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  • 昭和59年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
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  • 補助金

中小企業設備近代化資金の貸付けが不当と認められるもの


(60)-(74) 中小企業設備近代化資金の貸付けが不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)中小企業庁 (項)中小企業対策費
部局等の名称 仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡各通商産業局
助成の根拠 中小企業近代化資金等助成法(昭和31年法律第115号)
事業主体 秋田県ほか9県
事業の内容 中小企業者に無利子で貸し付ける設備近代化資金の貸付け
貸付先 15中小企業者
貸付額の合計 147,170,000円(国庫補助金相当額73,585,000円)

 上記の15中小企業者に対する147,170,000円の貸付けにおいて、97,504,758円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額48,752,379円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。これを県別に掲げると別表 のとおりである。

(説明)
 この事業は、都道府県が、国の補助金と自己資金等によって資金を造成し、設備の近代化に必要な資金の調達が困難な中小企業者に対して、必要と認めた資金の額の2分の1以内を無利子で貸し付ける事業で、その貸付限度額は原則として20万円以上1500万円以下、償還期間は5年以内となっている。そして、貸付けに当たっては、貸付対象設備は貸付年度中に設置すること、設備設置代金のうち貸付金相当額については貸付年度中(ただし、年度末の3月から翌年度の5月までに資金を交付した場合は交付後1箇月以内)に支払うことなどが条件となっている。
 しかして、この事業の実施について調査したところ、前記の15中小企業者に対する147,170,000円の貸付けにおいて、借主が、設備を貸付対象事業費より低額で設置したり、既往年度に設置したりしていたなどのため、97,504,758円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額48,752,379円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。

(別表)


県名 貸付先 貸付対象 貸付
昭和年月
貸付対象事業費
(同上に対する貸付額)
貸付対象として適切でない事業費
(同上に対する貸付金相当額)
補助の目的に沿わない結果になった国庫補助金相当額 摘要
千円 千円 千円
(60) 秋田県 縫製品製造業者 自動多頭式ジャガード刺しゅう機 57.10 30,000
(15,000)
5,000
(2,500)
1,250 低額設置
 この貸付けは、自動多頭式ジャガード刺しゅう機10台の所要資金30,000,000円の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの額で設備を設置したとしているが、実際は、これより低額な25,000,000円で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は12,500,000円となり、本件貸付額15,000,000円との差額2,500,000円が過大な貸付けとなっている。
(61)  同 建設業者 トラクタ 60.3 16,000
(7,980)
16,000
(7,980)
3,990 貸付対象外
 この貸付けは、トラクタ1台の所要資金16,300,000円(うち貸付対象事業費分16,000,000円)の一部として貸し付けたもので、借主は16,300,000円で設備を設置し、その代金のうち貸付金相当額7,980,000円を昭和60年3月に支払ったとしているが、実際は、長期の割賦販売契約(60年1月から62年2月まで25回払い)により15,452,000円で設置しており、貸付後1箇月までの支払額は700,000円であった。
 したがって、本件設備は貸付対象にならないものである。
(62) 山梨県 建設業者 トラクタ 58.12 12,400
(6,200)
12,400
(6,200)
3,100 貸付対象外
 この貸付けは、トラクタ1台の所要資金12,400,000円の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの額で設備を設置し、その代金のうち貸付金相当額6,200,000円を昭和59年1月までに支払ったとしているが、実際は、貸付年度中の59年3月までの支払額は2,252,000円であった。したがって、本件設備は貸付対象にならないものである。
(63) 静岡県 表面処理業者 表面処理装置 58.9 23,000
(10,350)
13,381
(5,540)
2,770 低額設置
 この貸付けは、表面処理装置1基の所要資金23,000,000円の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの額で設備を設置したとしているが、実際は、これより低額な9,618,224円で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は4,809,112円となり、本件貸付額10,350,000円との差額5,540,888円が過大な貸付けとなっている。
(64) 愛知県 工具製造業者 金属工作機械 59.2 30,395(15,000) 9,790
(4,895)
2,447 低額設置
 この貸付けは、金属工作機械(光学的精密ならい研削盤及び自動光学的精密ならい研削盤)2台の所要資金40,000,000円(うち貸付対象事業費分30,395,000円)の一部として貸し付けたもので、借主は40,000,000円で設備を設置したとしているが、実際は、貸付対象設備のうち自動光学的精密ならい研削盤22,900,000円(うち貸付対象事業費19,988,000円、貸付額9,994,000円)を返品して、機種を光学的精密ならい研削盤に変更して13,200,000円(うち貸付対象事業費10,198,000円)で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は10,105,000円となり、本件貸付額15,000,000円との差額4,895,000円が過大な貸付けとなっている。
(65) 三重県 輸送用機械器具製造業者 検車装置及び試験・検査・測定設備 58.10 22,350(10,720) 13,500
(6,480)
3,240 貸付対象外
 この貸付けは、検車装置一式及び試験・検査・測定設備2台の所要資金22,350,000円の一部として貸し付けたもので、借主は貸付年度に貸付対象事業費どおりの額で設備を設置したとしているが、実際は、貸付対象設備のうち検車装置(貸付対象事業費13,500,000円、貸付額6,480,000円)は前年度に9,000,000円で設置していた。
 したがって、本件検車装置は貸付対象にならないものである。
(66) 石川県 印刷業者 製版カメラ 58.10 37,000(15,000) 37,000
(15,000)
7,500 貸付対象外
 この貸付けは、製版カメラ1台の所要資金37,000,000円の一部として貸し付けたもので、借主は貸付年度に設備を設置したとしているが、実際は、前年度に設置していた。
 したがって、本件設備は貸付対象にならないものである。
(67)  同 建設業者 起重機 58.11 22,800(10,260) 22,800
(10,260)
5,130 貸付対象外
 この貸付けは、起重機1台の所要資金24,721,920円(うち貸付対象事業費分22,800,000円)の一部として貸し付けたもので、借主は24,721,920円で設備を設置し、その代金のうち貸付金相当額10,260,000円を昭和58年12月までに支払ったとしているが、実際は、長期の割賦販売契約(58年8月から62年4月まで45回払い)により27,613,192円(うち貸付対象事業費22,800,000円)で設置しており、貸付年度中の59年3月までの支払額は3,500,000円であった。
 したがって、本件設備は貸付対象にならないものである。
(68) 滋賀県 窯業者 掘削機 59.3 10,600
(5,300)
10,600
(5,300)
2,650 不設置
 この貸付けは、掘削機1台の所要資金10,600,000円の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの額で設備を設置したとしているが、実際は、昭和58年11月に9,200,000円で設置した設備を貸付前の59年2月に売却していた。
 したがって、本件貸付けはその要がないものである。
(69) 滋賀県 建設業者 掘削機 58.8 13,000
(5,500)
13,000
(5,500)
2,750 貸付対象外
 この貸付けは、掘削機1台の所要資金13,000,000円の一部として貸し付けたもので、借主は貸付年度に貸付対象事業費どおりの額で設備を設置したとしているが、実際は、前年度に8,656,717円で設置していた。
 したがって、本件設備は貸付対象にならないものである。
(70) 広島県 工具製造業者 金属工作機械 58.12 20,500
(9,840)
20,500
(9,840)
4,920 貸付目的の不達成
 この貸付けは、金属工作機械(NCフライス盤及び精密工具研削盤)2台の所要資金20,500,000円の一部として貸し付けたもので、借主は昭和58年8月及び10月に設備を設置したが、精密工具研削盤は59年3月に、また、NCフライス盤は60年5月に、それぞれ売却していた。
 したがって、本件貸付けはその目的を達していない。
(71) 佐賀県 一般廃棄物処理業者 浄化槽汚泥処理車 58.12 12,000
(6,000)
5,000
(2,500)
1,250 低額設置
 この貸付けは、浄化槽汚泥処理車1両の所要資金12,000,000円の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの額で設備を設置したとしているが、実際は、値引きにより7,000,000円で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は3,500,000円となり、本件貸付額6,000,000円との差額2,500,000円が過大な貸付けとなっている。
(72)  同 建設業者 トラクタ 58.7 30,000
(15,000)
7,577
(3,788)
1,894 低額設置
 この貸付けは、トラクタ1台の所要資金30,000,000円の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの額で設備を設置したとしているが、実際は、値引きにより22,422,261円で設置していた。したがって、適切な貸付額は11,211,130円となり、本件貸付額15,000,000円との差額3,788,870円が過大な貸付けとなっている。
(73) 大分県 食料品製造業者 自動充てん防湿包装機及び自動盛込包装機 58.8 19,517
(8,800)
19,517
(8,800)
4,400 低額設置
 この貸付けは、自動充てん防湿包装機1台及び自動盛込包装機1台の所要資金19,700,000円(うち貸付対象事業費分19,517,000円)の一部として貸し付けたものであるが、借主はこの貸付けを受ける以前に本件の貸付対象設備を他の設備と合わせて事業費24,400,000円として中小企業金融公庫から長期資金23,000,000円を借り入れていた。
 したがって、本件貸付けはその要がないものである。
(74)  同 建設業者 掘削機 60.1 13,800
(6,220)
7,200
(2,920)
1,460 低額設置
 この貸付けは、掘削機1台(付属品を含む。)の所要資金13,800,000円の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの額で設備を設置したとしているが、実際は、掘削機本体のみをこれより低額な6,600,000円で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は3,300,000円となり、本件貸付額6,220,000円との差額2,920,000円が過大な貸付けとなっている。



31,362
(147,170)
213,266
(97,504)
48,752