  7,273,488円
44,209,944円
請負人 株式会社大藪組ほか7会社
契約 昭和57年9月〜58年2月 指名競争契約又は随意契約 13件
工期 昭和57年9月〜58年2月
支払 昭和57年10月〜58年4月 13回

 これらの工事は、貨物積卸施設の拡幅等の工事の施行に当たって、貨物駅の集約を内容とする貨物輸送合理化計画を考慮しないで施行したため、工事費約4420万円が不経済になったと認められる。

(説明)

 本件各工事は、豊肥本線肥後大津駅の貨物積卸施設の高床ホーム288m2 及び貨物上屋356.6m2 を撤去するとともに、積卸場1,575m2 を舗装し、軌道127.9m及び貨物上屋128m2 の新設等を行ったものである。
 しかして、これらの工事は、昭和53年当時、熊本鉄道管理局が、豊肥本線宮地駅の貨物取扱業務を近接の肥後大津駅に集約する計画を立て、肥後大津駅の貨物取扱設備を改良することとしたが、地元との折衝が難航し、改良工事の発注を見合わせていたところ、57年6月に地元の同意が得られ、同年9月に施行したものである。

 しかしながら、本社は貨物輸送について59年2月に大幅な合理化を行うこととしていて、本件工事を発注する以前の57年2月から3月にかけて各鉄道管理局等に対し、貨物取扱駅を取扱数量の多い500駅程度に集約することとした本社案を示しており、同案によると、豊肥本線では、竜田口駅を除いて、貨物取扱数量が減少してきていることから肥後大津駅等の貨物取扱業務を廃止することとしており、このような大幅な合理化施策を背景として、本社は57年4月に開催した会議(57年度予算の実行計画会議)等において、各鉄道管理局等が計画していた貨物取扱設備の改良工事等については特に取扱数量の多い拠点となる駅を除いて抑制するよう指示しており、他鉄道管理局等では、この指示に基づいて貨物取扱業務を廃止することになる駅に対する貨物の設備投資は差し控えているところである。
 したがって、貨物取扱駅の集約過程において宮地駅の貨物取扱業務を肥後大津駅に集約しても、その取扱数量は年間5万t程度であって、従前の設備でも十分その取扱いが可能であったと認められるのに、このような不要な設備投資を行ったのは、適切な処置とは認められず、この結果、工事費約4420万円が不経済になったと認められる。