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  • 昭和58年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
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  • 役務

特定通信回線の規格等の変更に当たり、別途に回線の使用契約を締結ずる方法によったため、設備料等が不経済に支払われていたもの


(63) 特定通信回線の規格等の変更に当たり、別途に回線の使用契約を締結ずる方法によったため、設備料等が不経済に支払われていたもの

会計名及び科目 郵政事業特別会計 (項)業務費
部局等の名称 近畿郵政局
契約名 特定通信回線使用契約
契約の概要 大阪貯金事務センターに設置した電子計算機と124郵便局に設置した端末機器とを結ぶ特定通信回線の使用
契約の相手方 日本電信電話公社
契約 昭和55年9月〜59年3月
支払 昭和55年10月〜59月3月 84回
設備料等 22,858,500円
内訳 55年度分 2,485,500円
56年度分 6,631,500円
57年度分 6,987,000円
58年度分 6,754,500円

 上記の特定通信回線の規格等の変更に当たり、既設回線の使用契約を変更する方法によらず、別途に使用契約を締結した後、既設回線の使用契約を解除する方法によったため、設備料等の支払額約1470万円が不経済になったと認められる。

(説明)

 郵政省では、為替貯金業務の電子計算機によるオンライン化を進め利用者へのサービスを図ることとして、昭和53年8月から逐次、全国9箇所の貯金事務センターに電子計算機を設置するとともに、各郵便局に為替貯金窓口端末機(郵便局窓口において職員が操作する機器)、郵便貯金自動預払機及び郵便貯金自動支払機(いずれも利用者が操作する機器。仕様は1,200ビット/秒(注) 回線用)の端末機器を設置し、貯金事務センター、郵便局間の通信回線は日本電信電話公社(以下「公社」という。)の特定通信回線(データ通信専用の回線)を使用する契約を公社と締結しオンラインサービスを実施している。そして、サービス開始後においても利用者へのサービス向上のため端末機器を増設することが多く行われ、これに伴い、既設回線の規格等の変更が各郵政局において進められている。

 近畿郵政局においても、大阪貯金事務センターの電子計算機と同郵政局管内の郵便局に設置した端末機器とを結びオンラインサービスを54年7月から開始しているが、サービス開始後の55年度から58年度までの間に端末機器を増設した124郵便局について、既設回線の規格等の変更を実施している。

 しかして、同郵政局が実施した上記124郵便局に係る特定通信回線の規格等の変更は次のとおりとなっている。

 すなわち、特定通信回線の規格、使用方法については、郵政省貯金局が定めた為替貯金業務総合機械化システム基本設計によれば、為替貯金窓口端末機だけを設置する郵便局の200ビット/秒回線については分岐数は2、端末機器数は3台まで、1,200ビット/秒回線については分岐数は5、端末機器数は8台(58年7月以降は10台)までとし、市内回線の場合はいずれも分岐使用しないことにしているので、新たに、200ビット/秒回線を使用している郵便局に郵便貯金自動預払機又は郵便貯金自動支払機を設置するに当たって、回線の規格を1,200ビット/秒に変更する場合や、1,200ビット/秒回線を分岐使用している郵便局に端末機器を増設するに当たって、接続する端末機器の数が上記の限度を超過する場合は、接続する端末機器数に余裕のある近隣の1,200ビット/秒回線から分岐使用したり、新たに別ルートの1,200ビット/秒回線を架設したりしている。そして、これらの方法による公社との特定通信回線の使用契約については、まず、1,200ビット/秒の回線を別途に架設する使用契約を締結し、その後当該郵便局に係る既設の回線の使用契約を解除している。

 このような契約を行ったことにより、同郵政局が負担することになった設備料等については、公社のデータ通信利用規程(昭和46年日本電信電話公社公示第62号)により、設備料としては、近隣の回線から分岐使用する場合は郵便局側だけで、また、新たに別ルートの回線を架設する場合は貯金事務センター側及び郵便局側のそれぞれで、引込線1回線当たり110,000円を、また、変復調装置の取付料としては、同様に、郵便局側だけ又は貯金事務センター側、郵便局側のそれぞれで装置1個当たり8,000円又は8,500円を要することとなり、その支払額は55年10月から59年3月までの間に計22,858,500円となっている。

 しかしながら、上記のデータ通信利用規程によれば、回線の規格等を変更する場合には、上記の方法とは別に既設の回線の使用契約変更という方法があり、これによれば既設の引込線等の設備及び変復調装置を変更後の回線に利用することができるので、設備料については、200ビット/秒の市内回線を1,200ビット/秒回線に変更する場合に限り、引込線等の工事を行う必要があるため貯金事務センター側、郵便局側それぞれで設備料30,000円を要するが、200ビット/秒及び1,200ビット/秒の市外回線を前記のように近隣の1,200ビット/秒回線から分岐使用したり、別ルートの1,200ビット/秒回線に変更したりする場合には、郵便局側では現に使用している引込線等の設備をそのまま使用できるので設備料を支払う要はなく、また、変復調装置の取付料についても、既に1,200ビット/秒回線を使用している郵便局では、変更後も既設の変復調装置をそのまま使用できるのでこれを支払う要はないものである。

 したがって、本件特定通信回線の規格等の変更に当たっては、既設の回線の使用契約を解除しないで変更する方法によるべきであったと認められる。

 現に、他の地方郵政局では、本件と同様の事態についていずれも既設の回線の使用契約を変更する方法により実施している状況である。

 いま、仮に前記124郵便局で、特定通信回線の規格等を変更するに当たり、上記の方法によったとすれば、設備料等の支払額は総額8,082,000円となり、本件支払額22,858,500円は約1470万円が不経済になっていると認められる。

(注)  ビット/秒 情報伝送速度の単位。1秒間に伝送することができる情報量を表す。